飲食店で勝手にゲームをやらせると犯罪!? | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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飲食店で勝手にゲームをやらせると犯罪!?

2018年06月14日

ゲームバーという形態のお店があるようですが、経営者などが逮捕されるという事件が起きたので解説します。

さて、その逮捕容疑とは?

「著作権法違反容疑でゲームバー経営者逮捕 京都と神戸4店舗」(2018年6月13日 毎日新聞)

京都府警と兵庫県警は、家庭用ゲーム機を置いた「ゲームバー」と呼ばれる飲食店で、著作権者の許可を得ずに客にゲームをさせたとして、京都市内の2店舗と神戸市内の2店舗の経営者ら男4人を著作権法違反(上映権の侵害)容疑で逮捕した。

逮捕されたのは、京都市内の経営者(32)と店長(29)と別店舗の経営者(32)、さらに神戸市の経営者(31)の計4人。
両府県警によると、4人とも容疑を認めているという。

いずれも、今年(2018年)4月、飲食物を提供するとともに、店内に「ニンテンドースイッチ」や「プレイステーション4」などを設置し、ゲームソフトを貸し出して遊ばせていたが、著作権を持つ任天堂(京都市)やカプコン(大阪市)などに使用の許可を取っていなかった。

ゲーム会社などでつくる「コンピュータソフトウェア著作権協会」は、これまでゲームバーに対して警告を出すなどの対策を行なってきたが、4店舗は従わなかったため、協会が両府県警に相談していた。

京都府警によると、ゲームバーの摘発は全国初だという。

まずは、今回の違反行為に抵触した条文を見てみましょう。

「著作権法」
第22条の2(上映権)
著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する。

これに違反した場合は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処され、またはこれらが併科されます。

◆著作権は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的としています。(第1条)

◆著作権は、特許権や商標権などとともに知的財産権とも呼ばれます。

◆著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができます。(第63条1項)
また、許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用することができます。(第63条2項)

◆著作権における著作物とは次のものなどをいいます。(第10条)

1.小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
2.音楽の著作物
3.舞踊又は無言劇の著作物
4.絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
5.建築の著作物
6.地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
7.映画の著作物
8.写真の著作物
9.プログラムの著作物

◆上記、著作物の著作権者に無断で次の権利を侵害するのは違法です。

「著作権に含まれる権利の種類」
・複製権(第21条)
・上演権及び演奏権(第22条)
・上映権(第22条の2)
・公衆送信権等(第23条)
・口述権(第24条)
・展示権(第25条)
・頒布権(第26条)
・譲渡権(第26条の2)
・貸与権(第26条の3)
・翻訳権、翻案権等(第27条)

この数年、カラオケ動画や音楽教室、飲食店などの店舗、結婚式などのイベント等での音楽の使用と著作権が問題になっていますが、法律上、今回のようなゲームバーという形態の店舗でも著作権者の許可を取らずに無断で使用すれば、逮捕される可能性があるということです。

なお民事としては、著作権者は「差止請求権」(著作権法第112条)や「損害賠償請求権」(民法第709条)などを求めることができます。

憶えておきたいものです。

そうしないと、

ゲームバーが、「ゲームオーバー」になってしまいます。(>_<)