群馬県関越道ツアーバス事故説明会・賠償問題 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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群馬県関越道ツアーバス事故説明会・賠償問題

2012年04月29日

群馬県の関越自動車道で乗客7人が死亡し、38人が重軽傷を負った高速ツアーバス事故で、バス会社が、27日、金沢市内で被害者向け説明会を開いたとのことです。

話が賠償問題に及ぶと、社長は、「損害保険会社にお願いしている」と話しました。対人・対物無制限の任意保険に加入しているそうです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120528-00000085-san-soci

民事の今後の流れですが、とりあえずは怪我の治療費などが保険会社から支払われ、最終的な示談については、刑事事件の決着が着いた後になるでしょう。

それにしても、対人・対物無制限の任意保険に加入しており、被害者の補償という面ではなんとかなりそうです。

これで任意保険未加入になると、被害者は、運転手とバス会社(場合によっては旅行会社)に賠償を求めなければならなくなります。

賠償金額は膨大となり、支払い能力を超える可能性すらあります。

そうなると、被害者は、怪我を負わされ、人によっては家族を失ったにもかかわらず、正当な賠償金が得られない、という二重の被害にあったかもしれないのです。

幸い今回は、対人・対物無制限の任意保険に加入していた、ということですので、法的に正当な賠償額は支払われることになりそうです。

ただし、正当な賠償額というのは、保険会社が決めるのではなく、客観的に決まるものです。

保険会社が、必ずしも適正な賠償額を提示してくるとは限りません。

金額が提示されたら、それが適正な金額かどうか確認すべく弁護士に相談することが必要でしょう。

保険会社から適正な賠償金が支払われると、それ以上に加害者やバス会社などに賠償金を求めることができません。

民事の損害賠償としては終わった、ということになります。

バス社長は終了後の記者会見で、「誠心誠意ご家族の方に接して、一生をかけておわびしたい」と話したようですが、これは民事損害賠償は含んでいないと思われます。

ただ、お詫びをする他ないでしょう。

危険をはらむ事業を行う方は、くれぐれも安全管理に気をつけていただきたいと思います。