労基法と休憩時間 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
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労基法と休憩時間

2017年05月07日

今回は、労働時間と休憩時間について解説します。

Q)私が勤務している会社では仕事が忙しく、休憩時間もろくに取れません。とても損をしている気がします。休めない休憩時間の分を給料に上乗せしてもらうような方法はないでしょうか?

A)労働基準法では、従業員の1日における労働時間と休憩時間が定められています。規定通りに従業員に休憩を与えていないのであれば、会社は労働基準法違反に問われる可能性があります。また、従業員は休憩時間に労働していた分の賃金を請求できます。
【労働基準法とは?】
「労働基準法」は、1947(昭和22)年に制定された法律です。
会社に比べて立場の弱い労働者の保護を図ることを目的として、会社が守らなければいけない最低限の労働条件などについて定めています。
【休憩時間とは?】
会社が従業員に自由に利用させなければいけないもので、次のように規定されています。

第34条(休憩)
1.使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
2.前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。
3.使用者は、第1項の休憩時間を自由に利用させなければならない。
【労働時間と休憩時間の違いとは?】
では、労働時間と休憩時間の違い、その境界線はどこにあるのでしょうか?
労働時間については次のような判例があります。

「労働時間は、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない」
(三菱重工業長崎造船所事件 最高裁一小平成12年3月9日民集54巻3号801頁)

詳しい解説はこちら⇒「仕事中の待機時間に賃金は発生するのか?」
https://taniharamakoto.com/archives/1949/

今回の質問内容からだけでは、どのような労働状況なのか詳しくはわかりませんが、従業員が会社の指揮命令下に置かれた時間は労働時間になるわけですから、休憩時間にもかかわらず会社(上司)からの命令・指示で働かされて休憩できないような状況であれば、会社は労働基準法に違反していると考えられるでしょう。

会社は、従業員の労働時間だけでなく休憩時間もしっかりと管理することが求められます。

近年、労働基準法違反については労働基準監督署が取り締まりを強化しているようです。悪質な違反については書類送検され、刑事罰を受けることになりかねません。

労使双方がお互いに尊重し合いながら、未来志向でともに発展していくことができる労働環境を目指していただきたいと思います。

会社側からのご相談はこちらから⇒http://roudou-sos.jp/flow/

労働者の方のご相談はこちらから⇒http://roudou-sos.jp/zangyou2/