性別変更の申立
2005年06月10日
大阪拘置所に拘留されている20歳代の被告人(覚せい剤取締法違反の罪で公判中)が、戸籍上の性別変更を大阪家裁に申し立てて認められ、5月に女子用施設に移されたそうです。
ニュース記事によると、被告は「ニューハーフ」として飲食店で働いていたそうです。
実刑判決を受け、刑務所に入る場合には、男性の場合、坊主頭にしなければならず、男性用の下着も着用しなければならないことから、「精神的に計り知れない苦痛を受ける」として、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」による性別変更を申し立てたとのことです。
実刑判決を受け、刑務所に入る場合には、男性の場合、坊主頭にしなければならず、男性用の下着も着用しなければならないことから、「精神的に計り知れない苦痛を受ける」として、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」による性別変更を申し立てたとのことです。
この法律は、平成16年7月16日に施行されたもので、カルーセル麻紀さんもこの手続を取ったと記憶しています。
性別変更が認められる要件は、
1 20歳以上であること
2 現に婚姻をしていないこと
3 現に子がいないこと
4 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
5 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること
です。4、5の要件があるので、実際には性別適合手術を受ける必要がありそうです。
心理学で「認知的不協和解消理論」というものがあります。自分の心に矛盾する考えが発生した場合には苦痛を感じ、食い違いをなくすようにどちらかを変更または排斥してしまう行動に出るというものです。
たとえば、妊婦にタバコが良くないと聞きますが、それでも吸っている人がいます。その妊婦は、「タバコを吸いたい」という気持ちと「タバコを吸うと子に悪影響が生ずるから、吸ってはいけない」という矛盾する考えが心に生じ、苦痛を感じます。
そこで、その矛盾を解消するため、タバコをやめるか、「少しだったら大丈夫」というように、どちらかを排斥または変更して矛盾を解消するのです。
性同一性障害の場合には、現に存在する自分の身体と、自分の性は男性と女性のどちらであるかに関する確信(性自認)との矛盾であり、単に内心の操作ではその矛盾は解消せず、その苦痛ははかりしれないものがあると思われます。