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  • 事業承継の前提として分散した株式を集約する方法(少数株主対策)

    2019年08月17日

    株式集約の手順

    会社を事業承継するということは、自分が行っている事業を、自分以外の者が行えるようにする、ということです。

    そのためには、会社の支配権を承継しなければなりません。

    株式会社の場合には、株主総会で役員を選任し、役員である取締役等が会社を経営していきます。

    したがって、株式会社の場合には、株式を承継していくのが事業承継の基本型となります。

    しかし、場合によって、株式が分散していることがあり、少数株主が存在することがあります。

    少数株主がいるままで事業承継を行ってしまうと、後日、少数株主により株主総会が混乱したり、帳簿閲覧請求をされたり、場合によっては株主代表訴訟を提起されるリスクがあります。

    そこで、事業承継を行う際には、分散してしまった株式を集約する手続を取ることが多くあります。

    株式の集約方法については色々な方法がありますが、株式を集約するのは、どういう手順で行うことになるでしょうか。

    株式の集約は、概ね次のように進んでいきます。


    株主と各株主ごとの保有株式数の調査
        ↓
    名義株の調査
        ↓
    株式の集約

        

    株主と各株主ごとの保有株式数の調査

    まず、株主と各株主ごとの保有株式数の調査をするには、発行済み株式総数を確認します。

    株主名簿が整備されていれば、株主名簿を確認すれば株主と各株主ごとの保有株式数が分かります。

    株主名簿に記載されていないものが株主であると主張してきても、その氏名または名称及び住所が株主名簿に記載されていなければ会社に対抗することができません。会社法130条1項です。

    株主名簿が作成されていない場合には、株式会社の履歴事項全部証明書等を確認し、発行済み株式総数を調査します。

    そして、原始定款を確認して、設立時に誰が株主であったのかを確認し、その後の各種議事録等を調査し、合わせて株式会社の法人税確定申告書の中の別表2の記載を調査などします。

    株主が死亡している場合には、当該株式の相続がどうなっているのかを調査することになります。

    法定相続人に連絡をし、遺産分割がされているかどうか、株式については誰が相続したことになるのか、を聞き取り、遺産分割協議書等を確認できるのであれば確認させて貰います。

    中には、名義の上では株主であっても、実際には他の人が株主であると言う場合があります。

    それがいわゆる名義株の問題です。

        

    名義株の調査

    名義株とは、名義上の株主と真の株主とが一致していない場合の株式のことを言います。

    平成2年の商法改正前は、株式会社を設立するのに、発起人が7人必要だったことから、名義だけを借りて設立する、ということが多く行われており、そのために名義株が生じています。

    また、相続税対策として、名義を借りる、というようなことも行われています。

    株主が誰かをどう認定するかについては、「他人の承諾を得てその名義を用い株式を引き受けた場合においては、名義人すなわち名義貸与者ではなく、実質上の引受人すなわち名義借用者がその株主となるものと解するのが相当である」(最高裁昭和42年11月17日判決)とされています。

    そして、「実質上の引受人かどうか」は、次の要素を総合考慮します。

    ・誰が払い込み代金を出捐したか

    ・誰が実質的に株主となる意思があったか

    ・株主権を行使したか(株主総会への参加、配当の受領等)

    ・経営に参加する意思と行動はあったか

    上記を調査するために、銀行預金口座、各種議事録、各関係者への聞き取りなどを実施します。

    名義を借りた後、長年経過している場合には、取得時効によって所有者が変更していないかどうかも確認します。

    民法は、次のように規定しています。

    取得時効の要件(民法163条)
    「所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、前条の区別に従い20年又は10年を経過した後、その権利を取得する」

    (民法162条)
    1.20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
    2.10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

    実際、過去の裁判例において、被相続人が実質所有していた名義株について、名義人であった相続人が株を時効取得したとされた判例(東京地裁平成21年3月30日判決)があります。

    この判例では、株主名簿に相続人の名が記載されていたこと、増資の際には、自ら引き受けたこともあったこと、株主総会に出席して議決権を行使していたこと、利益配当を受領していたことなどを理由として、初めは名義貸しであったが、自分のものとして、平穏、公然に株主として行動していると認定し、20年の経過をもって時効取得したと判断しました。

    以上のような調査の結果、名義株であると認定した場合には、当該株式が名義株であるという名義人と真の株主との間の「確認書」を作成しておきます。

    同時に、認定するにあたって収集した証拠を保管しておく必要もあります。

        

