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TBSテレビ「ひるおび」生出演

 >TBSテレビ「ひるおび」生出演

2015年6月13日

2015年6月12日放送分のTBSテレビ「ひるおび」に生出演しました。

先日、北海道で、痛ましい事故が起きました。

4人が死亡し、一人は長い距離を引きずられて死亡した、ひき逃げ事故です。

この事故は、法律の適用が難しいので、交通事故に詳しい法律専門家として、コメンテーター出演したものです。

故人のご冥福をお祈りいたします。

自転車ひき逃げで書類送検

 >自転車ひき逃げで書類送検

2015年4月21日

自転車でぶつかっただけ、では、済まない時代になりました。

「“自転車の事故はお互いさまでは…”自転車ひき逃げの19歳女子大生を書類送検」(2015年4月17日 産経新聞)

大阪府警高石署は、自転車同士の衝突事故で相手にケガを負わせたにも関わらず、そのまま走り去ったとして、府内の女子大生(19)を重過失傷害と道路交通法違反(ひき逃げ)の容疑で書類送検しました。

事故が起きたのは2015年1月26日午前10時すぎ。
女子大生が市道交差点を自転車で走行中、パートの女性(57)の自転車と衝突。
女性を転倒させ、右足首を骨折させたのに救護措置を取らずに逃走したようです。

女子大生は、テレビで事故のニュースを見た家族に付き添われ、事故当夜に自首。

「通学で急いでいた」、「自転車の事故なのでお互いさまと思って立ち去ってしまった」と話しているということです。

怪我をさせれば、損害賠償義務を負います。

ところで、今回の事故は、刑事事件での書類送検です。
ポイントは、大きく4点あります。

1.道路交通法の「救護義務違反」=ひき逃げとは?
事故を起こした場合、以下の措置等を取らなければいけません。(第72条)
①車両の運転者と同乗者は、ただちに運転を停止する。
②負傷者を救護する。
③道路での危険を防止するなど必要な措置を取る。
④警察官に、事故発生の日時、場所、死傷者の数、負傷の程度等を報告する。
⑤警察官が現場に到着するまで現場に留まる。

これらを怠ると、「ひき逃げ」という犯罪になりますので注意してください。

詳しい解説はこちら⇒「軽傷のひき逃げで懲役15年!?」
https://taniharamakoto.com/archives/1403
2.自転車も「車両」の一種
道路交通法では、自転車は車両の一種である「軽車両」です。
当然、自転車の事故も犯罪になるので注意してください。

ただし、自動車と自転車では刑罰に違いがあります。
自動車で、ひき逃げをして、被害者を死傷させた場合は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。(第117条2項)

自転車の場合は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処されます。(第117条の5)
3.重過失傷害罪とは?
「重過失傷害罪」とは、過失致傷に重過失、つまり重大な過失により人にケガをさせた罪です。
「注意義務違反」の程度が著しいことをいいます。

自転車の運転で重過失があった場合には、この規定が適用されます。

法定刑は、5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金です。

4.書類送検とは?
テレビや新聞などのメディアで「書類送検」という言葉を見かけますが、逮捕と何が違うのでしょうか?

書類送検とは、刑事事件の手続きにおいて被疑者を逮捕せずに、または逮捕後保釈してから身柄を拘束せずに事件を検察官送致することです。
被疑者の逮捕や拘留の必要がない場合や、送致以前に被疑者が死亡した場合などで行われます。

今回の事故の場合、被疑者である女子大生は家族に付き添われて自首したということで、逃亡する可能性も低いために書類送検になったのだと思います。

近年、自転車による重大事故が増えています。

警察庁が公表している統計資料「平成26年中の交通事故の発生状況」によると、自転車関連の事故は10万9,269件で、交通事故全体に占める割合は約2割です。
また、自転車同士の事故は2,865件起きていて、そのうち2件が死亡事故となっています。

こうした事態を受けて、自転車による交通事故も厳罰化の方向に向かっています。
詳しい解説はこちら⇒「自転車の危険運転に安全講習義務づけに」
https://taniharamakoto.com/archives/1854
報道内容からだけでは詳しい状況がわかりませんが、事故を起こして相手がケガをしたにも関わらず、「お互いさまと思った」という女子大生の感覚は、交通事故の危険性、重大性を理解していない浅はかで軽率なものと言わざるを得ないでしょう。

自転車は気軽で日常使いだからといって、けっして他人事と軽くとらえずに、細心の注意を払って運転してほしいと思います。

軽い交通事故でも逃げると重罰が!?

