税理士の不正行為是正義務
2021年09月10日
今回は、税理士法の不正行為是正義務です。
税理士法41条の3は、税理士が、税理士業務を行うに当たって、委嘱者が次に掲げることを行っている事実を知ったときは、直ちに、その是正をするよう助言しなければならない、と規定しています。
①委嘱者が不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れている事実
②不正に国税若しくは地方税の還付を受けている事実
③国税若しくは地方税の課税標準等の計算の基礎となるべき事実の全部若しくは一部を隠ぺいし、若しくは仮装している事実
税理士は、納税義務の適正な実現を図ることを使命とするため(税理士法1条)、税理士業務を行うにあたり、委嘱者が架空取引の記帳や二重帳簿の作成など脱税行為を行っている事実を知ったときは、ただちにその是正を助言する義務を負います。
税理士が、顧問先等の脱税行為を知ったとき、その脱税工作を前提として、自ら税務書類の作成を拒絶することは当然です。
そして、助言するのは義務ですから、不正行為を発見したときに、「自ら関わらなければよい」、というわけではなく、黙認せずに不正行為を是正するよう助言することが求められています。
この助言義務は税理士法上の義務ですから、同条違反は懲戒事由になるものです。
また、顧客が悪いのは当然ですが、助言しないことによって是正されない場合には、後日、過少申告加算税、延滞税、重加算税を課せられた場合に損害賠償請求をされる可能性があります。
顧客の方が悪いので「過失相殺」はされるでしょうが、それでも税理士に損害賠償責任が発生する可能性がある、ということです。
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