ブログ | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜 - Part 49
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。
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  • 横浜市のコメント

    2006年02月01日

    耐震強度偽装事件で、ヒューザーが、東京都など18自治体を相手に約139億円の損害賠償請求訴訟を提起したようです。朝日新聞ニュース

    建築確認業務を行ったのは、民間検査機関ですが、都道府県は、違法建築物を未然に防ぐ注意義務があり、その注意義務を怠ったというのが、その理由のようです。(訴状を見ていないので、ニュースをもとにしました。)

    横浜市は、これに対し、「ヒューザーが構造計算を依頼した建築士が偽装して行政処分を受けているにもかかわらず、建築主自ら自治体を相手に訴訟を起こすなど本末転倒だ」とのコメントを発表したそうです。(上記ニュースによる)

    この「本末転倒」というコメントも今ひとつ理解できません。「横浜市は処分をする側であって、逆に訴えられるなんて本末転倒」ということでしょうか。

    しかし、自ら処分をすることと、賠償責任を負担することは無関係です。これは、会社の従業員が業務上で違法行為をした時に、会社が従業員を懲戒解雇したからといって、会社が賠償責任を免れることがないことや、公務員が違法行為をしたときに、公務員を処分したからといって、国などが賠償責任を免れないのと同じです。

    あるいは、「ヒューザーが自分で構造計算を依頼しておきながら、賠償請求をするなど本末転倒だ。」ということでしょうか。しかし、依頼された者が違法行為を行ったときにこれを訴えるのは当然のことです。

    結局、「本末転倒」という言葉がしっくりくるのは、「ヒューザーが『違法な』構造計算を指示・依頼しておきながら、自ら賠償請求訴訟を起こすのは本末転倒だ。」という意味の場合ということになります。

    しかし、ここまで言ってしまうと、今度は、横浜市はヒューザーから名誉毀損で訴えられることになります。そこで、先のコメントに留めて意味不明になってしまったのか、あるいは、そこまで考えずにコメントしたのか、それは不明です。

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  • 何に対する責任か。

    2005年12月30日

    ライブドアの堀江貴文氏の逮捕後、「ホリエモンを持ち上げすぎたメディアの責任はないのか!?」との声が聞かれます。

    http://tinyurl.com/a7an9

    メディアが堀江氏を持ち上げたことが悪いことが前提になっているようですが、何に対するどんな責任でしょうか。

    メディアが持ち上げたことと、今回の刑事事件との因果関係はないと思いますので、法的責任ではないでしょう。

    どんな責任であるかを別にしても、まず、誰かが責任を負担しなければならない結果があるはずです。

    「メディアがホリエモンを持ち上げすぎたことが原因となって、〇〇〇〇という結果になった。したがって、メディアには、その結果を惹起した責任があるのではないか?」

    ということだと思うのですが、この〇〇〇〇の部分が、私には理解できていません。

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  • 京大アメフト部集団強姦被疑事件

    2005年12月28日

    京大アメフト部の元部員3名による集団強姦被疑事件があります。

    被疑者の1人の家で女子大生等を誘い「鍋パーティ」を行い、そこで強い酒を飲ませて泥酔させ、集団で強姦したという被疑事件です。手口としては、ゲームと称して、焼酎の瓶を横に倒して回し、止まった瓶の口が向いた人が一気飲みをするということを繰り返し、泥酔状態に追い込むというものです。

    強姦罪は、刑法177条に規定されており、暴行又は脅迫を用いて強姦した場合であり、3年以上の有期懲役です。しかし、暴行又は脅迫を用いなくても、人の心神喪失又は抗拒不能に乗じ、または心神喪失させ、又は抗拒不能にさせて強姦した場合も同様です。今回は、こちらの方でしょう。

    しかし、どちらにしても、原則は、親告罪というものであり、被害者等からの告訴がなければ刑罰を科すことがありません。

    しかし、2人以上の者が共同で犯した強姦事件は、悪質性が高く、告訴なしでも刑罰を科すことができるようになっています。

    さらに、早大サークルメンバーによる連続女子強姦事件を受けて刑法が改正され、集団強姦罪が規定されています。この刑罰は、4年以上の有期懲役です。今回は、この集団強姦罪が成立するかどうかが争点となります。