 >軽い交通事故でも逃げると重罰が!?

2014年6月12日

「ちょっとくらいならいいだろう」、「これくらいならバレないだろう」、
人生のさまざまな場面で、人はそんなふうに思ってしまうことがあります。

しかし、こと交通事故に関してはそんな考えは通用しません。

加害者には、「刑事責任」「民事責任」「行政責任」の3つの責任が科せられます。
そして、被害者は亡くなったり、重大な後遺症を背負ったりします。
誰も幸せにならないのが交通事故です。

ところで最近、ひき逃げで検挙された人への調査から、逃げた動機や理由がわかってきたという報道がありました。

心の甘えや油断が命取りになっているようです。

「ひき逃げ犯3割超が過小評価“大したことない”“半信半疑だった”」(2014年6月6日 産経新聞)

大阪府警の発表によると、ひき逃げ犯の30%以上が、「事故を起こしたかどうか半信半疑だった」「大したことないと思った」と事故を過小評価していたことがわかりました。

昨年1年間で、府内で起きたひき逃げ事故は1,351件。このうち摘発されたドライバー636人に動機を尋ねたところ、「半信半疑だった」102人(16・0%)、「飲酒・無免許が発覚するのがいやだった」107人(16・8%)、「大したことないと思った」101人(15・9%)、「恐ろしくなった」71人(11・2%)、「逃げたら分からないと思った」54人(8・5%)という割合だったということです。

また、死亡・重傷のひき逃げ事故にかぎると、摘発された76人のうち、「半信半疑だった」(17.1%)、「大したことないと思った」(7.9%)という割合から、4人に1人は交通事故を軽く考えていたために重大な結果につながった可能性もあるとしています。


以前、ひき逃げについて解説しました。
詳しい解説はこちら⇒ https://taniharamakoto.com/archives/1403

ここでいう「自動車運転過失致死傷罪」は、今年5月20日に施行された「自動車運転死傷行為処罰法」では「過失運転致死傷罪」になっています。

「自動車運転死傷行為処罰法」の詳しい解説はこちら
⇒ https://taniharamakoto.com/archives/1236

ひき逃げの場合、自動車運転処罰法違反(過失致死傷罪)と道路交通法違反(救護義務違反)の併合罪で、最長で懲役15年になります。

仮にアルコールを飲んでいて逃げた場合は、「アルコール等影響発覚免脱罪」が併合され、最長で懲役18年です。

たとえ被害者が軽傷でも、ひき逃げには大変重い刑罰が科されます。
現場から逃げてしまったばかりに、罪の上にさらに罪を重ねてしまう…それが、ひき逃げという行為です。

ちなみに、法務省が公表している「平成25年版 犯罪白書」によると、平成24年度のひき逃げ犯の検挙率は、死亡事故98.8%、重傷事故69.6%になっています。
死亡事故のひき逃げ犯は、ほぼ100%近くが検挙されているということです。

検挙率のデータや罰則の厳罰化を考えれば、ひき逃げは、けっして「逃げ得」にはならないということがわかるでしょう。

自動車を運転中、何かに当たったら、「人と接触したかもしれない」と確認する習慣を徹底しましょう。

さもないと、長い懲役刑があなたを待っているかもしれません。

自動車運転死傷行為処罰法:「無免許過失運転致傷」が初適用!

 >自動車運転死傷行為処罰法:「無免許過失運転致傷」が初適用!

