少年に刃物を持たせると、親が処罰される? | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。
メニュー
みらい総合法律事務所
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。

少年に刃物を持たせると、親が処罰される?

2011年12月17日


知っていますか?

18歳未満の者に、刃物を所持させると、刑罰を受けることがあります。

先月、埼玉県などで、女子中学生らを刃物で刺したとして17歳の少年が逮捕された事件がありました。

少年は、「刃物を集めると同じころ猫を刃物で殺すようになった。次第にエスカレートして子供を傷つけようとした」などと供述しています。

警察が調べてみると、少年の自宅からサバイバルナイフなどが16本あったそうです。

そこで、警察は、少年の父親を、埼玉県青少年健全育成条例違反で書類送検したとのことです。

http://news.tbs.co.jp/20120116/newseye/tbs_newseye4928285.html

父親が書類送検?

どういうことでしょうか?

父親は、少年が女子中学生らを刃物を刺したことの責任を問われたわけではありません。

説明します。

埼玉県健全育成条例は、青少年の健全な成長を阻害するおそれのある行為を防止し、もつて青少年の健全な育成を図ることを目的としています。

そのために、青少年の健全な育成にとって有害な物を、青少年に所持させることを禁止しています。

その中には、有害図書などもあるのですが、青少年又はその他の者の生命又は身体に対して危険を伴い、又は害を及ぼし、青少年の健全な成長を阻害するおそれのある「有害ながん具」を、売買し、交換し、贈与し、若しくは貸し付け、又は所持させてはならない、という規定もあります(12条3項)。

この「有害ながん具」とは、「がん具、刃物その他の器具類」(3条5号)をいうので、今回のナイフも入るのです。

今回の父親は、少年がナイフ類を集めて所持するのを容認していた、として、埼玉県青少年健全育成条例違反に問われたものです。

ちなみに、この場合の法定刑は、30万円以下の罰金です(29条1号)。

今回は、「埼玉県」の条例であり、他の都道府県には適用はありませんが、多くの都道府県の条例で同様の規定があるかもしれません。

18歳未満の少年のご両親は、気をつけてください。

また、販売店なども注意が必要です。