クレーン車事故の加害者、持病秘して免許取得か? | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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クレーン車事故の加害者、持病秘して免許取得か?

2011年04月21日

栃木件のクレーン車事故で児童6人が死亡した件、加害者は、運転免許の取得・更新時に持病のてんかんの申告をしていなかったそうです。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20110421-00000888-fnn-soci

運転免許を取得する際には、意識を失ったことがあるかどうか、などを申告しなければなりません。

てんかん発作を起こしたことがあれば、当然申告することになります。

もし、申告しなければ、

「偽りその他不正の手段により免許証又は国外運転免許証の交付を受けた」

とのことで、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる可能性があります(道路交通法117条の4)

ちなみに、免許の拒否事由となる病気としては、統合失調症、てんかん、再発性の失神、無自覚性の低血糖症、そううつ病、重度の眠気の症状の呈する睡眠障害などがあります。(道路交通法施行令33条の2の3。一律に拒否されるのではなく、具体的症状により、免許が発行される場合もあります)

たとえば、てんかんの場合、免許が発行されるのは、以下のような場合です。

①過去に5年以上発作がなく、今後発作が起こるおそれがない。
②発作が過去2年以内に起こったことがなく、今後、X年であれば発作が起こるおそれがない場合→X年後に判断
③1年の経過観察後、発作が意識障害及び運動障害を伴わない単純部分発作に限られ、今後、症状の悪化のおそれはない。
④2年間の経過観察後、発作が睡眠中に限って起こり、今後、症状の悪化のおそれはない。

医師の診断書を提出することになります。

もし、今回の加害者が、免許の取得・更新の際、てんかんを申告し、審査の結果免許証が発行されていなかったら、今回の事件は起こっていなかったことになります。

加害者の勤務する会社が加害者の持病について知っていたかどうか、についても気になるところです。