東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士24人が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は約30冊あります。
TV出演、取材、執筆、研修、セミナー講師を受け付けていますので、ご連絡ください。
会話を制する質問力
ブログ内検索

弁護士法律解説 リーガルアイ

 

過労死の認定基準と損害賠償について法律解説

 >過労死の認定基準と損害賠償について法律解説

2016年5月29日

近年、「過労死」の報道を目にすることが多くなりました。

そこで今回は、増加する過労死と労働災害(労災)の関係について、法的に解説します。

 

「労災」とは労働災害の略で、労働者が業務に起因して負傷(ケガ)、疾病(病気)、障害(後遺症)、死亡に至ったもののことをいいます。

労災は、おもに「業務災害」(業務中に起きたもの)と「通勤災害」(通勤中の交通事故などによるケガや病気など)の2つに分けられます。

この業務災害のうち、病気によるものを「疾病災害」というのですが、その中でも、遺伝や生活習慣などにより、その労働者にもとから内在していた私病が業務起因で発症、または増悪して死亡に至るものを「過労死」といいます。

対象となる病気には、次のようなものがあります。

「脳血管疾患」
①脳内出血(脳出血)
②くも膜下出血
③脳梗塞
④高血圧性脳症

「虚血性心疾患等」
①心筋梗塞
②狭心症
③心停止(心臓性突然死を含む。)
④解離性大動脈瘤
次に、過労死の認定基準について見てみます。

業務災害が認定されるには、業務と労働者の負傷、疾病、障害、死亡との間の因果関係において、次の2つの基準を中心に判断されます。

「業務遂行性」……労働者が使用者(会社)の支配下にある状態
「業務起因性」……業務に内在する危険性が現実化し、業務と死傷病の間に一定の因果関係があること

さらに、過労死については厚生労働省が通達している「過労死ライン」がひとつの目安とされています。

過労死ラインとは、健康障害リスクが高まるとする時間外労働時間を指すもので、次のような基準となっています。

1.発症前の1ヵ月ないし6ヵ月間にわたって、時間外労働が、1ヵ月あたりおおむね45時間を超えて時間外労働長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まる。

2.発症前2ヵ月間ないし6ヵ月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合、業務と発症との関連性は強い。

3.発症前1ヵ月間におおむね100時間を超える時間外労働が認められる場合、業務と発症との関連性は強い。

現在の労働行政においては、おおむね80時間がひとつの目安とされています。

たとえば、1日8時間勤務として1か月の労働日を20日とした場合、1日4時間の時間外労働をして、1日12時間勤務が続く状態です。
これが、発症前の2ヵ月ないし6ヵ月続いた場合、過労死と認定される可能性が高くなるのです。
最後に、労災給付と損害賠償について見てみます。

労災が認定された場合、「労働基準法」と「労働者災害補償保険法(労災保険法)」により国から補償を受けることができます。
この制度のメリットは、健康保険とは違って労働者に自己負担額がないことだといえます。

労働者が死亡した場合の補償には次のような労災給付があります。

「遺族補償年金」/労働者が死亡した場合、遺族に支給されるもの
「葬祭給付」/労働者が死亡した場合、支給される葬祭費

さらに、ここで忘れてはいけないのは、ご遺族の方は会社に対して損害賠償請求できる場合があることです。

なぜなら、会社には、労働者に労働させる際にはケガや病気を防ぐために安全に配慮する義務=「安全配慮義務」があるからです。
これを会社が怠った場合には、労働者側は正当な損害賠償金を請求することができるのです。

「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮を」しなければいけません(労働契約法5条)。

また、最高裁昭和59年4月10日判決(川義事件)は、「労働者が労務提供のため設置する場所、設備もしくは器具等を使用し、又は使用者の指示のもとに労務を提供する過程において、労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務」がある、としています。

そして、東京高裁平成11年7月28日判決・システムコンサルタント事件では、使用者(会社)は、「労働時間、休憩時間、休日、休憩場所などについて適正な労働条件を確保し、さらに、健康診断を実施したうえ労働者の年齢、健康状態などに応じて従事する作業時間および内容の軽減、就労場所の変更等適切な措置を採るべき義務」を負うとされています。

使用者(会社)がこの義務に違反して、労働者に過酷な労働をさせ、それがきっかけとなって労働者の基礎疾患を増悪させ、それによって死亡させたという因果関係が肯定されるような時は、損害賠償義務が発生します。

しかし、ここで大きな問題があります。
それは、被害者やご遺族の方にとって労災の手続きや損害賠償請求は法的な知識がないと難しいということです。

そうした場合は、弁護士などの専門家に相談、依頼することをお勧めします。

万が一、労災にあってしまった場合には、こちらからご相談ください。
http://www.rousai-sos.jp/contact/

同じテーマの最新記事
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所



Copyright© 2013 弁護士谷原誠のブログ All Rights Reserved.