未成年への贈与契約
今回は、親から未成年者の子供へ贈与したい場合の契約方法について、解説します。
もちろん、贈与はできるわけですが、単に子供の銀行口座に振り込むだけでは、親が死んだ時に名義預金と認定される可能性があるため、最低限契約書は締結しておきたいところです。
今回は、契約当事者にフォーカスしますので、名義預金の他の注意点は除外します。
では、契約書は、誰と誰が締結することになるのでしょうか。
未成年者が行う法律行為は、法定代理人の同意を得なければならないとされています。
しかし、未成年者が義務を負わず、権利を得るだけの場合には、同意不要です。
金銭の贈与を受ける場合には、権利を得るだけですので、法定代理人の同意不要となりますが、贈与税が課税される金額である場合は、義務も負担しますので、同意必要とする見解もあります。
ただし、意思能力の問題があり、7歳くらいから意思能力が認められることがありますが、10歳以下はリスクがあると認識しておいた方がいいでしょう。
あるいは、法定代理人が未成年者を代理して法律行為を行う。
そこで、方法としては、2つです。
・未成年者が契約当事者となって署名(記名)押印する。
・法定代理人が未成年者の法定代理人として署名(記名)押印する。
ここで、法定代理人は、父母が婚姻中の場合には、共同で法律行為を行いますので、父母両方が署名押印することになります。
「贈与者が父母、受贈者の法定代理人が父母、ということになると、利益相反行為として、特別代理人の選任が必要か?」
こんなご質問をいただくことがあります。
これは、不要です。未成年者が義務を負わず、権利を得るだけなので、利益が相反しないためです。
「民法の双方代理で、無効にならないか?」
こんなご質問をいただくこともあります。
しかし、無効になりません。未成年者が義務を負わず、権利を得るだけなので、双方代理を禁止する理由がないためです。
以上より、父母が法定代理人として署名押印する場合は、贈与者は、贈与した父又は母が署名押印し、受贈者は、父母が子の法定代理人として、「(子の名前)法定代理人親権者父(名前)印、母(名前)印」と署名(記名)押印することになります。
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