    3人のうち2人は「合意のもとである。」と主張し、容疑を否認しているようです。

    鍋パーティを開いた経緯、会話、飲んだ酒の量、嘔吐した点、犯行に及んだタイミング、同種被害届が出ているかどうか、その他様々な事情から、合意があったかどうかが判断されます。3人別々に拘束し、取り調べをしますので、相互の供述の矛盾をつきながら自白を迫っていきます。

    被害女性は、今後とても嫌な思いをすることになるでしょう。事件後の精神的被害である二次被害を極力防止するような捜査・公判・取材・公表等を行っていただきたいと思います。

    この種事案では、同様の行いが繰り返しなされていることが一般です。その繰り返しの中で、手口が巧妙になり、システム化されて反復継続されていきます。そして、成功体験のために、悪質性も高まっていきます。したがって、余罪追及も重要です。

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  • 原稿の督促を受ける。

    2005年12月25日

    今、新刊の執筆作業中ですが、今朝、出版社のFさんより、途中経過確認の電話が入りました。

    Fさんは、督促が厳しい鬼編集者と呼ばれている方です。

    今日は月2回の督促日のうちの1日だったのだそうです。

    私はまだ目次を作って喜んでいたところだったので、早速着手したいと思います。

    Fさんのブログはこちら

  • ライブドアの捜査について

    2005年12月23日

    「今回のライブドアの証券取引法違反とかが、無罪だったらどうなるの?損害賠償がすごい金額なのでは?」

    と、よく聞かれます。

    逮捕まで持ち込まれない場合、起訴まで持ち込まれない場合、最終的に無罪になった場合には、ライブドアからは、巨額の損害賠償(国家賠償)が請求される可能性があります。

    普通の損害賠償は、民法による損害賠償請求です。しかし、今回は、東京地検特捜部が行っている捜査であり、公務員が行う行為ですから、特別に「国家賠償法」に基づく損害賠償請求になります。

    ただ、有罪が立証できなければ、全ての場合に損害賠償が認められるわけではありません。公務員の故意または過失があったことが必要になります。

    今回のように、社会的影響が極めて大きいときには、捜査機関は、強制捜査に踏み切るのに、とても慎重になります。東京地検特捜部が、そこをあえて踏み切ったということは、相当有力な証拠をつかんでいる、と見ることができます。

    仮に最終的に無罪だったとしても、国家賠償請求における過失の立証は極めて難しい、ということになるでしょう。

    個人が逮捕勾留された場合には、刑事補償法による補償というのがありますが、とても逮捕勾留による損害をまかなえるものではありません。

  • ライブドア関係会社役員の自殺

    2005年12月22日

    ライブドア事件で、自殺者が出ています。

    1月18日に、ライブドア事件の重要な証人と言われていたライブドア子会社の元役員が自殺し、22日に告別式が行われました。

    大きな経済事件のときに自殺者が出ることはたまにあります。遺書があれば、前々から自殺を考えていたとも思えますが、遺書がないような場合には、今回の強制捜査をきっかけにした自殺の可能性が高いのではないでしょうか。

    精神的重圧に耐えられなかったか、あるいは家族を守るため、という可能性があります。もしくは、これで自分の人生が終わった、と考えたのかもしれません。

    いずれにしても、ご冥福をお祈り致します。

    ところで、

    会社の倒産事件でも、社長が自殺してしまうケースがあります。生命保険に入っていることが多く、ご遺族には、生命保険金が支払われます。

    自殺された方は、悩み苦しんだ結果の決断だと思いますが、正しい決断なのでしょうか。もちろん、ご本人は正しい決断だと信じて自殺しているわけです。

    しかし、家族としては、全財産がなくなって、ゼロからスタートだとしても、生きていて欲しいのではないでしょうか。最後の最後に、どのような決断をするのかはとても重要です。

  • 交渉・説得本増刷決定(3回目)

    2005年12月18日

    3回目の増刷が決まりました!

