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交通事故の後遺障害によって慰謝料は、こんなに違う!
2018年02月02日交通事故の後遺障害によって慰謝料は、こんなに違う!
交通事故で、後遺障害が残ると?
交通事故で怪我をした時、まずは、できるだけ怪我を治すように治療に専念します。
しかし、治療の甲斐なく、後遺症が残ってしまうこともあります。
その場合には、生涯にわたって、後遺症と付き合っていかなければなりません。
交通事故の損害賠償では、後遺症が残ったときは、「自賠責後遺障害等級認定」というものを受けます。
自賠法上の後遺障害の等級を定めるもので、1級~14級まで定められています。
実は、この後遺障害等級認定が、交通事故の慰謝料にも、大きな影響を及ぼすことになるのです。
交通事故における後遺障害の等級認定
後遺障害等級認定の主体
交通事故で後遺症が残ったときは、後遺障害等級認定を受けることになりますが、この認定は、「損害保険料率算出団体に関する法律」という法律に基づいて設立された「損害保険料率算出機構」(略称「損保料率機構」)という団体が行います。
具体的な調査は、全国の都道府県庁所在地等に設置した自賠責損害調査事務所が行います。
後遺障害等級認定の申請のタイミング
後遺障害等級認定の申請は、症状固定後
後遺障害等級は、損保料率機構で認定してもらいます。
では、どのタイミングで申請するのでしょうか。
それは、「症状固定」という診断がされてからです。
症状固定とは、簡単にいうと、これ以上治療を続けても治療効果が上がらない状態になった時です。
医師が症状固定と判断したら、医師に「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」(以下「後遺障害診断書」とします)を書いてもらいます。
後遺障害等級認定は、この後遺障害診断書と、それまでの治療の診断書、検査結果、画像などの医学的な資料を提出して審査してもらいます。
その結果、自賠責後遺障害等級が何級になるのか、が決まってくるのです。
【動画】交通事故で後遺障害等級認定されるためのポイント
症状固定で注意すべきポイント
一口に「症状固定」と言いますが、その判断は簡単ではありません。
場合によっては、医師によっても異なってきます。
なぜなら、「これ以上に治療効果が上がるか」は、一律に決まるものではないからです。
時として、加害者の任意保険会社の担当者から、
「そろそろ症状固定にしてください。来月からは治療費は支払いません。」
などと言われることがあります。
この場合、「もう治療ができないのか」と考える必要はありません。
これは、「症状固定」になった、ということではなく、保険会社が治療費の支払いを止める、というに過ぎないのです。
あくまで治療に関しては、主治医が症状固定と認めるかどうかです。
それまでは、保険会社が治療費を支払ってくれなくても、立て替えて支払って治療を続け、後で慰謝料などと一緒に治療費を請求することになります。
治療期間が半年を過ぎてますから、そろそろ症状固定として後遺障害等級の申請をした方がいいですよ」と言われることもあります。
したがって、本当に治療によってもう改善の余地はないのかどうか、医師とよく話し合うことが大切です。
まずは、保険会社によく説明し、理解してもらって、治療費支払いを継続してもらうよう努力しましょう。
後遺障害等級認定の申請の方法
後遺障害等級認定の申請方法としては、「事前認定」と「被害者請求」という2つの方法があります。
後遺障害等級の事前認定とは
後遺障害等級の事前認定とは、加害者の加入している任意保険会社を通して等級を申請する方法です。
自動車保険は、強制加入しなければならない保険である自賠責保険と、任意で加入する任意保険があります。
自賠責保険は支払われる保険金が定額制となっていますが、自賠責保険の金額では損害を全てカバーできないので、自賠責保険では足りない分を補うのが任意保険です。
任意保険会社は、通常、任意一括払いとして、任意保険会社の負担分の損害賠償額と、本来自賠責保険で支払われるべき損害額を一括して支払い、後で任意保険会社が自賠責保険に請求する、という方法をとっている場合が多いです。
そこで、後で自賠責保険に請求するときのために、被害者が、自賠責保険の後遺障害等級に該当するかどうか、該当する場合は何級に認定されるのかを自賠責保険に事前に確認しておく、というkとです。
そのために「事前認定」と呼ばれています。
事前認定は、加害者の任意保険会社が行ってくれるので、被害者が自分ですることが少なくて楽である、というメリットがあります。
しかし、デメリットもあります。
保険会社が主導で行うため、どのような書類が提出されているのかなどが把握できなかったり、提出書類に不足があったために正しい等級が認定されない場合があったりする場合があります。
損害賠償額は、後遺障害等級を基に算定されますので、低い後遺障害等級しか認定されなかったり、そもそも後遺症はないとして後遺障害等級が認定されなかったりした場合には、損害賠償額が本来もらえる額より少なくなってしまい、被害者が損をすることになってしまいます。
交通事故における被害者請求とは
被害者請求は、被害者が、加害者の加入している自賠責保険会社に直接申請して、後遺障害等級の認定を受ける方法です。
被害者請求は、被害者が申請の主導権を握ることになり、手続きの流れや、提出する資料などを被害者が把握することができるメリットがあります。
また、後遺障害等級が認定されれば、等級に応じた損害賠償金が自賠責保険会社から被害者に直接支払われます。
デメリットは、被害者が自分で請求を行うので、提出する資料を集めたり、色々やり取りをしたり、という手間がかかることです。
事前認定と被害者請求のどちらがいいかは、メリットとデメリットを考えて行うようにしてください。
3.後遺障害等級が認定されるためのポイント
交通事故で、後遺障害等級が認定されるためのポイントとしては、自分のどの部位のどのような症状が、後遺障害等級の表の何級何号に当てはまる可能性があるのかを調べることです。
そして、その等級が要求している要件を満たすよう、医学的な資料を集めることです。
医学的な資料を集めるときは、
・自覚症状
・画像
・検査結果
・医師の所見
が必要です。
自分が「痛い」と言っているだけでは、他人である損保料率機構は、等級を認定してくれません。
第三者が見て、「確かにこれは後遺障害だ」と判断できるためには、客観的な資料が必要となります。
医師は治療を行うのが仕事ですので、交通事故による後遺障害等級のことをよく知らないというのが普通です。
したがって、医師が必要な検査をしてくれていないのであれば、検査をしてくれるようにお願いしなければなりませんし、画像を撮ってくれるようお願いしなければなりません。
自覚症状や他覚所見の記載が不十分なまま診断書等を提出した場合、適正な後遺障害等級が認定されません。
交通事故において適切な後遺障害等級の認定がされないときは?
