外注費が給与と認定された裁判例 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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外注費が給与と認定された裁判例

2021年04月09日

今回は、納税者が外注費として支払った金員が給与であると認定された裁判例をご紹介します。

令和3年2月26日判決(TAINS Z888-2352)です。

(事案)
●納税者は、塗装工事業等を営む株式会社であり、塗装工事に従事する従業員に対し、給与を支払っていたが、健康保険及び厚生年金保険に加入していなかった。

●ある事業年度から、健康保険及び厚生年金保険に加入し、各人の給与から健康保険及び厚生年金保険に係る各保険料を徴収する旨説明したところ、従業員であった甲らから、給与が減額されるのは困るので、「外注先」として取り扱ってほしいとの申出があった。

●そこで、その後、甲らを外注先として扱い、「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出し、甲らに対し、外注費として支払、甲らは事業所得として申告するようになった。

●税務調査が実施され、当該支払は、給与であると認定され更正処分、過少申告加算税賦課決定処分などがなされた。

(裁判所の判断)

●【事業所得】とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反覆継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいい

●【給与所得】とは、雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいい、取り分け、給与支給者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうかが重視されなければならない(前掲最高裁昭和56年4月24日第二小法廷判決参照)。

●本件各作業員が予定されていた作業を休むこととなった場合には、原告が代替の作業員を手配していた。このことは、本件各作業員は、原告の他の従業員と同様、代替性が認められていなかったことを示すものである。

●本件各作業員は、本件支出金が支出されていた間も、従業員であった時期と同様に、原告から空間的、時間的な拘束を受け、原告の指揮命令に服し、原告に対して継続的ないし断続的に労務又は役務を提供していたものというべきであり、このことは、本件支出金の「給与等」該当性判断において最も重視されなければならない。

●本件各作業員には、完成すべき作業の定めはなく、依頼した作業が完成しなかったとしても、作業日数に応じた報酬が支払われていた。原告と本件各作業員との間で契約書は交わされておらず、危険負担についての定めもなかった。

●据置式の工具など高価な器具を所有しており、これを使用している場合には、事業者としての性格が強く、「給与等」該当性を弱める要素となる。本件についてみると、工具については、現場で着る作業着と手持ちの道具箱に入るくらいのコテとヘラを本件各作業員が用意し、それ以外の軍手、ハケ、ローラー、研磨機、マゼラーなどの道具や機械は原告から支給されたり貸与されたりしていた。これは、各作業員が従業員であった時期と同様であった。

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工事業者が、雇用契約から外注契約に変更しようとする相談は、よく受けるところだと思います。

たとえ、従業員本人の希望により外注契約にし、きちんと確定申告をしているとしても、実態が雇用契約であると判断されれば、給与と認定されてしまいます。

税理士が判断を誤った場合には、税理士損害賠償に発展する場合もあります。

また、税理士が給与と知りながら外注費として計上したことを理由として、懲戒処分を受けたケースもあります。

気をつけたいところです。

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