ニュース | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜 - Part 10
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。
メニュー
みらい総合法律事務所
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。
  • 姫路の爆発事故(被害者への補償を)

    2012年09月01日


    兵庫県姫路市の日本触媒姫路製造所で、9月29日爆発事故が起こりました。

    この事故で、消防隊員1人が死亡、従業員1人が重体、多数のけが人が出たとのことです。

    ニュースによると、この事故は想定できなかったようで(当然ですね。想定していたら、未必の故意でしょう)、自社で消化できると判断し、消防署への連絡が事故発生から40分も経過してからだったそうです。

    明らかに判断ミスですね。

    すぐに通報し、消火活動が始まっていたら、尊い命を失わずに済んだかもしれません。

    この爆発事故の原因が、予測可能で、何らかの過失を原因とする場合には、業務上過失致死傷罪という犯罪に該当する可能性があります。

    誰の過失に基づくものかにより、現場作業員や責任者などが罪に問われる可能性があります。

    法定刑は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金

    すでに警察が、家宅捜索を進めているそうです。

    ただ、爆発事故の原因究明は、専門的な知識を要し、簡単に解明できるものではないので、捜査に長期間かかる可能性があります。

    刑事事件と併行して、死亡した被害者遺族への賠償問題、怪我をした被害者への賠償問題も起こってきます。

    労災、公務災害の問題もありますね。

    賠償が生じるかどうかについては、会社側に過失があるかどうかもかかわってくるため、捜査の進展を待って行われることが多いと言えましょう。

    しかし、今回被害にあった方々は、一家の家計を支える立場にある方が多いと思われますので、会社側としては、速やかに被害を回復すべく金銭的な補償を申し出て欲しいものです。

    改めて死亡した消防隊員のご冥福をお祈り致します。

  • インターネット書き込みが業務妨害罪

    2012年07月26日

    先日、インターネット上の書き込みが脅迫罪に該当した事例を紹介しましたが、今度は、同じくインターネット上の書き込みが威力業務妨害罪に該当した事例です。

    7月29日、大阪市役所のホームページ(HP)に「来週の日曜、(大阪・日本橋にある電気街)オタロードで大量殺人する。歩行者天国にトラックで突っ込み、ナイフで無差別に刺した後、自殺します」などと書き込み、予告のあった今月5日に警察官に警戒させるなど市と府警の業務を妨害した疑いで、男(42)が逮捕されました。

    容疑は、威力業務妨害罪です。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120826-00000063-jij-soci

    威力業務妨害罪は、人の意思を制圧するに足りる勢力を用いて業務を妨害することです。

    法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

    今回のように脅迫をして、大阪市の職員や警察官に警戒させる行為が大阪市と警察の業務を妨害した、ということですね。

    インターネットの書き込みでは、特定の人に対する書き込みは、脅迫や名誉毀損などになることはご存じの方が多いと思います。

    しかし、特定の人でなくても、今回のような書き込みをして、警察などに警戒させた、というだけで業務妨害罪という犯罪を犯すことになります。

    やはり、インターネットの書き込みは、注意しなければなりませんね。

    あと、普通に国内からインターネットの書き込みをすると、IPアドレスなどから、本人割り出しが比較的容易ですので、ご注意を。

  • AKBと脅迫罪

    2012年07月22日

    インターネット上の書き込みでは、犯罪につながる表現をしやすいようです。

    インターネット上の掲示板に、「AKB48」のメンバー(14)に関し、「こいつは反省が全くない。殺してやる」「つぶしたほうがいい」などと書き込んだ疑いで、京都府の少年(19)が、脅迫罪の容疑で書類送検されたそうです。