交通事故の後遺障害等級の申請をした場合、書類不備がなければ通常1~2ヵ月(重傷の場合や判断が難しい場合はさらに数ヵ月、場合によっては半年くらいかかる場合もあります)で審査の結果が送られてきます。
後遺障害等級認定の結果は、事前認定で申請した場合には加害者の任意保険会社から、被害者請求で申請した場合には申請先の自賠責保険会社から送られてきます。
もし、自分の想定していた等級でなかった時は、認定の理由についてよく検討し、認定に誤りや不足などがないか、検討することになります。
ただ、ここは専門的知識が必要となります。
自分で判断せず、交通事故に詳しい弁護士に相談するようにしましょう。
怪我の治療を医師に任せるように、法律問題は、法律の専門家に任せるのが合理的です。
そして、後遺障害等級に誤りがあるような場合には、「異議申立」を行うことができます。
異議申立とは、損保料率機構に対して、異議申立書等の書類を提出して、再度後遺障害等級の申請をすることです。
この場合には、ただ単に「等級に不満がある」と主張しても、後遺障害等級は変わりません。
今回の審査結果の理由をよく検討し、上位等級が取れるための新しい医学的資料を収集して提出することが大切です。
たとえば、後遺障害等級が認定されなかった理由が、「他覚的所見に乏しい」ということであれば、新たに検査をしてもらったり、画像を撮ったりして、さらには、医師の診断書、意見書等の書面を提出することになります。
異議申立は何度でもすることができます。
さらに、異議申立で等級が上がらないときは、「紛争処理申請」という方法もあります。
これは、損保料率機構とは別の機関である「自賠責保険・共済紛争処理機構(以下「紛争処理機構」とします)」に、紛争処理申請書等の書類を提出して、後遺障害等級の申請をすることです。
損保料率機構に異議申立をしたけれど結果が変わらなかったという場合でも、紛争処理機構では適正な後遺障害等級が認定されるということもあります。
この場合、保険会社は、紛争処理機構の出した結果に従うことになります。
紛争処理機構への申請は一度きりしかできませんので、注意が必要です。
いずれにしても、後遺障害等級に関する判断は、素人では難しいので、交通事故に詳しい弁護士への相談が必要でしょう。
実際、みらい総合法律事務所では、異議申立により、何度も後遺障害等級を覆してきたことがあります。
後遺障害等級の違いによって、慰謝料はこれだけ違う!
【動画】交通事故の慰謝料は弁護士に依頼をすると、なぜ増額することが多いか?
なぜ、適切な後遺障害等級を認定してもらう必要があるのか、というと、それによって、もらえる慰謝料がかなり違うためです。
損害賠償金には、慰謝料の他、治療費や休業補償、逸失利益などがあります。
慰謝料には、入通院慰謝料と後遺症慰謝料があります。
後遺症慰謝料は、後遺障害等級によって、次のように相場が形成されています。
後遺障害等級1級の場合 2800万円
後遺障害等級2級の場合 2370万円
後遺障害等級3級の場合 1990万円
後遺障害等級4級の場合 1670万円
後遺障害等級5級の場合 1400万円
後遺障害等級6級の場合 1180万円
後遺障害等級7級の場合 1000万円
後遺障害等級8級の場合 830万円
後遺障害等級9級の場合 690万円
後遺障害等級10級の場合 550万円
後遺障害等級11級の場合 420万円
後遺障害等級12級の場合 290万円
後遺障害等級13級の場合 180万円
後遺障害等級14級の場合 110万円1級違っただけで、大きく違ってきますね。
また、逸失利益は、後遺障害が残ったことによって、将来得られなくなったお金のことです。。
これも、後遺障害等級によって、労働能力を喪失したパーセンテージが違ってくるので、金額が大きく違ってきます。
実際、思い後遺障害の場合には、1級違うだけで、賠償金が数千万円も違ってくることがあるのです。
ですから、後遺障害等級は、正確に認定される必要があります。
後遺障害等級が認定される人、されない人の違いは、こちら。
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交通事故の弁護士費用を0円にする方法?
2018年01月20日【目次】
・交通事故解決までのプロセス
・示談交渉における3つの基準とは?
・弁護士に頼まないと適正金額にならない裏事情とは?
・弁護士費用が心配?
・弁護士費用特約を確認しよう
・弁護士費用を0円にする方法とは?交通事故解決までのプロセス
交通事故の被害に遭うことは、一生で何度もあることではありません。
当然のことながら、交通事故に遭ったとき、どのように対応するのがよいのか、正確に知っている人はほとんどいないでしょう。
そこで、まず、交通事故の被害に遭ったときに、交通事故解決までにどのようなプロセスを辿るのか、について、簡単に解説します。
交通事故が発生したときは、
①刑事事件
②行政処分
③民事損害賠償
という3つの手続が進みます。
刑事事件は、日本国という国家が、加害者をどのように罰するか、というものです。
行政処分とは、加害者の運転免許について、どのように行政処分をするか、というものです。
民事損害賠償というのは、被害者が加害者から慰謝料などの損害賠償金を払ってもらう手続です。
死亡事故などの場合には、刑事事件でも弁護士を依頼し、刑事裁判に被害者の遺族などが参加することもあります。
しかし、多くの場合、弁護士を頼まなければならないのは、民事損害賠償の段階です。
ところで、交通事故において、ほとんどの場合には、加害者は、自賠責保険と任意保険に加入しています。
保険会社が、被害者に対し、適正な示談金を提示してくれれば、何も弁護士に依頼する必要がありません。
示談書にハンコを押して終わりのはずです。
しかし、実は、そうはなりません。
弁護士に依頼しなければならないような事態になることはとても多く発生しています。
それは、なぜでしょうか?
これから説明していきたいと思います。
示談交渉における3つの基準とは?
交通事故の示談交渉では、「3つの基準」というものを憶えておく必要があります。
3つの基準とは、
①自賠責基準
②任意保険会社基準
③裁判基準
です。
①自賠責基準とは、自動車損害賠償責任保険(略して「自賠責保険」といいます)に基づく金額算定の基準です。
自賠責保険は、自動車を運転する者が強制的に入らなければならない強制加入保険です。
自賠責保険で支払われる金額については、自動車損害賠償保障法施行令という法律で定められているのですが、その金額は、被害金額全てを補填するものではなく、最低限の金額が定められています。
そのため、多くの人は、不足の賠償金をまかなうため、「任意保険」に加入することになります。
②任意保険会社基準とは、任意保険会社が会社内部で定めている損害賠償基準です。
内容は非公開であり、各保険会社毎に異なりますし、実際には、事案毎に算定してきます。
場合によっては、最低限の自賠責保険の基準で示談金を提示してくる保険会社もあります。
③裁判基準とは、過去の膨大な交通事故の裁判例により確率された一定の相場による損害賠償計算基準です。
この金額が適正な示談金額ということになり、被害者は、自賠責保険基準や任意保険基準では示談をしてはいけません。
被害者は裁判基準を目指して示談交渉を行わなければならない、ということになります。
弁護士に頼まないと適正金額にならない裏事情とは?
では、なぜ、保険会社は、裁判基準で示談金を提示してこないのでしょうか?
【動画解説】交通事故の慰謝料は弁護士に依頼をすると、なぜ増額することが多いか?
保険会社が適正な示談金を提示してくれれば、弁護士費用もかからないし、裁判をする必要もないのに、なぜ、そうはならないのでしょうか?