2014年6月10日

5月20日に施行された「自動車運転死傷行為処罰法」関連の事故で、今度は「無免許過失運転致傷罪」(無免許運転による加重)が適用された事故が起きてしまいました。

早速、解説していきます。

「自動車運転死傷行為処罰法」の詳しい解説はこちら
⇒ https://taniharamakoto.com/archives/1236


「無免許で車運転の16歳少年、軽傷ひき逃げで逮捕」(2014年6月8日 産経新聞)

滋賀県警守山署などは7日、無免許運転で相手車両の男性にケガを負わせたまま逃げたとして、建設作業員の少年(16)を自動車運転死傷処罰法違反(無免許過失運転致傷)の疑いなどで逮捕しました。

報道によると、少年は滋賀県野洲市の県道で軽乗用車を運転中、信号が赤色点滅だった交差点に進入し、トラックと出合い頭に衝突。

トラックを運転していた男性(46)の両足に軽傷を負わせながら、救護措置を取らず現場から車で逃げ去ったということです。


「無免許運転による加重」は、今回新たに加えられた犯罪類型で、以下の罪を犯した者が、事故の時に無免許だった場合に成立するものです。

〇危険運転致傷罪(死亡の場合や、「進行を制御する技能を有しない」犯罪類型を除く。死亡の場合を除くのは、すでに最高刑が規定されているため)

〇準危険運転致死傷罪

〇過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪

〇過失運転致死傷罪

過去、無免許のよる重大事故が発生したにもかかわらず、「自動車運転過失致死傷罪」と「道路交通法違反」という軽い罰則しか科せられず社会的批判が高まったことから、世論の後押しもあって今回新たに規定されたのが、この「無免許運転による加重」です。

従前は、たとえ無免許でも運転する技術があれば危険運転致死傷罪が適用されず、刑罰は軽すぎる、と批判がありました。

しかし、無免許運転は、基本的な交通ルールの無視という規範意識の低さとともに、それ自体が危険な行為であるため厳罰化となったわけです。

無免許運転による罪が加重されると、最高刑は次のようになります。

〇危険運転致傷罪(懲役15年)+無免許→懲役20年

〇アルコール等で不覚にも運転困難に至って事故を起こした罪(懲役15年)+無免許→懲役20年

〇アルコール等影響発覚免脱罪(懲役12年)+無免許→懲役15年

〇過失運転致死傷罪(旧自動車運転過失致死傷罪)(懲役7年)+無免許→懲役10年


今回の事故の場合、加害者は、
過失運転致傷罪+無免許+道交法違反(救護義務違反)となり、最高で懲役15年の可能性があります。

ただ、今回は、16歳の未成年者が加害者ですので、少年法が適用され、将来の更正を期待した処分になると思います。

とにかく、成年でも未成年でも、当然のことながら無免許運転は以前よりも格段に重い罪が科せられるということです。

ドライバーの人には、肝に銘じてほしいと思います。

「自動車運転死傷行為処罰法」の詳しい解説はこちら
⇒ https://taniharamakoto.com/archives/1236

軽傷のひき逃げで懲役15年!?

 >軽傷のひき逃げで懲役15年!?

2014年4月16日

「後悔先に立たず」、「後の祭り」、「死んだ子の年を数える」「臍(ほぞ)を噛む」……同じような意味で使われることわざですが、なんだか文字を見ているだけで、つらい気分になってきます。

人間、誰しも失敗や過ちを犯すことがあります。

しかし、失敗や過ちをそのままにしておく、または隠蔽したり、そこから逃げてしまっては、傷口がさらに広がってしまったり、最終的には取り返しのつかないことになりかねません。

まさに、ことわざ通り「後の祭り」にならないためには、冷静な判断と対応が大切です。

ところが、気が動転していたのでしょうか? それとも単に怖くなって逃げたのでしょうか? その場しのぎでやった行為が、後で大きな代償を払うことになってしまった事件が起きてしまいました。

<「保険に入ってなかった…」女児ひき逃げで男を逮捕>(2014年4月1日 テレビ朝日ニュース)