    ニュースによると、少年は容疑を認め、「ブログで他の男性ファンと親しくし過ぎるので腹が立った。殺害する気はなかった」などと供述しているそうです。

    インターネットは、気軽に書き込みができるので、ついつい感情的にこのような書き込みをしたのかもしれません。

    インターネットがなかったころは、このような脅迫行為をするためには、手紙に書いて、切手を貼り、郵送しなければなりませんでした。

    便せんと封筒も買ってこないといけないし、筆跡鑑定や指紋採取を防止するために、手袋をはめ、文字も切り貼りしたりして大変な作業でした。

    作っている間に冷静になってきますね。

    個人が簡単に情報を発信できるようになると、このように犯罪につながる行為も簡単にできるようになってしまった、ということですね。

    ところで、何年か前のニュースで、女性看護師(28)が、東京都内の大学病院に勤務する男性医師に、メールで「くたばれ」「許さない」などというメールを、その年の1月から9月の間、3回にわたり、送信したとして、脅迫罪で逮捕された、というものがありました。

    このくらいの表現は、ちょっと感情的になってしまった時には、ついしがちではないでしょうか。

    ただ、脅迫罪が成立するかどうかは、これだけではわからないですね。

    では、「脅迫罪」とは何でしょう?

    脅迫罪は、他人の生命、身体、自由または財産に対し害を加えるべきことをもって人を脅迫した場合に成立し、2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。(刑法第222条)

    脅迫といえるためには、相手方の性質や状況から判断して、一般に人を畏怖させるに足りる程度の害を告知しなければなりません。

    今回のAKBの「殺してやる」は、一般に人が怖がる表現ですね。

    インターネットは誰が発信したか、追跡しやすいので、情報発信は、くれぐれも気をつけていただきたいと思います。

    また、怒りにまかせて書き込みそうになった時は、すぐに書き込むのはやめ、一晩寝て冷静になってから表現に気をつけて書き込むかどうか、考えると良いでしょう。

  • 副業案内にご注意を

    2012年07月20日

    借金に苦しんでいる時、「副業案内」「月30万円」というメールが来たら、どうしますか?

    つい話を聞いてしまいそうになりますか?

    軽い気持ちで話を聞いた結果、犯罪を犯すことになり、逮捕されるとしたら?

    農林水産省事務官の男(25)が、犯罪収益移転防止法違反の疑いで、警視庁愛宕署に逮捕されました。

    ニュースによると、男は、キャバクラ通いなどによる借金で困っている時、「副業案内」「月30万円」というメールが来て、その相手の話にのり、犯罪に利用されるかもしれないことを知りながら、自分のキャッシュカードを送ったとのこと。

    まずは、どんな経過だったのか、読んでみてください。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120819-00000551-san-soci

    今回の法律は、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」です。

    この法律では、振り込め詐欺などをすることを目的として、預金通帳やキャッシュカード、送金や引き出しなどに必要な情報(パスワード等ですね)を譲り受けたりする行為(実行犯の側です)を禁止、罰則を科していますが、同時に、振り込め詐欺の目的を知って、預金通帳等を譲り渡したりする行為も禁止しています。

    さらに、通常の商取引又は金融取引などの正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、刑罰を科されます。この場合の法定刑は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科です。

    今回の男も、安易にキャッシュカードを提供したばかりに逮捕されました。職も失ってしまうでしょう。

    今は、振り込め詐欺に使われる通帳は、すぐに凍結され、足がつきます。逃れられません。

    借金に苦しんでいるからといって、安易に手を出さないようにしましょう。

    弁護士会などでも借金整理の相談窓口があります。
    http://www.nichibenren.or.jp/contact/consultation/legal_consultation.html

  • 甲子園と強盗罪

    2012年07月18日

    これは、痛い!

    栃木代表で甲子園に出場している作新学院の野球部員の男子生徒(17)が強盗の疑いなどで逮捕されたということです。

    作新学院は3回戦に進出しているさなかでの事件です。

    男子生徒は、レギュラーではありませんが、今後作新学院が甲子園出場をどうするか、注目されるでしょう。

    事件としては、8月10日午前6時50分ごろ、宇都宮市の雑木林で少女(16)のひざなどに軽傷を負わせた上、現金数千円を奪った疑いとのことです。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120818-00000069-spnannex-base

    ところで、今回の事件、「現金数千円を奪い、ひざなどに軽傷」を負わせたとして、強盗の疑いで逮捕されています。

    この場合、強盗致傷罪となりますが、法定刑がどのくらいか、ご存じですか?