それは、保険会社の存立自体に理由があります。
損害保険株式会社は、株式会社である以上、利益を出さなければなりません。
株式会社は、営利を目的とする存在だからです。
利益は、収入から支出を差し引いて計算されます。
主な収入は保険料です。
では、被害者に支払われる賠償金は、どのような意味があるでしょうか。
これは、支出ですね。
つまり、被害者に支払われる賠償金が大きくなると、利益が減ってしまい、株式会社の目的に反する結果となってしまうのです。
したがって、保険会社は、その存立目的から、なるべく支出を減らそうとし、そのために、被害者に対する賠償金も減らそうとするのです。
これが、保険会社が、被害者に対し、適正な示談金を提示しないことが多い理由です。
そう考えると、保険会社から提示される示談金ですぐに示談してはいけないことがご理解いただけるでしょう。
そこで、被害者は、自分で保険会社と示談交渉しようとします。
ところが、いくら判例に基づいて適正額を主張しても、保険会社は、適正額で示談をしてくれることは少ないのです。
これは、なぜでしょうか。
なぜなら、示談は、当事者双方が合意しなければ成立しません。
保険会社は、「NO」と言い続ければ、適正額での示談を拒否することができます。
では、被害者は、どうすればいいでしょうか。
適正額を獲得するには裁判を起こす必要があります。
しかし、それは、なかなか被害者が自分でできることではありません。
弁護士に依頼しなければならないのです。
だから、保険会社は、弁護士が出てくるまでは、なかなか示談金額を増額してくれないのです。
弁護士が出てくると、適正金額を提示しないと、裁判になって、結局、自分も弁護士費用がかかって適正額も払わなければならなくなってしまう、ということで、示談金額が適正金額に近くなってくるのです。
これが、弁護士に頼まないと適正金額にならない裏事情です。
弁護士費用が心配?
ただ、弁護士を頼まないといけないといっても、次の心配として、
「弁護士費用はいくらなのか?」
「弁護士費用が高くて、結局損をするのではないか?」
というものがあると思います。
そこで、果たして、弁護士費用は高いのか、について、説明をしたいと思います。
弁護士に支払うお金には、次のような種類があります。
・相談料
・着手金
・報酬金
・日当
・実費
(相談料)
弁護士に相談をする際にかかる費用です。
以前は、30分5000円の弁護士が多かったのですが、今は、交通事故に関して、無料で相談に応じてくれる弁護士事務所が多数あります。
検索エンジンで検索すると出てきます。
(着手金)
弁護士と委任契約を締結すると、すぐ払わなければならない費用で、敗訴しても返還されません。
ただし、現在では、交通事故業務に関しては、着手金を無料とする法律事務所も増えています。
みらい総合法律事務所でも、原則として着手金は無料です。
(報酬金)
依頼した案件が終了した場合に、解決の内容に応じてかかる費用です。
たとえば、回収した金額の○○パーセント、などです。
(日当)
弁護士が遠方に出張などをする場合に、交通費とは別に発生する費用です。
たとえば、遠方の裁判所へ出頭する場合や、遠方の被害者宅や、被害者が通院している病院に出向く場合などにかかります。
(実費)
報酬得以外に、実際にかかる費用です。
たとえば、裁判を起こす場合に裁判所に収める収入印紙や切手代、刑事事件の実況見分調書、医師に診断書等をお願いする場合の発行手数料、CTやMRIなどの画像の交付料、通信費用などです。
弁護士に依頼をする場合には、必ず契約書を作成してもらうようにし、これらの費用を契約書に記載してもらいましょう。
そして、必ず費用を確認の上、弁護士に依頼することが大切です。
弁護士費用特約を確認しよう
交通事故に遭ったときは、まず加害者の自賠責保険や任意保険を確認すると思います。
しかし、同時に自分の任意保険を確認しましょう。
その中に、「人身傷害補償特約」があれば、自分の過失分をカバーしてくれますし、「弁護士費用特約」があれば、被害者が支払う弁護士費用を支払ってくれます。
自分の保険の他、同居の親族、未婚の場合や別居の両親の任意保険も確認してみましょう。
使えることがあります。
弁護士費用特約は、被害者が弁護士に支払う弁護士費用についての保険ですが、大体、相談料10万円、弁護士費用300万円を上限として支払われます。
任意保険会社の方からは、教えてくれないことも多いので、自分で保険証券等を確認してみましょう。
この弁護士費用特約があれば、弁護士に依頼した方が有利になりますので、ぜひ使うようにしましょう。
ただし、300万円以下なら、いくらでも払ってくれるというわけではありません。
最近は、支払が悪くなっている傾向にあますので、保険会社担当者と話して、きちんと出してくれるよう頼んでおきましょう。
弁護士費用を0円にする方法とは?
では、弁護士費用を0円にする方法は、あるでしょうか?
もちろん、無料で全てをやってくれる弁護士は、なかなかいないのではないか、と思います。
しかし、弁護士費用を加害者に負担させる方法は、あります。それは、裁判を起こし、判決を取ることです。
実は、交通事故の損害賠償の裁判で判決が出される時は、被害者が被った損害とは別に、損害額の約10%について、「弁護士費用相当額」が付加される実務となっています。
弁護士費用が、この判決で付加される「弁護士費用相当額」よりも安ければ、被害者が負担する弁護士費用は、実質0円になる、ということです。
ただ、実際には、10%未満で請け負ってくれる弁護士を探すのも難しいところです。
実は、裁判を起こして判決までいくと、さらにお金が付加されることをご存じでしょうか?
それは、「遅延損害金」です。
交通事故の損害賠償の裁判では、判決までいった場合には、事故時から年5%の遅延損害金が付加されるのです。
裁判には時間がかかりますので、たとえば、事故から1年後に判決が出たとすると、賠償金について5%付加されることになります。
たとえば、賠償金が1000万円として、弁護士費用が100万円、遅延損害金が50万円の合計1150万円で判決が出される可能性がある、ということです。
そうなると、賠償金以外の部分で弁護士費用をまかなうことができることになります。
ちなみに、みらい総合法律事務所では、原則として着手金が0円、報酬金は獲得金額の10%(消費税別途)ですから、賠償金以外の部分で弁護士費用を払うことが可能な場合もあります。
もちろん、被害者が自分で負担しなければならない場合も多いのですが、検討してみる価値があるでしょう。
さらに詳しく知りたい方は、こちら。
交通事故の弁護士費用の相場と加害者に負担してもらう方法とは? -
交通事故に強い弁護士の探し方とは?
2017年03月22日交通事故の被害者は誰に相談すべきか?
交通事故は、一生に何度も遭うものではありません。
一度も遭わずに一生を終える人の方が多いでしょう。
したがって、交通事故の被害者になってしまった時に、どう対応すればよいか、わからないのが通常です。
まして、交通事故の示談交渉とは法律問題が絡みます。
さらに、怪我をした場合などには、医学的な問題も絡んできます。
医学や法律の素人では、知識がなく、何をしてよいのか、何をしてはいけないのかもわからないでしょう。
● 交通事故の被害者は、誰に相談すればいいのか?● 保険会社の助言を聞いてはいけない理由とは?
