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税務調査において質問検査拒否で罰則が適用される場合

2019年06月15日

課税庁は、納税者によってされた申告内容が正しいかどうか調査し、誤りがある場合には、更正・決定・賦課決定等の処分を行います。

そのためには、課税要件事実に関する資料を入手検討できる権限が必要となります。そのため、租税職員には、納税者の関係者に質問し、物件を検査する権限が認められています。これを質問検査権といいます。

質問検査権は、従前は各個別法に規定されていましたが、平成23年12月改正により、国税通則法に一本化されました。

国税通則法では、質問検査権は、次のように規定されています。国税通則法74条の2第1項「国税庁、国税局若しくは税務署・・・の当該職員・・・は、所得税、法人税、地方法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件・・・を検査し、又は当該物件・・・の提示若しくは提出を求めることができる。」

つまり、質問検査権とは、

①質問

②物件を検査

③物件の提示を求める

④物件の提出を求める

に関する権限を認めるものです。

質問検査権は、任意の行政調査の権限を認めるものであって、強制調査を認めるものではありません。強制調査というのは、納税者の意に反して事業所等に立ち入り、物件を検査するような調査のことです。強制調査は、国税局査察部が、国税通則法(以前は国税犯則取締法)に基づく犯則調査を行う際に認められているものです。

質問検査権は、任意の行政調査とはいっても、質問・検査の相手方には、質問に答え、又は検査を受忍する義務があります。そして、次の場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金という刑罰が科されることとされています(国税通則法128条2号、3号)。

①質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

②物件の提示又は提出の要求に対し、正当な理由がなくこれに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件(その写しを含む。)を提示し、若しくは提出した者

したがって、任意調査とはいっても刑罰を背景にした間接的な強制力がある、ということになります。だからといって、軽微な不答弁等でただちに刑罰を科されるわけではありません。

質問検査拒否等に対して刑罰を科すべき場合かどうかについて争われた事案に、東京地裁昭和44年6月25日(判決判例時報565号46頁)があります。

裁判所は、所得税法248条8号違反の刑事事件において、

「質問ないし検査(させること)の求めに対する単なる不答弁ないし拒否が同法242条8号の罪を構成するためには、さらに厳重な要件を必要とするものといわなければならない。なぜなら、当該職員が必要と認めて質問し、検査を求めるかぎり、不答弁や検査の拒否がどのような場合にも1年以下の懲役又は20万円以下の罰金にあたることになるものとすれば、事柄が所得税に関する調査というほとんどすべての国民が対象になるような広範囲な一般的事項であり、しかも公共の安全などにかかわる問題でもないだけに、刑罰法規としてあまりにも不合理なものとなり、憲法31条のもとに有効に存立しえないことになるからである。」「所得税法第242条8号の罪は、その質問等についての合理的な必要が認められるばかりでなく、その不答弁等を処罰の対象とすることが不合理といえないような特段の事由が認められる場合にのみ成立する」とした上、「被告人のように、一般のいわゆる白色申告者である場合には、単に帳簿書類を見せてほしい、得意先、仕入先の住所氏名をいってほしい、工場内を見せてほしいといわれただけで、これに応じなかったといって、ただちに不答弁ないし検査拒否として処罰の対象になるものと考えることはできない」

と判示して、無罪を言い渡しました。

したがって、質問検査に対する不答弁等の罪が成立するためには、

①質問等についての合理的な必要が認められること

②不答弁等を処罰の対象とすることが不合理といえないような特段の事由が認められること

が必要となり、単なる不答弁等は処罰の対象とはならない、と考えられます。

ただし、質問検査に対する不答弁とともに帳簿書類の提示を拒否する等した場合には、青色申告に係る帳簿書類の備え付け、記録及び保存が法律の定めるところに従って行われていない、として、青色申告承認の取消処分を受ける可能性があります(最高裁平成17年3月10日判決、百選第6版109事件)。

この点要注意でしょう。

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