ブログ | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜 - Part 42
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。
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  • 職務質問

    2006年09月03日

    2006年9月3日午前3時ころ、食料品店から、レジから1万円ほどなくなっているとの110番通報を受け、同日午前3時35分ころ、大分県の市道で、警察官が、自転車に乗った男に職務質問をしたところ、自転車男にカッターナイフで左肩を切りつけられたそうです。

    ニュース

    警察官の仕事は危険がいっぱいですね。ストレスもたまるでしょう。

    ところで、警察官の行う「職務質問」とは何でしょうか。

    警察官の行為規範として「警察官職務執行法」(警職法)という法律があります。その2条で、職務質問について規定されています。

    警職法第2条(1項~3項)

    1 警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。

     その場で前項の質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に付近の警察署、派出所若しくは駐在所に同行することを求めることがきる。
     
     前2項に規定する者は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所もしくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない。
     
    任意の職務質問であり、強制力はありません。質問を受けても黙秘してかまいません。もちろん、カッターナイフで斬りつけてはいけません。
     
    こんな判例があります。
     
    警察官が、覚醒剤の使用ないし所持の容疑が濃厚な者に対して職務質問中、その者の承諾がないのに、その上衣左側内ポケットに手を差し入れて所持品を取り出した上検査した行為は、職務質問に付随する所持品検査において許容される限度を超えた行為である(最高裁昭和53年9月7日判決)。
     
    職務質問には、このように、強制力がありませんので、警察官としては、任意に所持品を検査させるよう持ち込む交渉力が要求されるということです。
     

  • まだ飲酒運転なのですか?

    2006年09月01日

    またまたまた飲酒運転です。

    2006年10月1日午前10時25分ごろ、大分市内の交差点で、高校教諭で43歳の男性の乗用車が、女性(43)の乗用車と接触事故を起こしたそうです。

    高校教諭は、呼気1リットル中0.4ミリグラムのアルコールを検出されたそうです。
    道交法違反(酒気帯び運転)の現行犯で逮捕されました。ニュース

    これだけ飲酒運転が社会問題となり、連日ニュースで報道されているのに、まだ飲酒運転を続けるのでしょうか。

    他人事だと思っているということでしょうか。


    交通事故は、たとえば、運転しながらCDを操作したり、携帯を見ていたり、外の美人を見ていたり(?)など、ほんの些細な不注意で人の「死」という重大な結果を生じさせてしまいます。

    交通事故の加害者は、「死」という結果は認識しつつも、自分のミスが「些細である」ことに注意がいきがちです。そうなると、「こんな些細なミスしかしていないのに、なぜこんな重い罰を受けたり、ヒドイことを言われないといけないのか。」などと責められること自体が不当であるかのように感じてしまうことがあります。

    逆に、交通事故の被害者の遺族からすれば、大切な親族の命を奪われれば、「殺してやりたい。」というくらいの感情を持つのも当然でしょう。刑事司法としても、人の命を奪うのですから、重い刑罰で臨むのが当然です。

    このような、「便利」かつ「危険」な自動車を介することにより大きく隔たってしまう加害者側と被害者側の認識の違いが、感情の軋轢を生じさせ、交通事故の示談交渉を困難にさせています。

    引き続き、交通事故被害者の救済に力を入れていきたいと思います。

    交通事故被害者のための損害賠償交渉術

  • 重版決定!

    2006年07月29日

    「わたしと仕事、どっちが大事?」はなぜ間違いか―弁護士が教える論理的な話し方の技術

    発売後、数日で重版決定しました。

    好評なようです。ありがとうございます。

    ブックファースト新宿ルミネ2店にてビジネス書第4位です。

    読みやすい本に仕上がっていると思います。

  • 悲惨な事故

    2006年07月27日

    2006年8月25日、福岡市東区の「海の中道大橋」で、一家5人が乗ったRV車が、飲酒運転かつ高速運転の車に追突されて、ガードレールを突き破って海に転落する事故が起きました。

    ニュース

    事故の結果、幼児3人死亡しました。母親は、子供を助けるために、何度も海に潜って救出活動をしましたが、誰も助からなかったということです。

    母親が子供を助けるために海に沈んでゆく車を追って海に潜っている時、どんな気持ちだったか、そして、目の前で海底に沈んでゆく子を見ながらどんな気持ちだったか、引き上げた子までが助からないことを知ったとき、どんな気持ちだったか、に思いをいたすと、心が痛まずにはいられません。

    自分で殺すつもりがなくても、不注意で人が死んでしまうのです。それまで生きてきた人生と、将来の人生を全て奪ってしまうのです。

    お願いです。飲酒運転はやめてください。

    刑法208条の2(危険運転致死傷罪)
    アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で四輪以上の自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上(20年以下)の有期懲役に処する。

    「わたしと仕事、どっちが大事?」はなぜ間違いか―弁護士が教える論理的な話し方の技術

  • 出版!

    2006年07月25日

    「わたしと仕事、どっちが大事?」はなぜ間違いか―弁護士が教える論理的な話し方の技術

    新しい本が出ました!

