東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
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ニッポン放送新株予約権発行差止仮処分

2005年02月26日

ニッポン放送は、平成17年2月23日の取締役会において、フジテレビジョンに対する第三者割当による新株予約権の発行を決議しました。ライブドアは、翌24日、これに対し、新株予約権の発行差し止めを求める仮処分を東京地裁に申請しました。
 
ニッポン放送は、新株予約権発行理由を、「企業価値の維持」と「マスコミとして担う高い公共性の確保」の2点と公表しています。(記事)そして、その説明として、ライブドアの支配下に入ることからの防衛目的だということを明確に断言しています。
 
新株予約権と混同しやすいものに、「新株発行」というものがあります。「新株発行」というのは、実際にお金を払い込んで新株を発行するものですが、今回の「新株予約権」の発行というのは、予約権を発行された者(フジテレビ)が、決められた期間内(平成17年3月25日から同年6月24日まで)に、予約権を行使することにより、あらかじめ決められた価格(5,950円)で新株ないしニッポン放送の自己株式を取得できる権利のことです。
 
まず、なぜ今回、「新株発行」ではなく、「新株予約権」の発行なのでしょうか。まだフジテレビによるTOB期間中であり、最終的にフジテレビの持株数が読めないということも1つの理由ですが、実はもう1つ理由があります。
「新株発行」では、ライブドアの新株発行差し止め仮処分が容易に認められてしまうからです。なぜなら、「新株発行」というのは、企業の資金調達を目的として行われるものであり、過去の判例からすると、主要な目的が、資金調達ではなく、会社の支配権の維持である場合には、不公正な発行方法ということで、発行差し止め仮処分が認められることになってしまうからです(主要目的ルール)。その間にもライブドアはニッポン放送の株を買い進めますから、差し止め仮処分が認められた時点で、ライブドアに次の一手を打たれ、負けてしまう可能性が高いと認識したものと思われます。
 
これに対し、「新株予約権」は、平成13年改正により広く認められるようになった制度で、まだ主要目的ルール等判例法理が確立していないこと、もともと取締役や従業員へのストックオプション等で使われており、資金調達の目的性が「新株発行」よりは低いこと、企業買収防衛としてのポイズンピルとしての使用も念頭に置かれていたこと(今回はポイズンピルではありません)、等の理由から、企業防衛目的に正当性がある場合には、資金調達目的が主要目的ではない場合でも差し止め仮処分が認められない可能性があると判断したためであると推測しています。そうでなければ、新株予約権発行目的を「資金調達」として説明しているはずです。
 
そして、ニッポン放送は、新株予約権の払込金額を5,950円としていますが、これは、株主総会決議が必要な「特に有利な発行価格」に該当しないようにするためです。現在、ニッポン放送の株価は、6,400円ほどで、それよりは低い価格となっていますが、東京証券取引所市場第二部における平成17年1月14日までの3ヶ月間の終値平均(4,937円)よりは高額です。現在の高値は、ライブドアによる株買い占めが発表された後の一時的高騰であり、一時的現象と評価されます。したがって、公正な発行価額の算定からは排除され、それほどの争点にはならないものと考えます。
 
したがって、主要な争点は、不公正発行かどうかです。
 
今回の新株予約権の発行目的は、「企業価値の維持」と「マスコミとして担う高い公共性の確保」です。この目的が、ライブドアの持株比率を大幅に低下させてもなお合理性があると認めらるかどうか、ということになります。自社の40.5%もの株を持つ株主の子会社となることを防ぐことが、その株主を含めた全株主の利益になるのか、判断されることになります。
 
ニッポン放送は、ライブドアの子会社となる場合よりも、フジテレビの子会社となる方が、企業価値を維持できるのでしょうか。
また、ライブドアの子会社となることにより、マスコミとしての公共性が確保されなくなるのでしょうか。
 
 
東京地裁の判断に注目したいと思います