    「思いどおりに他人を動かす交渉・説得の技術」(同文館出版)

    ありがとうございます。

     

  • ロイヤーズ・ストーリー

    2005年12月16日

    1月15日配信のメルマガからです。

     

    こんな話があります。

    1人の男がいました。

    彼は、一流の大学を卒業し、若くして司法試験に合格し、弁護士として働きはじめました。

    彼の欠点は、議論が苦手なことでした。

    彼は、自分の環境に不満を持っていました。

    給料は安く、やりがいのある事件も回してもらっていませんでした。

    彼は、どうせ給料が安いし、やりがいのある事件もやらせてもらえないのだから、ということで、それに見合った仕事しかしませんでした。

    つまり、なるべく手を抜いて楽をしようとしたのです。

    彼は、自分が議論が苦手で、相手に論破されたり、裁判所で論理矛盾を指摘されたりしても、この程度の給料や仕事だったら、別にいいや、と思っていました。

    いつも居酒屋で事務所のグチを言っていました。

    その男を雇っている法律事務所の所長は、その男の仕事ぶりを見て、「これでは、とても給料は上げられないし、重要な仕事も任せられない。」

    と考え、全く給料を上げず、より単純で頭を使わない仕事を彼に与えるようになりました。

    すると、その男は、

    「俺は経験を積んでスキルがアップしたのに、それに見合う給料をもらえない。給料が増えないということは、以前と同じ程度の仕事の質でいいということだ。それになんだ、この単調な仕事は。俺はなんて運が悪いんだ。」

    と考え、より一層手を抜いた仕事をするようになりました。


    法律事務所の所長は、その後、その男を解雇しました。


    もう1人の男がいました。

    彼も、一流の大学を卒業し、若くして司法試験に合格し、弁護士として働きはじめました。

    彼の欠点も、議論が苦手なことでした。

    しかし、彼は環境に不満を持つのではなく、自分に不満を持っていました。

    もっと議論に強くなれば、一流の弁護士になれ、自分で環境を変えられるはずだ、と考えていました。

    彼は議論の勉強を一生懸命しました。議論に関する本を買い、遊ぶ時間を惜しんで勉強しました。

    はじめは相手の弁護士に議論で負けました。

    しかし、次第に勝ったり負けたりになり、そのうち、負けることがなくなりました。

    議論に強くなると、論理的な文章が書けるので、裁判でも勝つようになりました。

    事務所内で事件の処理方針について議論するときも、論理的で説得力のある議論を展開することができるようになりました。

    その男を雇っている法律事務所の所長は、その男が給料以上の働きと成果をあげていることを認め、給料をアップし、更に重要な仕事を与えるようになりました。

    その男は、これに自信を得て、更に寸暇を惜しんで仕事に励み、また勉強しました。

    その仕事は、アップした給料以上の働きと成果をあげるものでした。

    その男を雇っていた法律事務所の所長は、彼に事務所の経営陣に加わって欲しいと依頼しました。

    そして、その男は、法律事務所の経営者になり、その後もますます活躍しました。


    これが物語です。



    もしあなたが同じ境遇だったら、どちらの男になりたいですか?



    この物語には、人生における極めて重要でシンプルな原則がいくつか含まれています。

    今日申し上げたいのは、そのうちの次の原則です。


    「何かを得るためには、それに見合った代償を支払わなければならない。」


    はじめの男は、自分の不遇に対する不満を言うばかりで、それを変えるべく何の代償も支払っていません。

    本当は自分に問題があるのに、全てを環境のせいにしています。

    勝手に環境が変わることを期待しているだけです。しかし、自分が変わらずに、環境が勝手に良い方向に変わるはずがありません。



    二番目の男は、成功を得るために、勉強するためのお金、自分の時間、脳の疲労(議論の勉強は疲れますよね)、その他代償を支払いました。

    二番目の男は、代償を支払う都度、それに見合った成功を得ることができています。


    自分が支払った代償に見合う報酬は必ず得られるのです!