千葉県我孫子市の交差点で、近くに住む小学生の女の子(10)が横断歩道を渡っていたところ、軽自動車にひき逃げされました。

警察は、現場に残された車の破片などを分析。犯人の行方を追っていたところ、車を運転していた自称・会社員の男(32)が警察署に出頭し、逮捕されたということです。

男は、「任意保険に入ってなかったので逃げた」「女の子が動いていたので、大したことはないと思った」と話しているようです。なお、女の子は救急搬送されましたが、あごを打つなどで軽傷とのことです。

報道からは、逮捕容疑が何なのか分かりませんが、おそらくこの男は、「自動車運転過失致死傷罪」と、「ひき逃げ」による道路交通法違反(救護義務違反)の併合罪となるでしょう。

自動車運転過失致死傷罪は、以下の条文に規定されます。

「刑法」第211条(業務上過失致死傷等)
2.自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。(以下省略)


「ひき逃げ」とは、車両を運転中に人身事故を起こした際、必要な措置を講じずに事故現場から逃走する犯罪行為をいいます。

ちなみに、人の死傷をともなわない事故の場合は「当て逃げ」となります。これには、物損事故、建造物損壊、他人のペットなども含みます。

「道路交通法」第72条
1.交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。(以下省略)


人身事故を起こしてしまったら、運転者や同乗者は次のことを「義務」として行わなければ、罰せられます。

①直ちに運転を停止する義務
②負傷者の救護義務(安全な場所への移動、迅速な治療など)
③道路上の危険防止の措置義務(二次事故発生の予防)
④警察官への報告義務(事故の発生日時、死傷者、物損状況など)
⑤警察官が現場に到着するまで現場に留まる義務

これらの義務違反をした場合、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。(第117条1項)

さらに、人身事故での被害者の死傷が運転者の運転に原因がある場合に義務違反をしたときは、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます。(第117条2項)

実際、今回の事故の場合、被害者の女の子は軽傷なので、民事での賠償金は、おそらく最高でも数十万円というところでしょう。また、事故後に、しっかり対応していれば自動車運転過失致死傷罪で立件されない可能性が高いと思います。

しかし、現場から逃げてしまったばかりに、自動車運転過失致死傷罪と、ひき逃げによる救護義務違反の併合罪となり、場合によっては最高刑で懲役15年にもなってしまう可能性があるということです。

おまけに、テレビや新聞、ネットで全国ニュースにもなってしまうのですから、人生において大きなダメージを受けることにもなりかねません。

やってしまったこと、起こってしまったことは消すことができません。しかし、その後の判断と対応で人生が大きく変わってしまう可能性があります。

まずは、車を運転する際は細心の注意を払いましょう。
仮に被害者が軽傷で、略式起訴の罰金刑になったとしても、前科一犯に変わりはありません。

万が一、事故を起こしてしまった場合には、逃げない、うそをつかない。けが人がいれば、救護や連絡などの義務を果たす。

そうでないと、罪の上にさらに罪を重ねてしまうことになります。

ハンドルを握るときは、つねにこれらのことを肝に銘じておいてほしいと思います。

後悔は、先には立ちません。

先立つものは、カネ・・・、間違えました!

先に立てるのは、「己を律する心」ということですね。

テレビ朝日「モーニングバード」出演

 >テレビ朝日「モーニングバード」出演

2014年2月2日

2014年1月31日のテレビ朝日「モーニングバード」で取材を受け、放映されました。

内容としては、先日兵庫県で起こったひき逃げ交通事故で、事故現場が普通の道路ではなかったことから、どのような犯罪が成立するのか、という点について、交通事故の専門家としてコメントを求められたものです。

具体的には、普通の道路ではない場所での事故に「道路交通法」の適用があるか、という点ですね。

道路交通法の道路には、道路法の道路だけでなく、「一般交通の用に供するその他の場所」が含まれますので、この要件に該当するかどうか、ということです。

それにしても、事故を起こした時、ひき逃げをすると、一気に刑罰が重くなりますので、必ず警察や救急車を呼ぶようにしてください。

ひき逃げが殺人罪に!?

 >ひき逃げが殺人罪に!?

