他人に2回頼み事をすると、どうなるか?
他人に頼み事をするのは、断られた時には精神的にショックを受けるし、応じてもらうと借りを作った感じがして、どちらにしても、苦手な人が多いようです。
そして、頼み事をしても断られる確率の方を高く見積もりがちです。
では、同じお願いを2回した場合において、1回目を断った人が2回目も断る確率はどの程度になるでしょうか。
「人に頼む技術」(ハイディ・グラント著、児島修翻訳)には、次のような実験が紹介されています。
スタンフォード大学のダニエル・ニューアークらが行った実験で、スタンフォード大学の学生を被験者にして、キャンパス内を移動中の見知らぬ人に、1ページのアンケート記入を依頼する、というものであり、それを同じ人に2回頼む、というものです。
彼らは、実験前の予想として、最初の依頼にノーと答えた人が2回目の依頼にイエスと答える確率はどの程度か、という質問を受け、18%と回答しました。
しかし、実験を行ったところ、2回目の依頼にイエスと答えた人は、43%だったそうです。
これは、私達は、他人からの頼み事を断ると、悪いことをしたような心の苦痛を味わうためと考えられています。
2度も心の苦痛を味わいたくないために、2回目の依頼に応じてしまうのだということです。
この結果から学べることは、他人に頼み事をして断られた時には、落ち込むのではなく、「よし。次に何かを頼む時には、応じてくれる確率が上がるな」と前向きに捉えることが可能となる、ということです。
はじめに大きな要求をして断らせ、その後に本来の要求をすることでイエスと言いやすくなるという、「ドア・イン・ザ・フェース・テクニック」は、この性質を利用したものです。
では、反対に、1回目の依頼にイエスと答えた人は、2回目の依頼には、イエスと言わなくなるのでしょうか。
そうはなりません。1回目にイエスと答えた人は、2回目もイエスと言いやすくなった、ということです。
これは、心理学の一貫性の法則に基づくものです。
一度依頼に応じたら、「依頼に応じた自分」というアイデンティティが出来上がるので、それと矛盾する「ノー」をなかなか言えなくなる、ということです。
ですから、他人の助けが必要な時には、臆することなく頼み、応じてくれたら感謝し、拒絶されたらまた頼む、ということで依頼に応じてもらえる確率が上がる、ということです。
但し、何でもかんでも他人に頼めばいいというものではありません。
相手がイエスと言ってくれれば本当に助かることで、かつ、できれば相手も他人を助けたことでポジティブな感情になるようなことを、そうなる頼み方で頼むようにしましょう。
また、イエスと言ってくれた時には、感謝の言葉も忘れずに。
自分も嬉しく、相手も嬉しいのが、真の「頼み道」です。
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