延納許可申請の助言義務違反で税賠(税理士勝訴)
今回は、延納の助言義務違反による税理士損害賠償の解説です。
神戸地裁平成10年12月9日判決です。
(事案)
相続人6人に相続税申告手続を依頼された。
申告期限において未分割だったため、法定相続分で当初申告をした。
税理士が延納手続を取らなかったため、納税のために借入をせざるを得なくなり、借入金利息等の損害を被ったとして損害賠償請求をした。
(判決)
税理士が原告一郎に送ったFAXには、次の記載があった。
「延納申請をすることは出来る。」「申請のためにいろいろと書類をととのえる必要があるが、依頼があれば用意するので早急に連絡を願う。」
被告は、原告一郎に対し、延納手続について一応の説明はしている。しかるに、それに対し、原告らが被告に対し、延納手続を取るよう求めたことを認めるべき証拠はない。
延納が許可されるためには、納期限までに金銭で納付することが困難であることが必要とされるところ、原告花子は2億円も借り受けることができたことなどからすれば、そもそも原告らに、納期限までに金銭で納付することが困難な事由があったのかは疑わしい。
→税理士勝訴
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今回は、税理士が延納許可申請の説明をしたことの立証が成功し、税理士が勝訴しました。
決め手はFAXでした。
しかし、FAXがなく、口頭で説明していたら、どうでしょうか。
説明したかどうかが不明となります。
そして、延納許可申請の手続きは執られていません。
ということは、延納許可申請の説明を受けていたら、手続きを依頼していた、というような事情を立証されてしまうと、税理士が説明したことを立証するのは難しくなる、ということです。
このことからも、説明義務の場面では、証拠がとても重要ということになります。
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