    なんと、無期懲役又は6年以上20年以下の懲役!(刑法240条)

    重いのです。

    今回は、未成年者なので、少年法が適用され、成人の場合よりは軽くなりますが、成人の場合、しゃれになりません。

    ちょっと怪我をさせてしまっただけで、大変なことになります。

    事実関係の調査を待たなければなりませんが、この事件が真実であれば、作新学院が甲子園に出場し続けるのは難しいかもしれませんね。

    そうなると、これまで必死に頑張った野球部員の夢が砕かれます。

    私も高校時代、野球部だったので、他の部員や学校生徒たちの驚きと悔しさはよくわかります。

    ただし、高野連は、出場を辞退する必要はない、と言っているようです。
    学校がどう判断するか、ですね。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120818/k10014365841000.html

    事件とは関係ありませんが、タッチを思い出しました。

    タッチ 背番号のないエース [DVD]/三ツ矢雄二,日高のり子,難波圭一

    ¥4,725
    Amazon.co.jp

  • 街角を歩くと、その情報は警察に!?

    2012年07月14日

    ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル ブルーレイ+DVDセット(デジタル・コピー付…/トム・クルーズ,ジェレミー・レナー,サイモン・ペッグ

    ¥4,935
    Amazon.co.jp

    マイノリティ・リポート [Blu-ray]/出演者不明

    ¥4,935
    Amazon.co.jp

    スパイ映画などで、街を歩く人の顔の映像を、警察が持っているの映像をコンピューターで照合するような場面を何度も観たことがあります。

    あるいは、街を歩く網膜の情報で人を特定し、その人に合わせた広告を街角で流す、というような場面を観たことがあるような気がします。

    そんなことは、映画の正解だけだと思っていました。

    あるいは、未来の話だと思っていました。

    ところが、それが、日本でも、2011年3月から、密かに行われているようです。

    対象となる防犯カメラは、今のところ20台。

    照合しているのは、テロリストや指名手配容疑者のデータベースに絞っているようです。

    http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012081490070620.html

    防犯カメラの画像でも、それによって個人を特定できるようであれば、個人情報になります。

    そして、個人情報保護法では、個人情報を取得するときには、利用目的を明示しなければならないことになっており、取得した個人情報を利用目的外に利用してはならない、とされています。

    また、取得した個人情報を第三者に提供するにも、厳しい制限があります。

    今回は、法曹関係者がメンバーに入った有識者委員会の諮問を経ているとのことなので、個人情報保護法上の問題点はクリアしていると思われますが、くれぐれも、目的外利用や利用範囲の安易な拡大はしないよう監視する必要がありますね。

    ところで、ミッション・インポシブル4は、作られるのかな?

    そっちも気になるところです。(^_^)

  • おれおれ詐欺、関西版

    2012年07月09日

    なかなかなくならない「おれおれ詐欺」ですが、最近、関西で被害が急増しているそうです。

    警察庁によると、この「おれおれ詐欺」グループは、関西弁を使いこなすそうです。それは、そうでしょうね。

    警察庁の発表によると、、平成24年上半期(1~6月)の振り込め詐欺など特殊詐欺事件の被害総額は、前年同期比で、なんと、ほぼ倍増の約153億5千万円になるそうです。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120809-00000541-san-soci

    また、東京都内では、被害の高額化現象が起こっています。

    警視庁によると、東京都内で今年上半期(1~6月)に発生した振り込め詐欺で、1000万円以上の高額被害が44件に上り、昨年1年間の件数(38件)をすでに上回っているそうです。

    そして、「限度額が設定されている口座振り込みではなく、被害者から直接手渡しさせる手口が多くなっていることが被害の高額化の要因」ということです。

    http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/581918/

    被害にあうのは、高齢者が多いと思います。

    夏期休暇で帰省した時は、ぜひご両親に注意喚起をお願いしたいところです!
    ( ゚Д゚)キヲツケテ~!