● 示談交渉は、いつから始めればいい?
● 後遺障害等級が間違っていることがある?
● 弁護士に相談するには、どうすればいいか?
● 交通事故に強い弁護士の探し方は?
【動画】交通事故を弁護士に相談すべき7つの理由
そこで、ここでは、交通事故の被害に遭った時、誰に相談したらよいのかについて解説をします。
まず、「保険会社に相談しよう」という方が多いと思います。
交通事故の被害に遭うと、加害者が任意保険に入っていれば、保険会社が治療費や休業補償を支払ってくれます。
中には、親切な人もいます。
そこで、加害者側の保険会社の担当者に相談しながら進めていく被害者も多いようです。
しかし、これは間違いです。
確かに、保険会社の担当者に請求し、治療費や休業補償を支払ってもらいます。
しかし、交通事故の示談交渉や賠償金の相談を保険会社の担当者にしてはいけません。
なぜなら、加害者が保険会社に保険料を支払っているため、保険契約に基づく義務として被害者に対する支払をしているためです。
本来であれば、払いたくないのです。
当然のことです。
保険会社は営利企業であり、利益を上げなければなりません。
しかも、なるべく多くの利益を上げることが重要課題となっています。
ここで、保険会社の収益構造を考えてみましょう。
保険会社の収入は、主に保険料ですね。
支出は、経費を除くと「賠償金の支払い」が大きいと思います。
それらを差し引いたものが「利益」ということになります。
つまり、保険会社は被害者に対する支払を少なくすればするほど儲かり、企業の目的を達することができる、ということなのです。
この点をよく覚えておかなければなりません。
ですから、保険会社の上司は担当者に対して、「被害者に対して相場より多めに賠償金を支払うように」などという指示はしません。
「なるべく低額で示談をまとめるように」と指示するのは当然なのです。
そうなると、交通事故の賠償金について加害者側の保険会社に相談してはいけない、ということがご理解いただけたと思います。
では、交通事故の被害者は、どこに相談したらよいのでしょうか?
交通事故の被害者が相談したほうよいのは、弁護士です。
交通事故の被害者が弁護士に相談したほうよい理由をご説明します。
【関連記事】
交通事故で弁護士に依頼するタイミング交通事故の被害者と弁護士は利害が一致する
今は、交通事故の被害者からの相談は、無料で受けている弁護士が増えています。
そして、弁護士は相談された時、賠償金を少なくしたい、と思う理由は一つもありません。
被害者から相談されたら、賠償金を高くすることを考え、加害者から相談されたら、賠償金を低くすることを考えます。
また、交通事故の示談交渉の依頼を受けたら、弁護士費用は成功報酬になると思いますので、賠償金が高ければ高いほど弁護士費用も高くなり、利害が一致するのです。
交通事故の被害者は安心して弁護士に相談することができます。
刑事事件に適切に助言できるのは弁護士だけ
交通事故が起きると、加害者の刑事事件と免許の行政事件、慰謝料などの民事事件が進行します。
刑事事件には、一定の場合、被害者も参加できるのですが、刑事事件の対応について法的なアドバイスができるのは、弁護士だけです。
この点も被害者には心強いと思います。
交通事故における3つの基準
交通事故の賠償額については、「自賠責基準」「任意保険基準」「裁判基準」という3つの基準があるのをご存じでしょうか。
「自賠責基準」は自賠法に基づく最低限の金額となり、「任意保険基準」というのは各任意保険会社が定めている金額、「裁判基準」というのは裁判をした時に認められる適正な金額です。
このうち、任意保険会社が提示してくるのは、適正な金額である「裁判基準」より低い金額であることが多いです。
しかし、弁護士は「裁判基準」で交渉しますので、法律や保険の素人が交渉するよりも、適正な金額に近づいていくことになります。
素人では、保険会社から提示された金額が「自賠責基準」か「任意保険基準」か「裁判基準」かもわからないでしょう。
この意味でも、交通事故の被害者は、弁護士に相談したほうがよい、ということになります。
交通事故を弁護士に頼むと、慰謝料などの示談金が増額されることが多い
【動画】「交通事故の慰謝料は、弁護士に依頼するとなぜ増額することが多いのか?」
なぜ弁護士が入ると、示談金が増額するのかについてご説明します。
保険会社は、被害者に対して賠償金を低くすればするほど儲かることはご理解いただけたと思います。
そこで、裁判基準より低い金額で慰謝料を提示してくるわけですね。
もちろん、被害者の方も増額交渉するわけですが、なかなか増額されません。
なぜだと思いますか?
交渉の場合には、保険会社が増額を承諾しない限り示談は成立しません。
増額せざるを得ない場合とは、裁判を起こされる場合であって、示談交渉では増額の必要がないからです。
そして、裁判になるのは被害者が弁護士に依頼した場合です。
ということは、被害者が自分で交渉している限りにおいては増額を強制されることはないので、増額に応じる必要がないのです。
ところが弁護士が出てきた場合は、どうでしょうか?
保険会社が低い金額を提示したままだと、本当に裁判を起こしてきて、ギリギリまで高額の賠償金を払わないといけなくなるのです。
それに、保険会社の方も弁護士費用がかかります。
だから、保険会社は交通事故の被害者本人が交渉しているときは増額せず、弁護士が出てくると増額に応じる、ということになるのです。
このことからも、交通事故の被害に遭った時は弁護士に相談したほうよいですね。
さて、交通事故の被害者になった時に弁護士に相談し、依頼した方がいいということはわかりましたが、どうやって交通事故に強い弁護士を探したらよいのでしょうか?
それを、ここから解説していきたいと思います。
交通事故に強い弁護士の探し方
交通事故に強い弁護士は、どうやって探したらよいでしょうか?
まず、覚えておいていただきたいのは、弁護士が全員交通事故に強い弁護士ではない、ということです。
弁護士にも各専門分野があり、交通事故に強い弁護士は探さないと出会えない、ということです。
なぜなら、交通事故は特に怪我の場合など、医学的な問題が出てきます。
診断書が読めないといけませんし、後遺障害等級の認定などでは認定基準を知っていなければいけません。
有利な医証を熟知していなければいけません。
また、保険も年々複雑になっています。
自分で人身傷害補償特約をつけている場合に、その保険と加害者側の任意保険のどちらに先に請求するかで、最終的な獲得金額が異なってくる場合があります。
そのような保険の知識も必要です。
法律だけの問題ではないのです。
したがって、交通事故の被害者になった時は、交通事故に強い弁護士に相談することをおすすめします。
交通事故に強い弁護士の探し方ですが、まずはインターネットです。
しかし、ご注意ください。
ウェブサイトは、誰でも作れます。
「交通事故専門です」と書くことができます。
信用しないようにしてください。
その中でも交通事故に強い弁護士は、
・専門書を執筆しています。
・名前が売れているので、テレビのニュース等から交通事故の専門家として取材をされます。
・実績を出しています。
・ある程度の経験年数が必要です。
このあたりを注意してみるようにしてください。
次に、依頼をする前に必ず相談してみましょう。内容を説明し、医学的な話ができるかどうか、今後どう進むのかについてスラスラと説明できるか、どういう点が問題になりそうか、わかっているか、保険会社が提示した金額を見せて、その場でおかしな点を指摘できるか、などを見るようにしましょう。
そして、話してみて、信用できそうだと思ったら依頼することにしましょう。
また、依頼する場合には必ず契約書を締結するようにしましょう。
契約書に弁護士費用が明記されているかどうかもポイントです。
最近は、着手金なしの成功報酬制も増えていますので、探してみるといいでしょう。
なお、自分の任意保険に「弁護士費用特約」がついている場合には、最大300万円まで保険金が出る可能性があるので、事前に確認しておきましょう。
以上、簡単に説明しましたが、もっと詳しく知りたい人は、下のページを参照してください。
交通事故を弁護士に相談すべき7つの理由と2つの注意点|交通事故弁護士SOS
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交通事故で後遺症が残ったときに弁護士に示談交渉を依頼するべきか?
