税務調査での和解は許されない
2021年08月19日
今回は、税務調査での妥協についてです。
税務調査で、見解の対立が生じ、租税職員との間で、交渉が行われます。
その結果、「ここを認めて修正申告してくれれば、そっちは見逃そう」というように、双方が妥協する場面があります。
これは、一見、双方の譲歩による和解が成立しているようにも見えます。
しかし、課税の場面では和解は許されません。
民事訴訟では和解が多いですが、税務訴訟では和解は許されず、判決になります。
それは、課税の場面では、「合法性の原則」があるためです。
合法性の原則は、租税法は強行法規であるから、課税要件が充足されている限り、租税行政庁には租税の減免の自由はなく、また租税を徴収しない自由もなく、法律で定められたとおりの税額を徴収しなければならない、という原則です。
したがって、税務調査の場面でも、課税要件が充足されている限り、「ここは見逃そう」ということは許されないわけです。
では、なぜ、税務調査の場面で、和解のようなことが行われているのか、というと、理論的には、「課税要件を充足していないと認定した」ということになります。
合法性の原則により、課税要件が充足している限り、課税を行わなければならないので、課税要件が充足していないと判断する必要がある、ということになります。
税務調査の立ち会いを行っていると、課税庁と和解をしているように感じることもあると思いますが、理屈ではどうなるのか、について考えてみました。
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