捜査照会に対し病院が個人情報提供拒否
2005年09月18日
警察は、刑事訴訟法197条2項により公私の団体に対して捜査の照会をすることができます。
しかし、2005年4月の個人情報保護法施行から6月までの3か月間だけで、約500件、個人情報保護法などを理由に捜査照会の拒否をされていることが判明しました。
厚生労働省が定めた「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドラインガイドライン」では、「刑事訴訟法第197条第2項(捜査に必要な取調べ)等については、法の例外規定の対象であるが、当該法令において任意協力とされており、医療・介護関係事業者は取調べ等が行われた場合、回答するか否かについて個別の事例ごとに判断する必要がある。この場合、本人の同意を得ずに個人情報の提供を行ったとしても、法第16条違反とはならないが、場合によっては、当該本人からの民法に基づく損害賠償請求等を求められるおそれがある。」と規定しています。
病院が捜査照会に対して回答拒否をしているのは、このガイドラインが原因だとの見方もなされています。警察は、どうしても必要な情報であれば、捜索・差押えをすればいいわけですが、全部の案件についてそのような手続を取るのは煩雑であり、便利な捜査照会を利用してきたものです。
個人情報保護に関する意識の高まりにより、今後もこのようなケースが益々増加するものと思われます。先般の国勢調査での回答拒否にもこの傾向が見られています。