    論理的に考えたり、話したりするための本です。

    論理学の本ではなく、具体的な会話例を豊富に盛り込みましたので、読みやすいと思います。

    ぜひ、読んでいただきたいと思います。

  • 裁判の理由

    2006年07月24日

    27歳のキャバクラ嬢が、美容院で意に反して髪をバッサリと短くきられたことにより、収入が減り、精神的ショックも受けたとして、美容院を訴えていました。

    東京地裁は、美容院側に24万円の支払いを命じましたが、美容院側は控訴。

    東京高裁は、2006年8月24日、東京地裁の判決を支持し、美容院側の控訴を棄却しました。

    ニュース

    「髪は女の命」とも言いますので、女性が第一審で訴えたのは理解できます。

    しかし、美容院側が控訴した控訴審はどうでしょうか。控訴をするにも弁護士費用がかかります。美容院側は、控訴審で勝ったとしても、24万円が0円になるだけでしょう。弁護士費用と時間を考えたら、割があいません。

    それでも控訴せざるを得なかったのは、「客の希望に反して髪を短くした美容院」という悪い噂がたったからかもしれません。そんな噂がたったら、大打撃です。

    そうだとすると、その汚名を払拭するため、なんとしても勝ちたいところでしょう。

    もちろん真相はわかりません。しかし、経済的に見ると損な裁判でも、やらざるを得ないことがあります。裁判というのは、目的ではなく、あくまで目的を達成するための手段ということでしょう。

  • 弁護士 就職 転職

    2006年07月18日

    勤務弁護士(アソシエイト)の募集です。

    1年~5年の経験を有する弁護士(即戦力)を募集しています。

    詳しくは、こちらへ→ みらい総合法律事務所

    このブログへの検索語として「弁護士 就職」などがあったので、この場をお借りして求人してみました。

    決して楽はできませんが、色々と勉強になるはずです

    思いどおりに他人を動かす交渉・説得の技術―現役弁護士が書いた

  • 顔写真の無断使用

    2006年07月17日

    出会い系サイトの広告に顔写真を無断で使用されて肖像権を侵害されたとして、女性が、広告制作会社、その代表者、写真を持ち込んだ写真家に損害賠償請求の裁判を起こしました。

    東京地裁平成17年12月16日判決は、広告制作会社及び写真家に、それぞれ120万円の損害賠償金を支払うよう命じました。

    出会い系サイトの顔写真や、ポスティングされる風俗系のチラシの顔写真について、常々本人の同意を得ているのか疑問に思っていました。今回の事例の他にも無断で使用されていることもあるのではないでしょうか。

    このように顔写真を利用されるときは、ご本人の精神的ショックは大きいことでしょう。

    カメラマンは他人の肖像を扱うわけですから、職業倫理を守って慎重に写真を取り扱っていただきたいと思います。

    デジタル時代の著作権最新Q&A―「知らなかった」ではすまされない
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  • 借り主に生命保険?

    2006年07月15日

    消費者金融の大手5社を含む10社が、借り主全員に生命保険をかけて、死亡時の受取人になっていたそうです。金融庁が調査に乗り出しました。

    ニュース

    この保険について、消費者金融側は、「債務が遺族に残って負担にならないようにするための保険。」と言っているそうです。

    そんな目的ではないと思います。そういう目的であれば、契約書の隅にわからないように記載するのではなく、もっとアピールするでしょう。

    消費者金融は営利企業です。第一次目的は、債権回収でしょう。債権を回収できれば債務は遺族に残らなくなりますが、それは債権を回収できる反射的効果にすぎません。

    自社の株主に説明するときは、当然債権回収を主眼に置いて説明するのではないでしょうか。

    私も多重債務者の債務整理や破産申立などの事件をやることがありますが、債務者本人も、遺族もこんな保険のことを知っている人はいませんでした。本人や遺族に知らしむべく、住宅ローンのように契約時に説明をし、意思確認を明確にするべきです。

    この制度自体をなくす必要はないと思いますが、生命保険の意思確認は、契約書を別にして意思確認を明確にする、あるいはその意思確認部分だけ別に署名捺印をさせる、など、適切な対応をしていただきたいと思います。

  • 職場に損害賠償

    2006年07月11日

    ちょっとしたいたずらが多額の損害賠償に。

    鳥取市の30代の女性が、鳥取地裁に損害賠償請求訴訟を起こしました。被告は過去に勤めていたスポーツクラブと上司。請求額は、約2200万円です。

    行為態様としては、プールの監視員やトレーニングの指導をしていた女性が、2005年7月、事務所で立ち上がって食べ物を受け取り、再び座ろうとした際、上司にいすを引かれ尻もちをついたとのことです。その結果、下半身全体にしびれと激痛が走って動けなくなり、股関節の運動障害が残ったとのこと。

    ニュース

    子供のころは、よくやったり、やられたりしていました。

    しかし、大人になってもやる人がいるとはっ!?

    上司としては、ちょっとしたいたずらだったのでしょうが、打ち所が悪ければ、今回のように多額の損害賠償の問題が発生します。

    下半身に運動障害が残るということは、治療費、通院交通費、通院慰謝料、後遺症慰謝料、後遺症逸失利益その他が損害となります。

    特に、インストラクターなどは、下半身の運動障害により、職業を変えなければならない可能性もあります。下半身の運動障害によって、労働能力が一部喪失した結果、将来にわたってずっと収入が減少する可能性もあり、その分が逸失利益となって算出されます。

    そのせいで金額が高額になるのです。

    仮に頭を打って、脳挫傷などになって、高次脳機能障害に結びついたりすると、もっと賠償金が高額になる可能性があります。

    ほんのちょっとした予測で良いと思います。

    自分の行動の結果、どのようなことが起こるのか、近い将来を予測する力をつけたいものです。

    投資家のための金融マーケット予測ハンドブック
    思いどおりに他人を動かす交渉・説得の技術―現役弁護士が書いた