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慰謝料増額事由

2005年02月22日

最近特に書きたいニュースがないので、交通事故損害賠償において、一般的な基準とされる慰謝料額が裁判で増額される場合について書いてみたいと思います。
 
交通事故の損害賠償の対象となる損害には、財産的損害と精神的損害があります。このうち、精神的損害が慰謝料のことです。慰謝料とは、精神的に被った苦痛のことですから、本来事案ごと、人毎に異なるはずですが、心の中は見ることができないため、概ね統一的な慰謝料基準を定めて運用されています。

しかし、時と場合により、相場的な慰謝料基準を上回る判決がなされることがあります。これには、3つのパターンがあります。

①通常の場合に比べ、精神的苦痛の程度が大きいと見られる場合。

②他の損害項目に入らないものを慰謝料で斟酌しようとする場合。

③被害者に特別の事情がある場合。

①通常の場合に比べ、精神的苦痛の程度が大きい場合

 これは、主に加害者側の過失の大きさや、事故後の態度の悪さ等により、事故に対する被害者の精神的苦痛が増大したと認められ、慰謝料が増額される場合です。
 加害者の過失の大きさでは、次のような事情が斟酌されています。
 (1)飲酒運転
 (2)スピードオーバー
 (3)居眠り
 (4)無免許
 (5)信号無視
 (6)未必的故意
 (7)脇見運転

 次に、加害者の事故後の態度の悪さでは、次のような事情が斟酌されています。

 (1)不自然、不合理な供述(否認)
 (2)謝罪なし
 (3)証拠隠滅(同乗者に虚偽証言強要、事故後に飲酒等)
 (4)救護せず
 (5)逃走、ひき逃げ、逃走しようとする。
 (6)加害者側からの訴訟提起
 (7)被害者に責任を転嫁するような言動

上記のような慰謝料増額事由があるときは、迷わず慰謝料増額事由を主張して、増額賠償を勝ち取らなければなりません。当事者が主張しない以上、裁判所は取り上げてくれません。

②他の損害項目に入らないものを慰謝料で斟酌しようとする場合。

 これは、「慰謝料の補完的作用」と呼ばれるものです。たとえば、ホステスの外貌醜状事案や歯牙傷害事案、生殖機能障害、嗅覚障害等で後遺障害が認定されても、後遺症逸失利益が算定しにくいような場合に、後遺症逸失利益を認めず、慰謝料を増額することにより、結果としての賠償額のバランスを取ろうとする手法です。
 
また、将来手術を行うことは確実であるが、どの程度の時期・費用になるのか不明であり、手術により失われる労働能力も判然としない場合にも、それら損害は認めず、慰謝料を増額することにより、結果としての賠償額のバランスを取ろうとします。

 したがって、損害算定において、上記のような事情が認められるならば、念のため、慰謝料請求において、予備的にでも上乗せして請求しておかなければなりません。

 但し、裁判所による損害費目間の流用(上記の例でいえば、逸失利益を認めず、その代わり原告の主張する以上の慰謝料を認める等)は認めるられる扱いですので(最高裁昭和48年4月5日・民集27・3・419)、それを期待してもいいのですが、注意が必要です。

③被害者に特別の事情がある場合。

 被害者に特別の事情があり、通常の場合に比べ、被害者の無念さがより大きいものと認められ、慰謝料が増額された事案です。次のようなものがあります。
 (1)人工妊娠中絶
 (2)将来音楽教師になる夢を持ち努力したことが水の泡となっ。
 (3)被害者の子が重度の肢体不自由児であったが、事故により子の訓練介護ができなくなり、子の身体機能に後退が見られた。
 (4)婚約破棄
 (5)離婚

 上記事案は類型化できませんが、被害者側に何らかの特別事情があった場合には、裁判所は、杓子定規ではなく、事案に応じた慰謝料を認定してくれることを示しています。もちろん、金額的には、精神的苦痛を満足させるほどの金額は到底でませんが、それでも主張すべきところは主張した方が良いでしょう。

日本の裁判所が認める慰謝料は低すぎます。慰謝料を増額させる努力をしましょう。