恐怖アピール
アメリカのトランプ大統領が多方面に関税を課すと発言しています。
もし、あなたが貿易を仕事としており、アメリカに対する輸出に売上の100%を依存している時、大統領が「日本に一律50%の関税を課す」と決定したどうでしょうか。
恐怖ですね。
しかし、「日本が防衛費をあと1%増額したら、関税を課さない」と言ったとしたら、どうでしょうか。
おそらく、あなたは税金が増えたとしても、日本政府に対し、防衛費1%の増額を求めるのではないでしょうか。
これは、恐怖の力です。
説得コミュニケーションの中に、「恐怖アピール」というものがあります。
例えば、タバコの健康被害を訴える広告で、肺がんの恐ろしい症状が描かれる場面を印象付け、タバコを控えることを促すようなものです。
生命保険の勧誘員が「もし交通事故にあったら家族はどうなるか?」などと恐怖をあおるのもこれです。
心理学の世界では、恐怖アピールは有効な手段とされています。
私達弁護士も使います。
「1週間以内に●万円を支払ってくれないと、裁判ですね」などと使います。
この恐怖アピールは有効なのですが、注意点があります。
それは、
・自分との関連性
・適度な恐怖
・明確な解決策
と言われています。
降りかかる恐怖が自分と関係なければ、それは恐怖を感じません。
また、恐怖が強すぎると、受け手は逆に不安や拒絶を感じるため、効果が減少するということです。
さらに、恐怖を与えるだけでは、それで終わりで、「どうすれば良いか」という具体的な対処法を示すことが必要です。
それによって、受け手は恐怖を避ける安心感を得ることができます。
恐怖の有効性は誰でも知っていると思いますが、やみくもに相手に恐怖を与えても効果的に説得することはできません。
かえって相手に悪印象を与える危険性もあります。
説得コミュニケーションとして有効なだけに、慎重に使うようにしましょう。
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