2013年12月26日




自動車運転に関する事故で、ひとつのケーススタディともいえる事件が発生したので、解説しておきたいと思います。

「職務質問した警察官をひき逃げ 容疑の男逮捕」(埼玉新聞)

埼玉県川口市で、職務質問した警察官が車にひかれて重傷を負った事件で、川口署は12月17日、無職の男(31)を公務執行妨害と殺人未遂の疑いで逮捕しました。

報道によると、川口市の住宅街のT字路付近で「車が中央寄りに止まっている」との通報があり、署員2名が現場に直行。

男性巡査(30)が運転手の男に職務質問したところ、男は突然、車を急発進。転倒した巡査の脚をひき、そのまま逃走していたようです。

男は「ひき殺そうとはしていない」として容疑を否認しているということです。

まず、この事件の逮捕容疑について確認しましょう。

公務執行妨害と殺人未遂です。

「刑法」第95条(公務執行妨害)
①公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

巡査の職務質問という公務に対して、男は車を発進させて、巡査の脚をひくという「暴行」を加えて「妨害」したので、これは公務執行妨害になります。

ちなみに、職務質問を受けて、答えるのを拒否したり、ただ逃げただけでは公務執行妨害にはなりません。

なぜなら、公務執行妨害罪の要件である「暴行または脅迫」がないためです。

次に殺人未遂について考えてみましょう。

「刑法」第199条(殺人罪)
人を殺した者は、死刑又は無期もしくは5年以上の懲役に処する。

今回は、ひかれた巡査は死んでないので、未遂罪です。

車でひき殺そうとしたが、未遂に終わった容疑ということです。

ところで、ここでひとつ疑問が出てきます。

自動車運転によって人を死傷させた場合の刑罰には、「自動車運転過失致死傷罪」(刑法211条2項)と「危険運転致死傷罪」(刑法第208条の2)がありますが、今回はなぜこれらの容疑ではなかったのでしょうか?

報道内容からだけでは詳細はわかりませんが、おそらく「未必の故意」が疑われたのではないかと思われます。

刑法上の重要な問題のひとつに「故意」と「過失」があります。

「故意」とは、結果の発生を認識していながら、これを容認して行為をすることで、刑法においては「罪を犯す意思」のことをいいます。

一方「過失」は、結果が予測できたにもかかわらず、その予測できた結果を回避する注意や義務を怠ったことです。
では、どのような場合に故意が認められ、または過失が認められるのか?
その境界線のように存在するのが「未必の故意」です。

ある行為が犯罪の被害を生むかもしれないと予測しながら、それでもかまわないと考え、あえてその行為を行う心理状態を「未必の故意」といいます。

容疑者の男は、100%巡査を殺そうとして車を発進させたのか、たんなる不注意だったのか。

それとも、死ぬ確率は100%ではないが0%でもなく、死ぬかもしれないが「それでもかまわない」と思ってアクセルを踏んだのか、ということです。

殺人罪の未必の故意があれば、殺人罪となります。

ただ、このようなケースで「死んでも構わない」とまで思っているケースはそれほど多くありません。

そうすると、殺人罪の故意がない、ということになりそうです。

では、何罪が成立するのでしょうか?

「死んでも構わない」とは思っていなかったとしても、今回のケース、「怪我をするかもしれないが、それでも構わない」くらいには思っていたかもしれません。

そうすると、「怪我をさせる故意あるいは未必の故意」があったことになりますので、傷害罪になりそうです。

「刑法」第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

ちなみに以前、ある知人で「未必の故意」を「密室の恋」だと思っていた人がいました。

危険なにおいがします……

さらには、「未筆の恋」だと思っていた人もいました。

ラブレターを書く前に終わった恋ということでしょうか……

「過失の恋」になると、人違いのようになってしまいます・・・。

それはともかく、素手の場合、殺人も傷害も大変なことですが、自動車の場合には、ちょっとアクセスを踏むだけで実現できてしまいます。

便利な反面、いつでも凶器になりうる危険なものです。

事故が予測できるにもかかわらずアクセルを踏むなど、言語道断。

冷静な判断をもってハンドルを握ることを、いつでも肝に銘じておくことが大切です。

 

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