親子間での嫌がらせ行為で逮捕
お金が絡んだ親子間のトラブルで息子が逮捕された、という事件が起きたようです。
一体、何があったのでしょうか?
「父親に金の無心、2千万円超 容疑で40歳男逮捕」(2017年7月3日 神戸新聞)
兵庫県警伊丹署は、嫌がる父親(72)の元へ再三、金の無心に行ったとして、次男で住所不定、無職の男(40)を逮捕しました。
逮捕に至るまでの経緯を簡単にまとめます。
・容疑者の次男は、高校卒業後は定職に就かず、アルバイトを転々としながら、20歳のころ実家を出て上京。
30歳を前に関西に戻ってきたものの、何度も実家に帰ってきては「金がない」、「仕事が決まった。これが最後」などと父親に懇願して食費や交通費を要求していた。
・今年(2017年)4月、父親が同署に相談。
署員が直接、男に注意したところ、「もう父親のところには行かない」と誓った。
・ところが、6月25日~7月2日、伊丹市の父親宅に毎日押しかけ、2000円~5000円の金を要求するなどしたため、7月2日に父親が「我慢の限界」として被害届を提出。
父親は、「食費や交通費名目で、これまでに2000万円以上を渡していた」と説明。
・7月3日、同署は「嫌がらせ行為」を繰り返したとして次男を兵庫県迷惑防止条例違反の疑いで逮捕。
同署の調べに容疑を認めているという次男の所持金は10円だった。
同署は、こうした条例を親族間で適用するのは異例としています。
現在、迷惑防止条例は、全国の47都道府県すべてで定められているもので、各都道府県民に対する迷惑行為や暴力行為などを防止し、生活の安全と秩序を維持することを目的としています。
各都道府県によって正式名称が異なっているのですが、兵庫県では正式名称を「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」といいます。
まずは条文から見てみましょう。
「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」
第10条の2(嫌がらせ行為の禁止等)
1.何人も、正当な理由がないのに、特定の者に対し、執ように又は反復して行う次に掲げる行為(ストーカー行為等の規制等に関する法律第2条第2項に規定するストーカー行為を除く。)をしてはならない。
(1)つきまとい、待ち伏せし、進路に立ち塞がり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること(身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)。
これに違反した場合は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金、常習者の場合は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます。(第15条)
この条項は、第3条の2(卑わいな行為等の禁止)が盗撮等を禁止するために拡大されたこととともに、2016(平成28)年3月23日の条例改正により追加され、同年7月1日から施行されているものです。
今回の事件におけるポイントは、条文の「特定の者に対し、執ように又は反復して行う」という部分です。
つまり、容疑者の次男は父親の家に押しかけて、長期間にわたって、執拗に反復して、何度も金の無心を行なったこと、そして被害者から相談を受けた警察が注意したにも関わらず、容疑者が“嫌がらせ行為”を止めなかったために逮捕された、ということだと思います。
「金の切れ目が縁の切れ目」ということわざがありますが、親子間でもお金が絡むと犯罪にまで発展してしまうことがあるという教訓のような事件でした。
みなさん、気をつけましょう。