聞こえない言葉を発していないか。
2025年02月10日
質問です。
「無人の山で木が倒れた時、音がするでしょうか?」
これは、古典的な哲学の問いです。
「音がする」という立場もあります。
木が倒れるとき、地面や他の木々にぶつかり、空気を振動させるため、物理的な音波を発生させる、鳥や動物などが生息しており、彼らが木が倒れる音を聞く可能性がある、というような根拠です。
しかし、「音がしない」という立場もあります。
「音」を人間が知覚する現象として定義する場合、それを聞く人がいなければ音は存在しません。
人との話し合いや交渉では、後者の立場を前提とします。
いくら大声で話しても、相手が聞いていなければ、言葉は存在しません。
いくら理路整然と話をして、説得力抜群だと思ったとしても、相手が話を聞く耳持っていなければ、納得を得ることはできません。
そうであれば、いくら説得・交渉のテクニックを駆使したとしても、相手がそれを受け入れる態勢でなければ、効果がないことになります。
したがって、議論・説得・交渉において、相手に影響力を与えたければ、自分の世界から言葉を発するのではなく、相手の世界に入っていって言葉を発する必要があります。
これが、「相手の立場から考える」ということです。
しかし、このことは、誰でも知っています。
でも、できません。
それは、「自分の世界から見た相手の立場」から考えているからです。
これは大変難しい問題です。
相手を山の中に連れてきて、木を倒すことができれば、相手は木が倒れる音を聞いてくれるでしょう。
そのことを常に考え続けましょう。
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