交通事故の謝罪は必要か?
交通事故による死亡者は、年々減少傾向にあります。
警察庁発表のデータで見ると、その傾向は顕著にわかります。
2012年の死亡事故者数は、4,411人。
2001年が8,747人ですから、この約10年間で約半分に減少したことになります。
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/materials/?mn=0000109475
交通事故による負傷者数も、半分とは言わないまでも、順調に減少してきています。
交通事故の被害者側の弁護をしていると、様々な相談を受けますが、やはり、死亡事故のご遺族からの相談がもっとも悲痛なものとなります。
脊髄損傷や頭部外傷により、一生寝たきりになってしまう事例も悲惨ですが、命があるだけまだ希望があります。
しかし、死亡事故は、被害者の命を一瞬にしてこの世から消し去ってしまいます。
しかも怨恨などとは無関係で、何の落ち度もない一人の人間の命を、「よそ見」などの原因によって消し去ってしまうのです。
交通事故の事件の場合、被害者側と加害者側によって、見方が全く異なります。
被害者は、事故の「結果」を見ます。つまり、死亡事故の場合には、「死亡」という結果を見るために、とても重く受け止めます。「親族を殺された」と同じように考えるご遺族が多くいます。
反対に加害者は、「過程」を見ます。「死亡」という結果を重く受け止める加害者もいますが、多くの事例を見ていると、それよりも、「過程」、つまり、「ちょっと脇見をしたという過失だけだ」と、事故を軽く見る傾向があるように感じます。
「過程」を重視するために、「自分はたいして悪くない」と思い込んでしまうのです。
その結果、被害者に謝罪すらしない加害者が多くいます。
そうすると、被害者側も感情的なしこりが残り、民事の損害賠償事件も解決が困難になっていきます。
事故自体は減少しているものの、まだこの世からの根絶にはほど遠いものがあります。
車を運転される方は、くれぐれも気をつけていただきたいと思います。
そして、万が一の不注意により事故を起こしてしまった場合には、被害者あるいはそのご遺族に対して、謝罪を尽くしていただきたいと思います。