法人が不法行為を受けた時の収益計上時期
今回は、法人が詐欺など不法行為によって損失を受けた場合の課税関係について解説します。
法人が、詐欺など不法行為によって損失を受けた時は、「当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの(法人税法22条3項3号)に該当し、損失が発生した年度の損金に計上すべき]
ものとされています(最高裁昭和43年10月17日判決)。
そして、不法行為ということになると、損失と同時に、民法により、詐欺をした者に対する損害賠償請求権が発生しています。
これは、債権を取得した、ということになりますので、益金に計上することになります。
では、いつ計上すべきなのか、についてですが、法人税基本通達2-1-43があります。
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他の者から支払を受ける損害賠償金(債務の履行遅滞による損害金を含む。以下2-1-43において同じ。)の額は、その支払を受けるべきことが確定した日の属する事業年度の益金の額に算入するのであるが、法人がその損害賠償金の額について実際に支払を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入している場合には、これを認める。
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この通達により
・原則として損金算入と同時に益金算入
・実際に支払を受けた事業年度に益金算入も認める
となります。
あとは、貸倒損失の要件該当性を検討することになります。
「回収可能性」の論点です。
そして、注意を要するのは、本通達の適用範囲は、「他の者」です。
「他の者」には、法人の役員または従業員は含まれない、と解されています(法人税基本通達逐条解説257頁)。
では、法人の役員または従業員の不法行為により損害を受けた場合には、どの事業年度に益金算入するのか。
これについては、裁判例もあり、長くなるので、後日、動画で解説したいとおもいます。
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