    株式の集約

    株主と株式数を確認したら、いよいよ株式を集約していくことになります。

    上場会社の場合には、市場取引や公開買い付けの方法によって株式を取得することができますが、非公開会社の場合にはそのような手段が取れません。

    まずは任意に他の株主から株式を買い取る方法を検討します。

    オーナーが他の株主から個人として株式を買い取る場合、株券発行会社かどうか、株券発行会社だった場合には、株券が発行されているかどうか、確認します。

    会社法128条は、次のように定めています。

    1.株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。

    2.株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、その効力を生じない。

    つまり、株券発行会社の場合には、株券を発行し、その株券を交付しないと、「効力を生じない」ということになります。これは、対抗要件ではないので、会社が認めても効力を生じないことになります。

    したがって、この場合には、速やかに株券を発行して、株式買い取りと同時に株券を受け取るか、株券不発行会社に変更しておくか、ということになります。

    また、株式譲渡制限があれば、しかるべき機関の承諾を得る手続きを得る必要があります。

    不特定の株主から株式を買い取る場合には、株主総会の普通決議が必要です。

    しかし、特定の株主から株式を買い取る場合には、株主総会における特別決議が必要となります。

    さらにこの場合、ミニ公開買い付けとして、他の株主も売主に加えるよう請求することができます。

    なお、会社が買い取る場合には、財源規制があり、買い取れる株式に制限がありますので、事前に確認が必要です。

    少数株主が株式を売ってくれないときには、強制的に少数株主を会社から締め出してしまう、いわゆるスクイーズアウトの手続きを行うことになります。

    スクイーズアウトの手続きには、

    ①全部取得条項付種類株式を利用する方法

    ②株式併合を利用する方法

    ③株式等売渡請求を行う方法

    などがあります。

    オーナーが、90%以上の議決権を有している場合には、③の株式等売渡請求を行うことが簡便です。

    なぜなら、株主総会を開く必要がないためです。

    株式会社において、90%以上の議決権を有する株主のことを、「特別支配株主」といいます。

    特別支配株主は、株主総会を開くことなく、他の全株主に対して、全ての株式を自分に売り渡すよう請求することができます。

    これが、③の株式等売渡請求というものです。

    ①の全部取得条項付種類株式を利用する方法と②の株式の併合を利用する方法は、株主総会の特別決議が必要となります。

    平成26年の会社法改正により、株式併合を利用する制度が整いましたので、現在では、スクイーズアウトには株式併合が利用されるのが多いと思います。

    株式併合というのは、数個の株式を合わせてそれよりも少数の株式にすることです。

    たとえば、10株をもって1株とする、というなことです。

    これがなぜスクイーズアウトになるかというと、たとえば、全部で100株を発行している株式会社において、オーナーが80株を持っており、残りの少数株主が9株、8株、3株を持っている場合に、10株をもって1株に併合するとします。

    この場合、オーナーは8株保有の株主になりますが、その他の少数株主は、1株に満たない端株となり、金銭処理されることになります。

    つまり、オーナー以外の株主がいなくなる、ということです。

    まとめ

    以上のように、事業承継の前提として、株式を集約するには、株主と各株主が保有する株式数の的確な認定、株式を集約するための各種法的手続き等正確な法的知識が必要となります。

