聞こえない言葉を発していないか。 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。
メニュー
みらい総合法律事務所
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。

聞こえない言葉を発していないか。

2025年02月10日

質問です。

「無人の山で木が倒れた時、音がするでしょうか?」

これは、古典的な哲学の問いです。

「音がする」という立場もあります。

木が倒れるとき、地面や他の木々にぶつかり、空気を振動させるため、物理的な音波を発生させる、鳥や動物などが生息しており、彼らが木が倒れる音を聞く可能性がある、というような根拠です。

しかし、「音がしない」という立場もあります。

「音」を人間が知覚する現象として定義する場合、それを聞く人がいなければ音は存在しません。

人との話し合いや交渉では、後者の立場を前提とします。

いくら大声で話しても、相手が聞いていなければ、言葉は存在しません。

いくら理路整然と話をして、説得力抜群だと思ったとしても、相手が話を聞く耳持っていなければ、納得を得ることはできません。

そうであれば、いくら説得・交渉のテクニックを駆使したとしても、相手がそれを受け入れる態勢でなければ、効果がないことになります。

したがって、議論・説得・交渉において、相手に影響力を与えたければ、自分の世界から言葉を発するのではなく、相手の世界に入っていって言葉を発する必要があります。

これが、「相手の立場から考える」ということです。

しかし、このことは、誰でも知っています。

でも、できません。

それは、「自分の世界から見た相手の立場」から考えているからです。

これは大変難しい問題です。

相手を山の中に連れてきて、木を倒すことができれば、相手は木が倒れる音を聞いてくれるでしょう。

そのことを常に考え続けましょう。

メルマガ登録は、こちら。
https://www.mag2.com/m/0000143169