弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜 - Part 141
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
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    遺留分放棄

    2022年08月05日

    今回は、【税理士を守る会】でされた質疑応答をご紹介します。

    (質問)

    父と母は存命。

    実子が3名

    父が亡くなった場合は、遺産はすべて配偶者が相続する旨の遺言を作成してあります。

    しかし、実子が遺留分侵害額請求をすると、家族の間で紛争が生じてしまいます。

    そこで、実子3人に遺留分を放棄する書類を書いてもらいたいと思っています。

    どのように書いてもらったらいいでしょうか。

    (回答)

    遺留分侵害額請求権について、生前に放棄をすることができます。

    ただし、書類で「遺留分を放棄します」と書いても無効で、家庭裁判所の許可が必要です。

    なぜ、家庭裁判所の許可が必要かというと、生前は被相続人の影響力が強いため、その圧迫により、遺留分の放棄をさせられてしまう可能性があるためです。

    家庭裁判所は、遺留分権利者が被相続人から圧迫を受けていないかどうか、遺留分を放棄するかわりに、何らかの財産を得ているか、などを考慮して判断します。

    ただし、遺留分放棄の許可審判がされた場合であっても、その前提となっていた事情が変化して遺留分を放棄した状態を維持することが客観的に不合理となった場合には、家庭裁判所は職権で放棄許可審判を取消し、または変更することができます。

    遺留分を放棄しても、相続人としての地位は失いませんので、相続開始時に相続財産があり、かつ、遺言等がなければ、相続することになります。

    したがって、遺留分放棄をしてもらった場合には、有効な遺言を作成しておくことが必要です。

    遺留分放棄は、被相続人の住所地の家庭裁判所に対して申し立てます。

    必要書類や書式の記載例については、以下のページを参考にしてください。

    裁判所ホームページ
    http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_26/index.html