    少なくとも、そう信じて何かを始め、代償を支払い始めない限りは、何も得られません。


    そのような代償のうちの1つに議論の勉強が入っている方のために、E-Bookを作りました。

    今までの1年間にわたるメルマガを整理し、加筆修正し、わかりにくい例は差し替えたりして、なるべくわかりやすいものに仕上げました。

    まとめて読んでみると、理解度が全然違うと思います。

    ぜひ、このE-Bookを読んで、あなたが変わり、そして今の環境を変えていって欲しいと思います。


    あなたが変われば、必ず環境は変わります!

    ほんの少しだとしても、そのための一助となれば幸いです。


    値段は、今出ているE-Bookにしては低価格の1,050円(消費税込み)に設定してあります。

    とにかく自分が動き出すことです。

    今すぐどうぞ。

    「弁護士がこっそり教える 知らないと損する議論の常識」

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    そして、特典として、渾身の書き下ろしレポートをつけています。


    題名は、

    「映画『交渉人』の交渉技術を身につけてあなたもネゴシエーターに!?」です。

    こっちの方が魅力的だったりして。(^_-)v ぶいっ!

    映画「交渉人」は、シカゴ警察の協力を得て製作されており、映画中に出てくる交渉技術は、交渉の原理原則に則ったものになっています。

    その交渉手法について、私が弁護士という職業交渉人としての立場から、分析を加えたものです。

    このE-bookをご購入いただいた方しか読むことができない特別限定版のレポートです。

    もちろんあなたは今後も人質交渉することはないでしょうが、家族との話し合いでも、ビジネスの駆け引きでも、突然知らない人に絡まれたときのやり取りでも、全て同じ人間の心理戦ですので、原理原則は同じです。

    むしろ、人質交渉というようなギリギリの駆け引きで交渉を学んだほうがわかりやすいかもしれません。

    ぜひ読んでみてください。E-Bookを購入すればすぐに読めます。

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    今日も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

    では、あなたの健康と幸せを心からお祈り致します。

  • 交渉人 真下正義

    2005年12月15日

    新しい無料レポートを作成しました。

    2005年に流行した映画「交渉人 真下正義」。この映画では、真下が警視庁初のネゴシエーターとして活躍します。映画の中で、真下と犯人との交渉シーンが何度も出てきます。

    その真下の交渉方法が交渉の原理原則に則っているかどうかを分析したレポートです。

    よろしければどうぞ。

    http://www.jiko-sos.jp/report-present2/

  • 整理回収機構と虚偽の任意売却

    2005年12月13日

    ニュース記事より

    銀行から2億8800万円の根抵当権を設定してある不動産を持っている会社が、銀行から債権と根抵当権を譲り受けた整理回収機構に対して虚偽の不動産売却書類を提出して違法に根抵当権を抹消させたとして、社長らに詐欺容疑で逮捕状が出ました。

    実際には、この不動産以外の土地などと一緒に大阪のマンション販売会社に約5億5000万円で売る予定だったにも拘わらず、整理回収機構に対しては、この不動産だけを逮捕状が出た建築設計会社社長らに約8600万円で売ったことにし、虚偽の契約書類を提出し、そのうち8500万円を整理回収機構に弁済したというものです。

    これがなぜ詐欺になるかというと、整理回収機構は、この不動産を建築設計会社に8600万円で売ると信じて、8500万円での根抵当権抹消に応じたものであり、他の土地などとあわせて別のマンション販売会社に売るという前提であれば、8500万円での根抵当権抹消に応じたかどうかわからないからです。

    不動産業界では、このようなことが行われることがありますが、整理回収機構は、任意売却に応じた後も名義の追跡調査をしますし、預金の流れを調査したりしますので、すぐにばれてしまいます。刑事告訴もされるし、損害賠償訴訟もされます。やめた方がよいでしょう。