不正アプリを使った“性的脅迫”事件が急増中!?
スマートフォンなどを使ったネット上の性的な脅迫、「ゆすり」行為が行われているようです。
一体、どんな手口なのでしょうか?
「不正アプリで性的脅迫 個人情報抜き取り 全国で被害」(2015年6月24日 神戸新聞)
インターネット上で知り合った女性と性的な写真を交換するうちに、不正アプリを通じて自分のスマートフォンに登録してあるメールアドレスなどを抜き取られ、あとになって女性の関係者から「知り合いに写真をばらまく」と脅され、現金を要求される…そうした被害が全国に広がりつつあるようです。
兵庫県警によると、手口は次の通りです。
・ある日、男性のスマホに突然、見ず知らずの女性からメールが届く。
・何度かやり取りを重ねるうちに、女性から「恥ずかしい姿を見せ合おう」と持ちかけられる。
・送られてきた女性の画像を開くと、自分のスマホの中の電話帳のデータなどが抜き取られる不正アプリがインストールされる。
または、動画をやり取りするためのアプリと称したアプリを入手させられる。
・男性が自分の性的な恥かしい画像を送った後、女性のアカウントから見ず知らずの男がメール、もしくは電話で、「電話帳に入っているアドレス宛におまえの恥かしい画像をばらまく。嫌なら金を払え!」などと脅迫される。
兵庫県内では2015年に入り、中高年の男性複数人から「数十万を要求された」などの相談があったようですが、今のところ現金被害は出ていないということです。
しかし、県警サイバー犯罪対策課は、「事件の性質上、被害者は申告しにくく、実際の事件数はもっと多い」とみているとしています。
こうした手口は、「性的な」と「ゆすり」を意味する単語を組み合わせた造語である「セクストーション(性的脅迫)」と呼ばれるもので、5年くらい前にアメリカで被害が確認され、日本では2014年頃から報告され始めているようです。
では、法律的にはどのような罪になるかというと、「不正指令電磁的記録供用罪」に問われる可能性があります。
「刑法」
第168条の2(不正指令電磁的記録作成等)
1.正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
一 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
二 前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録
2.正当な理由がないのに、前項第一号に掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の用に供した者も、同項と同様とする。
不正指令電磁的記録供用罪については、以前にも解説しています。
詳しい解説はこちら⇒
「遠隔操作アプリで逮捕!?夫が妻に犯した罪とは?」
https://taniharamakoto.com/archives/1932
妻のスマホに遠隔操作アプリを無断でインストールし、遠隔操作ができる状態にしたとして夫が逮捕された事件でした。
そもそも、この不正指令電磁的記録供用罪は、正当な理由なしに、人のコンピュータ(電子計算機)に不正な指令を与えるウイルス(電磁気記録)などを入れる(インストール)犯罪です。
最近では、知り合った女子大生のスマホに遠隔操作アプリを不正にインストールした大学助教授や、スマホから自動的に110番にかかるコンピューターウイルスに感染したサーバーにつながるURLを、LINE(ライン)で広めた高校生5人が逮捕、書類送検される事件も起きています。
ネット上に流出した画像や動画は半永久的に消去されず、自分の死後も存在し続ける可能性があります。
今回の不正アプリは、画像ではなく個人情報のデータを抜き取るものですが、男性が送ってしまったハレンチな自分の画像が将来的に悪用される危険性は否定できません。
安易な気持ちで画像や動画をネット上でやり取りしない、見ず知らずの怪しい人物からのメールや添付データは開かないなど、自衛の意識を持っておいたほうがいいでしょう。
また、これは犯罪なので、お金を払ってはいけませんよ。
すぐに警察に相談することが大切です。
お金を払っても画像が消される保証はありません。
昔は、スキャンダル写真を撮られて脅されてお金を払うのと引き換えに、ネガを返してもらう、という方法での恐喝がありました。
しかし、実は大量に現像されており、まだ写真が残っている、ということで、またお金を脅し取られる、というようなことが行われていました。
デジタル画像だと、もう画像が全て消されたかどうかなど確認しようがありません。
くれぐれも、お金を払わないよう気をつけてください。