2016年03月01日交通事故に遭ってしまい怪我の程度が重大な場合には、治療を続けても後遺障害が残ってしまうケースがあります。
後遺障害は一般的に後遺症ともいわれますが、そもそも後遺障害とはどのようなものなのでしょうか。
後遺障害が認定されるための手続きも知っておく必要があります。また、交通事故で後遺障害が残った場合、相手方任意保険会社との示談交渉の手続きが難航することがあります。
このような場合、示談交渉を弁護士に依頼するとメリットはあるのでしょうか。
どのようなメリットがあるのかも知っておきたいところです。そこで今回は、交通事故で後遺障害(後遺症)が残った場合に弁護士に示談交渉を依頼するべきかどうかを解説します。
後遺障害とは
交通事故に遭うと、後遺障害が残ることがあります。
後遺障害は、後遺症ともいわれます。
たとえばムチ打ちの後遺症で痛みが残ったり、交通事故の怪我によって手足が不自由になったり、失明することもあります。高次脳機能障害などの難しい症状が残ってしまうこともあります。
このようにさまざまな種類のある交通事故の後遺障害ですが、具体的にはどのような障害で、どのような場合に認定されるものなのでしょうか。
以下で順番に見てみましょう。
後遺障害は症状固定後も治らない症状
後遺障害とは、交通事故後入通院治療を続けても、それ以上症状が良くならない状態で残ってしまった症状のことです。
交通事故後の障害が完治せずに、症状が一生残ってしまう場合に後遺障害があるとみなされます。
その後の治療によって症状が良くなったり完治する可能性がある場合には、後遺障害があるとはいえません。この場合の「それ以上治療を続けても良くならない」状態のことを、「症状固定」といいます。
症状固定したかどうかについては担当医が判断しますが、症状固定時に残っている症状が基本的に後遺障害として認定されることになります。
後遺障害には等級がある
一口に後遺障害といっても、その内容や症状はさまざまです。
ムチ打ちの後遺障害で、なんとなく首が痛む、腰などの身体の部分が痛むというケースもあるでしょうし、片手が不自由になった場合、両足が不自由になった場合、片眼が失明した場合、脳機能障害が残った場合、半身不随になった場合など、後遺障害の症状も程度もまったく異なります。
このようにまったく異なる後遺障害を一律に取り扱うことはできません。
当然、後遺障害の内容によって支払われる慰謝料の金額なども大きく異なります。このように、後遺障害の内容や程度に区別をつけるため、後遺障害には等級がもうけられています。
具体的には、後遺障害には、1級から14級までの等級があります。
1級が一番重い後遺障害で、たとえば両目が失明した場合や両手両足が不自由になった場合などがあてはまります。1番軽いものは14級で、ムチ打ちの後遺症によるの神経障害などがこれに当あたります。
後遺障害が残った場合には、まずはそれがどの等級の後遺障害に該当するのかについて、後遺障害の認定を受けることが必要になります。後遺障害の認定方法
交通事故後に後遺障害が残った場合には、その症状に応じて後遺障害の等級認定を受ける必要があります。
では、この後遺障害の認定は、どのような方法で受けることができるのでしょうか。
後遺障害の認定手続きは、交通事故の損害保険料率算出機構という機関によって行なわれています。
よって、後遺障害等級を認定してもらいたい場合には、基本的に損害保険料率算出機構に依頼しなければなりません。なお、後遺障害等級の認定を受けるには、2つの方法があります。1つは被害者請求、もう1つは事前認定加害者請求です。
以下では、これらの2つの方法について説明します。
2つの後遺障害認定請求方法
事前認定加害者請求とは
加害者請求事前認定とは、相手方の任意保険会社に後遺障害認定手続きを依頼する方法です。
交通事故の相手方が任意保険に加入している場合、慰謝料などの損害賠償金の支払いについて、相手方の任意保険会社と話し合う(示談交渉する)ことになります。
このとき、相手方の任意保険会社が自賠責保険の分も窓口になり、まとめて対応してくれることが普通です。
このように相手方の任意保険会社が自賠責保険もまとめて対応することを一括対応といいます。そして、この一括対応サービスの一環として、相手方の任意保険会社は後遺障害の認定手続きも代行してくれます。
このように、相手方の任意保険会社が後遺障害認定手続きをする方法のことを加害者請求事前認定といいます。
被害者側に発生した後遺障害の認定手続きを加害者側の任意保険会社が代行して行なうので、加害者請求というわけです。加害者請求事前認定の方法
加害者請求事前認定をする場合の方法は簡単です。
まず、相手方の任意保険会社に後遺障害の認定請求をしたい旨を伝えます。すると、相手方の任意保険会社からは、担当医が作成した「後遺障害診断書」を送るように言われます。
そこで、診断書の書式を取り寄せて担当医に後遺障害診断書を記載してもらい、任意保険会社に送付すれば、基本的に後遺障害認定手続きができます。
数ヶ月後、認定手続きが終了すると、認定結果の連絡が来ます。
手続きの結果、後遺障害が認定されればその等級が知らされますし、認定が下りないケースもあります。被害者請求とは
交通事故の後遺障害の認定方法には被害者請求もあります。
被害者請求とは、後遺障害認定請求の手続きを、被害者が自分でする方法のことです。相手方の任意保険会社を通じることなく、被害者自身が自分で相手方の自賠責保険会社に直接連絡をとって後遺障害認定請求を進めます。
加害者ではなく被害者が自分で請求して認定手続きを進めるので、「被害者請求」といいます。
被害者請求の方法
被害者請求の方法は、加害者請求事前認定の場合より多少手間がかかります。
この場合、まずは相手方の自賠責保険会社に連絡を入れて、後遺障害認定請求をしたい旨を伝えます。
すると、自賠責保険から後遺障害認定請求用の書類が送られてきます。そこで、まずは担当医に依頼して「後遺障害診断書」を書いてもらいます。
さらに、被害者請求をする場合には多くの書類が必要になります。
具体的には、「交通事故証明書」や「支払請求書兼支払指図書」(実印による押印が必要です)、「印鑑証明書」、「事故状況説明図」、「診断書」、「診療報酬明細書」などです。
これらの書類をすべてそろえて相手方の自賠責保険会社宛てに送ります。
すると、数ヶ月ほどで後遺障害についての決定が出て、その結果通知が送られてくることになります。
手続きの結果、認定が下りればその等級が知らされますし、後遺障害の認定が下りないこともあります。被害者請求か加害者請求事前認定か、どちらを選択すべきか?