  • ストーカー被害届が即時受理に

    2012年07月09日

    警察庁は、ストーカーなどの被害を受けた方から、被害届が出された場合、原則として「即時受理」をする方針を決めたそうです。

    ストーカー被害に限りませんが、警察に被害届を出そうとしても、警察官は基本的に「立件できるか?」「証拠の裏付けがとれるか?」など事件性を求めて、なかなか受理されない、という経験をした方も多いと思います。

    しかし、被害者がストーカーの被害届を出しても、警察が受理を見送った後、殺人事件が起きたりし、警察の対応が批判されておりました。

    有名なのが、昨年12月に長崎県西海市で女性2人が殺害されたストーカー事件です。

    そのような流れを受けて、警察庁は、今月9日に、ストーカーなどの被害者への対応を巡る警察批判が相次いでいることを受け、被害届を原則として「即時受理する」方針を決め、全国の警察本部に通達を出し、徹底を指示した、ということです。

    これまでストーカーの被害届を警察に出そうとしても、受理を渋られ、門前払いなどされた方は、この機会にもう一度相談してみてはいかがでしょうか。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120809-00000052-mai-soci

  • 自転車酒酔いの警察官

    2012年07月04日

    広島県警監察官室次席の男性警視(50歳代)が、酒を飲んで自転車を運転し、人身事故を起こしたということで、道路交通法違反(酒酔い運転)容疑で警察から事情聴取を受けているとのことです。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120804-00000763-yom-soci

    もうご存じの方も多いと思いますが、道路交通法で罰せられるのは、自動車の飲酒運転だけではありません。

    自転車も「軽車両」ですから、酒に酔って自転車を運転すると、道路交通法違反となります。

    法定刑は、次のとおり。

    酒酔い運転   5年以下の懲役又は100万円以下の罰金

    人身事故を起こしたということは、「重過失致傷罪」の可能性もありますね。

    この場合の法定刑が、5年以下の懲役、禁錮もしくは100万円以下の罰金

    これらは、「併合罪」ということになるので、自転車の酒酔い運転で、人身事故を起こした場合の法定刑は、最高で7年6月の懲役、ということになります。

    結構重いですね~。(+o+)

    自転車だから軽く考えていると、大変なことになります。

    気をつけましょう~。(^_^)

  • 保険金詐欺で18人逮捕ですと!?

    2012年07月01日

    交通事故の保険金詐欺で、なんと18人もが逮捕されたそうです。

    http://sankei.jp.msn.com/region/news/120731/osk12073102230003-n1.htm

    手口としては、容疑者同士が乗る車を接触させ、車に乗っていた人が、怪我をしたことにし、整骨院で治療を受けたと偽って、保険金を受け取る、というものです。

    整骨院の柔道整復師も共犯ということです。

    ニュースによると、金額は、6年間に8件で約4000万円ということです。

    18人もが関わっているというのは、かなり大がかりです。

    よくみんな同意して協力したものです。

    8件で4000万円というと、1件約500万円です。

    これを整骨院で使うとなると、かなりの通院となります。

    通常、保険会社は、治療代などを支出するときは、西洋医学の診断を基本とし、整形外科の診断書に加え整骨院の施術証明書などを徴求し、治療の必要性があるかどうかを毎月判断しますので、こんなに通院していると、「おかしい」と気づくはずです。

    見落としたのでしょうか。

    骨折などの場合はレントゲンなどで判断されるので、おそらくむち打ちなどと偽ったのでしょうか。

    むち打ちの場合で他覚所見がない場合には、保険会社は通常6ヶ月もすれば治療費の支払いを打ち切ります。

    怪我もしていないのに、それほど長期間治療費を受け取り続けることはできないように思います。

    それにしても、こういう人がいるから、本当に怪我をして、通院をしている被害者までが疑われることになるのです。

    やめてほしいと思います。(>_<)