    株主総会等の機関決定が行われて正しく行われていないような場合には、後日株主総会が取り消され、または無効になってしまう可能性もあり、紛争が発生することになります。

    また、事業承継で株式を譲渡するには、税務上の考慮も必要となってきます。

    したがって、事業承継を検討してる場合には、必ず弁護士と税理士に相談しながら進めていくことが必要となってきます。

    ご相談は、こちらから。
    https://www.bengoshi-sos.com/soudan

  • 株券発行会社は要注意

    2019年08月05日

    平成18年4月の会社

    法改正前から存続する株式会社の場合、

    「株券発行会社」になっているケースがあ

    ると思います。

    事業承継や相続対策で、分散した株式を買

    い集めたり、贈与を受けたり、ということ

    があると思いますが、この際に問題が発生

    します。

    会社法128条は、次のように定めています。

    ===================

    1.株券発行会社の株式の譲渡は、当該株

    式に係る株券を交付しなければ、その効力

    を生じない。ただし、自己株式の処分によ

    る株式の譲渡については、この限りでない。

    2.株券の発行前にした譲渡は、株券発行

    会社に対し、その効力を生じない。

    ====================

    つまり、株券発行会社の場合には、当事者

    間の意思表示だけでは株式を譲渡の効力は

    生じない、ということです。

    株券発行会社において、過去、株式を贈与、

    売買等を行っている場合、株券の交付がな

    かったのであれば、そもそも現時点で譲渡

    の効力は生じていない、ということになっ

    てしまいます。

    したがって、過去、そのようなことがあっ

    たのであれば、速やかに株券を発行し、株

    券の交付をする必要があります。

    そして、会社法128条は、「株券発行会

    社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を

    交付しなければ、その効力を生じない。」

    として、株券の交付は対抗要件ではなく、

    効力発生要件であると規定していますので、

    所有権移転もそのときとなり、税務判断とし

    ては、株券交付時点で所有権移転となると

    思われます。

    これから株券発行会社において、相続対策

    や事業承継対策として株式の生前贈与や譲

    渡を行う場合には、

    (1)株券を発行して、

    (2)株券の占有を移転しなければなりません。

    できれば、株券不発行会社に変更した方が、

    将来的にも上記のような問題が発生するこ

    とを回避することができます。

    手続きは、

    ①株券不発行会社にする旨の定款変更決議

    ②その旨の公告および株主への通知(会社

    法218条)

    ③その旨の登記

    ということになります。

    特に特例事業承継税制を適用されるような

    場合に、「実は贈与の効力が発生していな

    かった」などということになると大変です

    ので、ご注意いただければと思います。

    ご相談は、こちらから。
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  • 株主総会が取り消される場合

    2019年07月27日

    同族会社で、株式が分散していたり、役員が複数いたりすると、時として、内紛が起こることがあります。

    友人同士で会社を立ち上げたような場合も同様です。

    その場合、複数の仮処分や訴訟が起きることが多いです。

    たとえば、株主総会を開くと、手続きが違法だ、とか、決議内容が無効だ、などという訴訟を起きることになります。

    日常的には、取締役会や株主総会すら開かずに会社を経営しているところも多いのですが、ひとたび内紛が起こると、慎重に法律どおりに手続きを進めていかないと、決

    議が取り消され、または無効になってしまいます。

    たとえば、【株主総会決議取消訴訟】というものがあります。

    過去の裁判例で、株主総会決議が取り消された事例としては、次のようなものがあります。

    ●一部の株主に対して招集通知が漏れた。

    ●有効な取締役会決議を経ずに代表取締役会が株主総会を招集した。

    ●招集通知などに記載不備

    ●取締役等が説明義務に違反して株主の質問に答えなかった。

    ●株主が出席困難な時刻・場所であえて株主総会を開催した。

    ●議決権行使の代理人資格を株主に制限しているのに、株主以外の者を代理人とする議決権行使を認めた。

    したがって、会社の内紛が起きた場合には、

    ・全部事項証明書

    ・定款

    ・過去の議事録

    ・株主名簿

    などを確認して、法律上正確な手続きを進めていくことが大切です。

    そして、取締役会、株主総会などに弁護士を同席させ、不測の事態に備える、ということを検討することも必要でしょう。

  • 少数株主による会計帳簿閲覧請求を検討しよう

    2019年06月23日

    株式会社の株式が親族間で分散し、又は第三者が保有しているような場合に、内部紛争が起こる場合があります。

    株式会社は株主総会の議決権を支払する者が会社を支配することになります。

    少数株主の意思を実現していくことは容易ではありません。

    しかし、場合により、支払株主が会社を私物化し、会社に損害を与えている場合もあり、そのような場合には、少数株主であっても、その権利を守るため、株主代表訴訟その他の行動に出る場合があります。

    ところが、代表者が少数株主に対して、会計帳簿や決算書すら開示しない場合もあります。

    そのような場合には、情報を得るため、少数株主に、「会計帳簿閲覧請求権」が認められています。

    総株主の議決権の100分の3以上の議決権または発行済み株式の100分の3以上の株式を有する株主は、株式会社の営業時間内に、会計帳簿またはこれに関する資料の閲覧、謄
    写を請求することができる、とされています。

    そして、会社が拒否した場合には、裁判所に申立をすることにより、これをすることができます。

    私も過去、中小企業に関して、少数株主を代理して、会計帳簿の閲覧請求をし、代表者の不正の情報を入手した上で、株主代表訴訟を提起した経験があります。

    また、非公開会社において、株主が株式を第三者に譲渡する際には、適正価格を計算しなければなりませんので、そのためにも、会計帳簿等を閲覧する必要があるでしょう。

    もし、少数株主で支配株主から何の情報も得られないような時は、この会計帳簿閲覧請求権を行使することを検討してみてもよいかと思います。

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