以上のように、後遺障害の認定請求の手続き方法としては、相手方の任意保険会社に手続きを依頼する「加害者請求事前認定」と、被害者自身が自分で請求する「被害者請求」の方法があります。
後遺障害認定請求をしたい場合、どちらの方法をとればよいのでしょうか。
この点について、考え方にもよりますが、きちんと認定を受けたいのであれば被害者請求をする方法がおすすめです。加害者請求事前認定では、事故の相手方に自分の後遺障害の認定手続きを依頼してしまうことになります。
相手方の任意保険会社も仕事で手続きをするのですから不正をすることはないかもしれませんが、それでも被害者側の立場としては内部でどのようなことが行なわれているのかまったくわからず、手続きが不透明になります。
また、後遺障害の認定請求を受ける損害保険料率算出機構においても、加害者側から請求が来ている場合と被害者側から直接請求が来ている場合とではプレッシャーが異なるともいえます。
よって、きちんと後遺障害の認定を受けて権利を実現したい気持ちが強いのであれば、被害者請求の方が安心で確実です。
ただし、被害者請求をしようとすると、必要書類なども多く、自分で手続きをしなければいけないため、いろいろと手間がかかります。
支払請求書の提出後も、損害保険料率算出機構から追加の書面、資料の提出や問合せなどがあることもあり、それらの対応も必要になります。
被害者請求手続きをする場合には、ある程度の手間がかかることは覚悟が必要です。
認定結果に対しては「異議申し立て」ができる
後遺障害の認定請求をしても、必ずしも後遺障害の認定が下りるとは限りません。
また、認定が下りたとしても、思っていたより等級が低くなることもあります。そもそも後遺障害が認定されないと、慰謝料や逸失利益の支払いは受けられませんし、等級が低いと支払われる慰謝料や逸失利益の金額は低くなってしまいます。
たとえば、ムチ打ちで身体に痛みが残っているのに、画像診断などでは何の症状も見られないという理由で後遺障害認定が受けられないケースなども多いのです。
では、後遺障害の認定が受けられなかったり、不当に低い等級認定になってしまった場合、何か対処方法はないのでしょうか。
この場合、後遺障害の認定結果に対しては、異議申し立てができます。
異議申し立てをする場合には、「異議申立書」という書類に理由をきちんと記入して提出する必要があります。
なお、異議申立書には異議申し立ての理由をきちんと書き込み、異議内容が認められるためには後遺障害の認定に役立つ資料などを添付することが重要です。
異議申し立ての際の注意点
後遺障害の認定結果に納得がいかない場合には、決定内容に対して異議申し立てをすることができますが、異議申し立ての際の注意点やポイントはあるのでしょうか。
まずは認定されなかった原因を検討する
異議申し立てをしても、的を得た内容でないと結局はまた同じ結果になってしまいます。
そこで、異議申し立てをする際には、なぜ1度目の請求の際に認定されなかったのかをよく考える必要があります。
すでに提出している診断書や後遺障害診断書を見直して、その記載内容をチェックしましょう。きちんと現状の問題や症状について正確に記載されているかどうかを検討します。
提出している他の客観的な資料類にも不足がないかを見て、もし資料不足があるようなら、それを補足する方法を考えないといけません。
具体的には、担当医に新しく検査や診断書作成を依頼することが多いです。
後遺障害診断書の内容をチェックする
異議申し立ての際には、後遺障害診断書の内容を確認することが大切です。
基本的な問題として、後遺症と関連する傷病名が記載されていること、その傷病に応じた治療が行なわれているかなどをチェックします。最初に作成された診断書には傷病名が書かれていても、後遺障害診断書にその傷病名や症状が書かれていないと後遺症が認定されないのです。
このようなことも医師にきちんと説明する必要があります。
さらに、本当に症状固定していて完治が望めない症状かということも問題になることがあります。
間違っても医師に「完治」などと書いてもらうことのないように注意しましょう。過去には、後遺障害診断書に医師が「完治」と書いていたために後遺障害認定が受けられなくなった事案などもあるので、医師に理解してもらう必要があります。
新たに診断書を記載してもらう場合のポイント
異議申し立ての際には、新たに診断書や意見書を記載してもらうことがあります。
その際、自分の後遺障害が交通事故によって発生したという因果関係をはっきりさせることも重要です。単に交通事故のあった日にその症状(たとえば骨折など)が起こったというだけでなく、医学的にそのような骨折は交通事故によって発症した可能性が高いことを証明する必要があるケースもあります。
そのような医学的な説明方法などについては、しっかりと医師とコミュニケーションをとって相談することが大切です。
さらに、異議申し立てのために医師に追加で診断書を依頼する場合の依頼方法にも注意すべきです。
「もう一度、異議申し立てのために診断書を書いてください」というだけでは、前回と同じような内容のものしか書いてもらえない可能性が高いです。
異議申し立てのために、あらためて診断書を書いてもらうのであれば、どのような医学的な問題や事実、見解について記載してもらいたいのかを具体的に説明しなければなりません。
このように、1回目の認定に対して具体的な問題点を指摘して資料を揃えることにより、異議申し立てを成功させることができる可能性が高まるのです。
弁護士に依頼すると手続きがスムーズに進む
後遺障害の認定手続き(被害者請求)のためには、いろいろな資料が必要になります。
また、異議申し立ての際にはさらに多くの検討が必要になりますし、異議申し立てが認められるための証拠集めなども大変になります。このような対応については、被害者が自分で進めることは困難なことが多いです。
そこで、後遺障害の認定手続きや異議申し立てをしたい場合には、弁護士に依頼するとメリットが大きいです。弁護士に手続きを依頼すると、被害者請求の手続きをすべて弁護士が代行してくれますし、必要書類なども適切に集めてくれます。
異議申し立てをする場合にも、どのような方法で進めるべきかを検討してくれたり、法律的な観点から必要な証拠集めをしてくれるので大変心強いです。
このように、後遺障害の認定請求をしたい場合には、弁護士に手続きを依頼したほうが何かと手続きがスムーズに進むのでメリットがあります。
なお、弁護士に手続きを依頼したい場合には、弁護士に交通事故の示談交渉そのものを依頼することになります。
通常、弁護士は何らかの依頼を受ける際、「事件」ごと依頼を受けるので、「後遺障害の認定請求だけ」の依頼を受けることはあまりないからです。
よって、後遺障害が残った場合には弁護士にその交通事故にもとづく相手方への損害賠償手続き(示談交渉手続き)全体を依頼して、その手続きの中で後遺障害認定請求もしてもらうことになります。
任意保険会社との示談交渉とは
交通事故により後遺障害などが残ることがありますが、このように損害が発生した場合には、相手方の任意保険会社と示談交渉をしなければなりません。
では、この場合の「任意保険会社との示談交渉」とは、そもそもどのような手続きなのでしょうか。
交通事故が起こって怪我をした場合などには、損害が発生します。
