人に期待してはいけない?
人は人に期待を抱きます。人から認められ、期待された人には、その期待に応えようというモチベーションが生まれます。
全く知らない人に対しては、あまり期待をすることがありません。
人に期待するのは、家族や友人、仕事関係など、その人に対してある程度の人間関係があるからです。
逆に、誰にも期待せず、誰にも期待されない人生は非常に寂しいものだと思います。
仕事の上で部下に期待する場合でも、その人に頑張ってほしい、ステップアップしてほしいと考えているからです。
部下がその気持ちを受け取って、期待に応えてくれたときには、自分ができないことをできるようになった時に劣らない喜びがあります。
しかし、ここに気をつけたいポイントがあります。
他人へ大きな期待する人は、人に対して失望や怒りを持ちやすいという特徴があることです。
人への期待値が高いと、期待にそぐわない行動をしたときに「裏切られた」という感情が大きくなるからです。
期待はあくまで主観です。
いくら良い動機をもっていても、相手の事情を考えずに勝手に期待し、それができなかったからといって怒ってしまう人は、自分本意の考え方をしているといわざるをえません。
私ももちろん、部下に対して大きく期待しています。
そして、その期待に基づいて、いままでよりも難易度の高い仕事を任せたり、責任のある立場に就かせたりといったことをします。
しかし、私にとって、人への期待は、「こうすべきだ」ではなく「これはできるのではないか」「できて欲しい!」という程度にとどまっており、「できるべきだ。できない時は許さない!」という期待ではありません。
もし、その期待に部下が応えられなかったら、とても残念です。
しかし、「裏切られた」という感情は起こりません。
そして、部下が期待に応えられなかった場合、そうなってしまった原因を探ります。
原因として考えられることとして、まず自分が思っていたよりもその人に能力がなかったということがあります。これは自分が能力を見誤ったことを示しています。
あるいは、できなかったことに特別な事情がある場合もあります。
もしかしたら、その状況にあればその人ではなくても不可能だったのかもしれません。
できない原因がわかってはじめて、もう一度その人に同じ仕事をさせるべきかを判断することができます。原因に合わせ、適切に次の期待へつなげることができるわけです。
また、上に立つ人物であれば、期待をかけて人に仕事を任せる場合、それができなかったときにどうするかということもあらかじめ考えておく必要があります。
その準備が不十分であることの責任は、人に押し付けることはできません。
信頼でき、期待をかけられる人がいるのはすばらしいことだと思います。
自分勝手な期待ではなく、成長のきっかけとなるような「良い期待」ができるよう心掛けたいものです。
「期待はあらゆる苦悩のもとである」(シェイクスピア)
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