自分ができることに集中する
男は、今日も畑に出た。
前の晩に少し酒を飲み過ぎたため、寝坊した。
太陽は、すでに高く昇っている。
男が今日すべきことは、雑草を刈ることだ。
太陽が照りつける中、男は雑草を刈る。
ひたすらに。
次第に太陽が傾いてきたが、まだ半分も終わっていない。
明日は明日の仕事がある。
雑草刈りは、今日中に終わらせなくてはならない。
「このままじゃ終わらない」
男はイライラした。
「なぜこんなに日が沈むのが早いのだ」
ついに男は、太陽に向かって叫んだ。
「雑草を刈り終わるまで沈まないでくれー!」
しかし、太陽は、そんな男の叫びを聞いていないかのように、静かに地平線に沈んでいった。
男はふてくされて、持っていた鎌を放り出し、新しく現れた月を見ながら、ひそかに持ってきた酒を飲み出した。
「こんなに日が短くなければ、仕事が終わったのに・・・」
太陽は人間にはコントロールすることができない。
コントロールできないことにイライラしたり、悩んだりしても仕方ない。
どう対処するかが問題だ。
たとえば、自分の出生を恨んでも仕方ない。もう生まれたのだから。
どう生きるかが問題だ。
私たち弁護士で言うと、司法改革により、弁護士人口が増大している。
反対運動をするのはいいが、個人の力では制度自体を変えたりすることはできない。
イライラしたり、悩んだりしても仕方ない。
その中で、どう生きてゆくかが問題だ。
物語の男は、太陽に対してイライラしたり、悩んだりしても仕方ない。
自分でコントロールできることに集中すべきだ。
その日に雑草を刈り終わらなければならないならば、朝早く家を出るべきだ。
飲み過ぎて遅刻すると思えば、前の晩、酒を控えるべきだし、早く寝るべきだ。
自分でコントロールできることに集中すれば、自分でコントロールできないことに対してイライラしたり、悩んだりすることがなくなるだろう。