当然、その損害を相手方(加害者)に賠償してもらわないといけません。ただ、損害が発生しても、相手方が自主的に損害内容を調べて賠償金を支払ってくれるわけではありません。
被害者側が、相手方に対して賠償請求をしなければならないのです。そして、多くの場合で、加害者は交通事故の損害賠償保険に加入しています。
損害賠償保険は、自賠責とは異なる任意の保険のことです。自賠責は強制保険ですが、それとは異なり任意に加入している保険なので「任意保険」といいます。
加害者が任意保険に加入している場合には、任意保険会社が加害者に代わって損害賠償金を支払うことになります。
そのため、損害賠償金の金額を決定するための交渉(示談交渉)も任意保険会社が代行することになるのです。
このように、基本的には交通事故の示談交渉は任意保険会社が代行するで、被害者側からすると、示談交渉相手が相手方の任意保険会社になるのです。
これが、任意保険会社との示談交渉の仕組みです。
示談交渉を弁護士に依頼するメリット
交通事故で損害を受けた場合、相手方の任意保険会社との示談交渉が必要になりますが、この示談交渉を弁護士に依頼すると、たくさんのメリットがあります。
特に、交通事故後の後遺障害が残った場合には、示談交渉を弁護士に依頼したほうがメリットが高まります。
以下では交通事故後の相手方の任意保険会社との示談交渉を弁護士に依頼するメリットを順番に確認していきます。後遺障害の認定手続きをしてくれる
交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するメリットの1つ目は、前述の後遺障害認定請求の項でも説明したように、後遺障害の認定請求手続きがスムーズに進むことが挙げられます。
後遺障害認定請求で、きちんと認定を受けるためには被害者請求をすべきですが、法律も保険も素人である被害者が自分で対応していては、適切に手続きをすることが難しいことが多いのです。
どのような証拠をそろえて、どのような主張をすれば通りやすいのかなどもわからないことが普通です。
そこで、後遺障害認定請求の手続きを弁護士に依頼します。
特に交通事故事案に明るく、知識や経験の豊富な弁護士に依頼すれば、後遺障害の認定手続きや異議申し立ての手続きなどが格段に進めやすくなります。
被害者が自分で認定請求をして後遺障害の等級認定が受けられない場合でも、弁護士が適切な対応をとれば後遺障害の認定が受けられることもあるのです。
後遺障害が認定されるかどうかで、支払われる賠償金の金額が大きく異なってきます。
最低の等級である14級でも、後遺障害慰謝料は110万円(弁護士基準)になりますし、最高の等級の1級なら後遺障害慰謝料は2,800万円にもなります(弁護士基準)。
さらに後遺障害の認定を受けると、その等級に応じて労働能力喪失率が認められて、逸失利益分の賠償金も支払われます。
逸失利益とは、その後遺障害が残ったことによって働けなくなるので、本来得られたはずの利益が得られなくなるという意味の賠償金です。これについても、後遺障害の程度(等級)が重い方が高額になります。
以上のように、後遺障害認定が受けられるかどうかや、どの等級で認定が受けられるかということは、交通事故の賠償金の算定の際に非常に大きな問題になります。
弁護士に依頼すると、適切な等級での後遺障害の認定を受けやすくなるのですから、そのメリットは多大であることがわかります。
法律的な知識をもって示談交渉を有利に進めてくれる
弁護士に示談交渉を依頼すると、後遺障害の認定手続き以外にもメリットがあります。
被害者個人が相手方の任意保険会社と示談交渉していると、被害者には法律的知識が少ないために、不利な条件を押しつけられて合意してしまうことが多いのです。被害者が素人の場合、そもそも交通事故の賠償金の種類がどのようなものかも正確に知らないことが多いですし、賠償金の計算方法も知らないことが普通です。
たとえば、交通事故で傷害を負った場合には、前述したように「症状固定」時まで通院を継続しなければなりません。そうしなければ、そもそも後遺障害の判断もできず、後遺障害認定請求をすることもできないのです。
ところが、被害者個人が任意保険会社と示談交渉している場合には、通院継続中であるにもかかわらず相手方の任意保険会社から治療費支払いを打ち切られて、「そろそろ治療を終わって示談交渉したい」と言われてしまうことがあります。
この場合、被害者個人が対応していると、「治療費を打ち切られるなら、もう通院をやめないといけない」と思い込んで、症状固定していないにもかかわらず通院をやめて示談してしまうことがあるのです。
すると、当然、後遺障害の認定を受けられず、後遺障害慰謝料や逸失利益の請求をすることもできません。
また、入通院慰謝料などの他の賠償項目の金額も少なくなってしまいます。
つまり、被害者個人が自分で示談交渉していると、その知識のなさにつけこまれて、不当に不利益な内容で示談してしまうおそれがあるのです。
もし示談交渉手続きを弁護士に依頼していれば、このような不利益を受ける可能性はありません。
このように、示談交渉は弁護士に依頼するとメリットが大きいことがわかっていただけたと思います。高額な弁護士基準で慰謝料計算してくれる
交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するメリットは他にもあります。
それは、弁護士に依頼すると賠償金の計算方法が変わることです。交通事故の損害賠償金の計算方法には、3つの種類があります。
具体的には、「自賠責基準」と「任意保険基準」、そして「弁護士基準(裁判基準)」です。
この中で自賠責基準が一番金額が低い基準で、次に任意保険基準、一番高いのが弁護士基準です。自賠責基準とは、最低限の補償をするための自賠責保険での賠償金の基準であり、任意保険基準は任意保険会社で採用されている基準です。弁護士基準は裁判になった場合に裁判所で採用される基準です。
被害者が自分で任意保険会社と交渉する場合には任意保険基準で計算されますが、弁護士に示談交渉を依頼すると一番高い弁護士基準で賠償金が計算されます。
つまり、弁護士に示談交渉を依頼すると、同じ損害内容でも賠償金額が大幅に増額されることが多くなるわけです。
たとえば、後遺障害慰謝料の金額も任意保険基準と弁護士基準では大きく異なります。
後遺障害等級14級の場合、任意保険基準なら後遺障害慰謝料の金額は40万円程度ですが、弁護士基準なら110万円にもなります。
後遺障害等級6級なら、任意保険基準では後遺障害慰謝料の金額は600万円程度ですが、弁護士基準の場合には1,180万円にもなります。後遺障害等級1級の場合には、任意保険基準なら後遺障害慰謝料の金額は1,300万円程度ですが、弁護士基準なら2,800万円にもなります。
交通事故の損害賠償の項目は、後遺障害慰謝料以外にも、入通院慰謝料や死亡慰謝料などもありますが、これらの損害項目についても任意保険基準より弁護士基準の方が高くなります。
よって、相手方の任意保険会社との示談交渉を弁護士に依頼すると、結果的に損害賠償金額が相当高額になることが多いのです。
後遺障害が残るような大きな事案では、弁護士基準で賠償金額を計算した方が有利になり、弁護士費用を支払ってもなおメリットが大きくなることがほとんどです。
これらが、交通事故で後遺障害が残った場合に弁護士に示談交渉を依頼することをおすすめする理由です。
弁護士に相談する際のポイントは?
