医療費未収金を保険者が徴収
2007年02月17日
患者が医療費を支払わず、医療費の未収金が病院などの医療機関の経営を圧迫していることが社会問題化しています。
そこで、厚生労働省は、支払い能力がありながら再三の督促にも応じない悪質な未払い者について、保険者(健康保険組合など)側から支払いを促す制度の導入を検討することを決めたとのことです。
この制度については、現状は、健康保険法や国民健康保険法などの規定があります。健康保険法を例にとります。
「保険医療機関又は保険薬局は、前項の一部負担金(患者負担です。)の支払を受けるべきものとし、保険医療機関又は保険薬局が善良な管理者と同一の注意をもってその支払を受けることに努めたにもかかわらず、なお療養の給付を受けた者が当該一部負担金の全部又は一部を支払わないときは、保険者は、当該保健医療機関又は保険薬局の請求に基づき、この法律の規定による徴収金の例によりこれを処分することができる。」(健康保険法第74条2項)
したがって、現在でも保険者が病院などにかわって徴収することができるはずですが、あまり活用されていません。
そこで、四病院団体協議会などは、未払保険料を保険者が肩代わりすべきなどと求めていました。
そのような動きの中、厚生労働省としては、黙認するわけにもいかず、今回の制度導入に踏み切ることにしたのでしょう。
医師は、医師法第19条により、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、診察治療を拒否することができません。
「患者がお金がなさそうだ。」というだけでは、診察治療を拒めないのです。
したがって、医療費未収金問題の解消は難しい問題であり、今回の制度導入は望ましいことであると考えます。
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