弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜 - Part 2
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。
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    どこに集中すべきか?

    2025年09月22日

    今日は、こんな物語です。

    ケイは、窓の外を眺めていた。

    彼の頭の中は、来週の重要なプレゼンテーションのことが頭から離れない。成功すれば昇進への道が開けるが、失敗すれば今の停滞した状況が続くだろう。

    彼は心配していた。

    クライアントがプレゼンをどう評価するか。

    その前に重大な問題がある。明日の朝までに部長の最終承認が下りるかどうか。部長はここ数日、機嫌が悪い。

    承認がおりなければ、プレゼンターが同僚のシゲキに交代になるかもしれない。

    ケイは焦燥感に駆られ、思考が堂々巡りしていた。
    プレゼン資料の作成が全く進まなかった。

    「ちくしょうっ!!」

    ケイは、自分の部屋で思わず叫んでしまった。

    すると、隣の部屋で寝ていた祖母が、静かにケイの部屋に入ってきた。

    「ケイ、まだ起きていたのかい?」

    ケイは身を起こし、正直な気持ちを打ち明けた。「おばあちゃん、プレゼンのことが心配で。僕がどれだけ頑張っても、部長の気分一つで全てが決まるなんて、理不尽だよ」

    祖母は何も言わず、ケイの隣に座った。そして、静かに話し始めた。

    「昔、小さな村にまじめな青年が住んでいてね。」

    「ある日、村が大干ばつに見舞われた。作物は枯れ、村人たちは飢えに苦しんだ。皆が雨乞いをし、天を恨んだが、青年はただ静かに毎日、畑に水をやり続けた。枯れゆく作物に、ごくわずかな水を」

    ケイは首をかしげた。「でも、おばあちゃん、それじゃ意味がないよ。雨が降らないことには、どうしようもないじゃないか」

    祖母は微笑んだ。

    「その通りだね。雨を降らせることは、青年の力ではどうすることもできなかった。だが、彼は毎日畑に水をやり、土の健康を保ち、次の恵みを待ち続けた」

    「数週間後、ついに待望の雨が降った。他の村の畑は、干上がってひび割れた土ではすぐに水を吸収できず、作物も完全に枯れてしまっていた。

    しかし、青年の畑だけは、彼が毎日手入れをしていたおかげで、しっとりと水分を含んだ土が雨水を効率よく吸収し、すぐに作物が芽吹き始めたんだ。

    結果、青年の畑は村で一番早く豊かな収穫をもたらした。」

    祖母は言った。

    「青年は、何をしたかって?雨が降るかどうかを悩み続けた?

    そうじゃない。青年は、自分にできることに、ただ、集中しただけなんだよ」

    ケイは、はっとした。

    そして、静かに立ち上がり、デスクの椅子に座ると、PCの電源を入れた。

    祖母は、デスクに向かうケイの背中を微笑んで見つめていた。

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