弁護士に示談交渉を依頼する場合、どのようなことに注意すべきなのでしょうか。
以下では、示談交渉を弁護士に依頼する場合の注意点や弁護士の選び方のポイントについて説明します。
交通事故に強い弁護士を選ぶ
交通事故の示談交渉を弁護士に依頼する場合、当然、交通事故に強い弁護士を選ぶ必要があります。
弁護士にもいろいろな人がいます。中には交通事故をほとんど取り扱っていない弁護士もいますし、取り扱うとしてもあまり得意ではない人もいます。
交通事故に不慣れな弁護士に示談交渉を依頼しても手続きはスムーズに進みませんし、交渉を有利に進めることも期待できません。
ですから、交通事故の示談交渉を依頼するなら交通事故事件に力を入れて取り組んでおり、実績も多い弁護士を探す必要があるのです。
交通事故に強い弁護士とは、日常的に交通事故問題に力を入れて取り組んでおり、多くの交通事故事件の処理実績があり、知識も経験も深い弁護士のことです。
交通事故に強い弁護士の探し方
交通事故に強い弁護士は、どのようにして探せばよいのでしょうか。
この場合、インターネットのホームページを検索してみる方法がおすすめです。「交通事故 弁護士」などのキーワードで弁護士を検索すると、たくさんの弁護士事務所のホームページが出てきます。
その中でも、ホームページ内に交通事故関係の記事が多く、弁護士によるブログやコラムで交通事故の話題が豊富な法律事務所や、交通事故関係の実績や依頼者からの評価などが高い弁護士を選びましょう。
交通事故関係の本の執筆がある弁護士も交通事故に関して知識や経験が豊富な人が多いのでおすすめです。
信頼できそうな弁護士が見つかったら、事務所に電話連絡をして、法律相談を受けることができないかどうか、相談してみましょう。
法律相談ができるなら予約をして、決まった日時に法律事務所に行って弁護士と面談で相談をします。
その場でアドバイスを受けてみましょう。同じ相談内容でも、弁護士によってアドバイスの仕方が異なります。
それは、今までの交通事故案件の経験と知識の差によるものです。依頼する弁護士の力量により示談金額が大きく変わることもありますので、重症のケースほど弁護士選びは慎重にするべきです。
相談をしてみて納得できたら、示談交渉の依頼をすると良いでしょう。費用設定がわかりやすい弁護士を選ぶ
交通事故の示談交渉を弁護士に依頼する場合には、費用設定がはっきりしている事務所を選ぶことが重要です。
弁護士の費用体系は、わかりにくくなっていることが多いです。
後から依頼者が予想していなかったような追加費用などがかかってトラブルになることもあります。また、当初にかかる費用が安くても、事件解決後の成功報酬金が高額で依頼者が驚くこともあります。
このようなトラブルを避けるためには、当初から費用設定がわかりやすく、リーズナブルな事務所を選ぶことが重要になります。交通事故の示談交渉依頼を弁護士に相談する場合には、費用についてもしっかりと確認して、最終的にいくらかかるのか、どのくらいかかる可能性があるのかなどについて説明を受けましょう。
できれば費用についての見積書を出してもらうと良いでしょう。
費用について明確でない事務所に依頼すると、後々トラブルになる可能性があるので、やめておいた方が賢明です。
事件処理方針を確認する
交通事故について弁護士に相談する際には、その事件について、弁護士の事件処理方針をしっかりと確認する必要があります。
同じ事件でも、すべての弁護士が同じ対応をとるとは限りません。人によって判断が異なりますし、それぞれの方針によって将来の結果が変わってくることが普通です。
そこで、弁護士に示談交渉を依頼する場合には、当初の大まかな事件処理方針だけでも確認して、きちんと納得しておく必要があります。処理方針に納得できない弁護士には依頼すべきではありません。
よって、弁護士に相談する場合には、どのような方針で事件を進めるのかの説明を受けた上で、きちんと納得できる方針を立ててくれた弁護士に依頼するようにしましょう。
しっかりと状況を説明する
弁護士に交通事故の相談をする場合には、依頼者としてやらなければいけないこともあります。
それは、交通事故の状況や、その後の任意保険会社の対応など、全体の状況をしっかりと弁護士に説明して伝えるということです。いくら交通事故に強い弁護士であっても、適切に情報を伝えられなければ正しい判断をすることはできません。
同時に、依頼者がきちんと説明できなければ、弁護士も方針を立てて対応することができなくなってしまいます。よって、交通事故の相談をする場合には、正確に事件の内容を説明できるようにしておくことが重要です。
そのためには、交通事故証明書などの資料を用意したり、相手方の情報や相手方任意保険会社の情報、担当者などの連絡先、交通事故の状況を示した図面、診断書や通院先の情報など、関連する資料をそろえて正確に説明できるように準備しておきましょう。
後遺障害が残っていると思われる場合には、どのような症状があるのかなども説明できると良いでしょう。
(通院継続中の場合で、まだ後遺障害の有無が不明な場合には不要です)このように、依頼者側も適切に対応することによって、弁護士もその本来の力を発揮できるようになるのです。
まとめ
今回は、後遺障害が残った場合に弁護士に示談交渉を依頼したほうが良い理由について説明しました。
◆後遺障害とは、それ以上治療を続けても症状が良くならないという状態(症状固定)で残ってしまった症状のことです。
◆後遺障害には1級から14級までの等級があり、それぞれの等級によって後遺障害慰謝料などの金額も異なります。
◆後遺障害の認定を受けるためには被害者請求と加害者請求事前認定がありますが、被害者請求の方がおすすめです。
また、認定結果には異議申し立ても可能です。◆後遺障害が残る場合には、弁護士に依頼すると後遺障害認定請求の手続きがスムーズに進むことが多いです。
異議申し立ての際にも、弁護士が資料や証拠を集めて必要な主張をしてくれます。◆交通事故後は相手方の任意保険会社と示談交渉をしますが、弁護士に示談交渉を依頼すると法的な知識をもって適切な対応をしてくれるので、示談交渉が有利に進みやすいです。
◆弁護士が示談交渉する場合には、高額な弁護士基準をもって賠償金を計算してくれるので、支払いを受けられる賠償金額も高くなります。
◆交通事故の示談交渉を依頼する弁護士を探す場合には、交通事故に強い弁護士を探す必要があります。
その際、費用や事件処理方針についてもしっかりと確認しましょう。◆相談する際には、依頼者としても事件の内容を正確に説明できるように準備しておく必要があります。
後遺障害が残る事案では、被害者の方は今回の記事を参考にしながら弁護士に示談交渉を依頼して、有利に示談交渉を進められるようにしましょう。