野次馬根性で犯罪者に? | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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野次馬根性で犯罪者に?

2017年06月17日

毎日、世界中のどこかで、さまざまな災害や事故が起きています。

ちなみに、日本の法律である「災害対策基本法」では、災害を次のように定義しています。

「災害対策基本法」
第2条(定義)
一 災害 暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑りその他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害をいう。

 

これらは自然災害といわれるものですが、人為的災害としては次のものなどがあげられます。

・列車事故
・航空事故
・海難事故
・交通事故
・火災
・爆発事故
・石油流出
・化学物質汚染
・原子力事故
・テロ・戦争

さて、今回は災害について解説するわけではありません。
あなたが災害の現場にいた場合、こうした行為をすると犯罪になる可能性があります、ということについて解説します。

たとえば、あなたが自動車を運転していたところ、火災現場に遭遇したとします。
あなたは路上に自動車を駐車して、燃え盛る炎を見ています。

次々と、消防車や救急車が駆けつけています。

すると、前を通りかかった消防士に言われました。
「消火活動の妨げになりますから、ただちに自動車を移動してください」

しかし、あなたはその言葉を無視して火災を見続けていました。

しばらくすると、少し離れたところで消防士と警察官が話しているのが見えました。
二人はチラチラと、こちらを見ています。

そして、警察官があなたのほうに近づいてきて言いました。

「軽犯罪法違反ですので、警察署まで同行してください」

 

「軽犯罪法」
第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

8 風水害、地震、火事、交通事故、犯罪の発生その他の変事に際し、正当な理由がなく、現場に出入するについて公務員若しくはこれを援助する者の指示に従うことを拒み、又は公務員から援助を求められたのにかかわらずこれに応じなかつた者

 

本号は「変事非協力の罪」とも呼ばれるもので、何かの災害や変事の際に被害の拡大防止や被害者の救助などのために市民が遵守するべき最低限のことに対して、これに応じなかったり拒んだりすることを罰するものです。

今回の事例で考えると、火災現場での消火、救助活動について、公務員である消防士が協力を求めたにもかかわらず、これに応じなかったため軽犯罪法違反に問われた、ということになります。

たとえば、もっと間近で火事を見ようとして立ち入ってはいけない場所に入ろうとして、制止されたのにそれを無視して中に入ったり、立ち入り禁止区域に入っていたところ、立ち退くように言われたにもかからずこれに応じなかったり拒んだりした場合も同様です。

正当な理由があれば処罰はされませんが、どのような理由が正当なものなのかは、その場の状況や社会通念に照らして判断されます。

野次馬根性を出しすぎると、犯罪にまで発展することがある、ということです。

気をつけましょう。