K-1損害賠償事件
2005年09月04日
K-1の石井和義元社長の脱税事件に絡み、石井元社長が、伊藤寿永光(すえみつ)元イトマン常務に、証拠隠滅の工作資金をだまし取られたとして3億7000万円の損害賠償請求訴訟を起こしていましたが、10月4日に東京地裁で判決がありました。
裁判所は「脱税の刑事責任を免れるための証拠隠滅工作の過程で、共犯者の裏切りにあったというべきで、支払い自体が不法。自らの違法行為が原因の被害を司法は救済しない」」と述べて、請求を棄却したそうです。
本来、支払自体が不法であれば、支払自体が公序良俗違反で無効になり、受け取った人はお金を返還しなければならなくなります。
しかし、そうすると、不法な目的のために支払をした人が自分の損失を取り戻すことに裁判所が協力してしまうことになってしまいます。したがって、その場合には裁判所による救済を拒否するため、「不法原因給付」という制度が定められています。
つまり、不法な原因で給付をした者は、その給付したものの返還を請求できない、という制度です。本件では、脱税の刑事責任を免れるための証拠隠滅工作という不法な原因で給付をしたものですから、不当利得返還請求はできなくなります。
ただし、騙し取られたという損害賠償請求の場合、受け取った人、つまり伊藤氏の方が不法の程度が大きい時には、場合によっては損害賠償請求が成り立つ場合があります。
不法原因給付のその他の例としては、愛人契約として、お金を前払いした人が、後で払ったお金の返還を求めるような場合に適用されています。男の方は、「借用書」を作成させたりして、外観を整えようしますが、だいたい法廷で愛人契約であることが明らかになり、恥ずかしい思いをしているようです。