18歳ひき逃げで親は責任を負うか? | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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18歳ひき逃げで親は責任を負うか?

2011年12月18日

高校3年生の18歳の男子生徒がひき逃げです。

1月15日の夜、神奈川県海老名市で男子大学生2人を乗用車でひいて、逃げてしまったようです。

http://news.tbs.co.jp/20120116/newseye/tbs_newseye4928292.html

本人は未成年者なので、少年法の適用があり、今後手続が進んでいくことになります。

被害者のうち1人は重体だそうです。

民事の損害賠償問題も発生します。

様々な問題が発生するのですが、今回は、未成年者の行為について、両親が損害賠償責任を負うか、について解説します。

民法では、未成年者が他人に損害を与えた場合、自分の行為の「責任を弁識するに足りる能力」がない場合には、賠償責任を負わないと定めています(712条)。

そして、その場合には、親など未成年者を監督する法定の義務を負う者が賠償責任を負います(714条)。

この「責任を弁識するに足りる能力」は、「是非善悪を識別する能力」であり、過去の判例からすると、11歳11ヶ月で「能力あり」と判断されたり、12歳2ヶ月で「能力なし」とされたりしているので、だいたい11歳~13歳くらいと言えるでしょう。

今回は、18歳ということですで、まず本人が責任を負う、ということになります。

ただし、子が毎晩乗用車を乗り回し、危険な運転で何度も事故を起こしていたり、苦情が来たりしているにもかかわらず、親として何ら管理・監督義務を果たさなかったとすれば、可能性は低いのですが、責任を負う場合がないとは言えないでしょう。

なお、乗用車が親の所有車である場合には、上記とは、別に、自賠法により親が損害賠償責任を負うことになるでしょう。