少額減価償却資産の判定単位
2022年03月31日
今回は、少額減価償却資産の判断基準について、裁判例から検討してみたいと思います。
中小企業の場合、取得価額が30万円未満である減価償却資産について、一定の要件のもとに損金算入を認める特例があります。
この特例の適用においては、他の資産と一体として30万円以上の資産になるのか、あるいは、当該資産が独立した資産として30万円未満の資産となるのか、という論点があります。
この点、最高裁平成20年9月16日判決は、PHS電話事業において、エントランス回線利用権が一回線毎に少額減価償却資産となるのか、あるいは、PHS接続装置等と一体として30万円以上の減価償却資産となるのかが争われました。
最高裁は、減価償却資産の判定基準として、
(1)1単位として取引されているか
(2)資産としての機能を発揮して、収益の獲得に寄与するものか
の2点を検討すべきとしました。
そして、
(ア)エントランス回線は1回線でも取引の対象となり、
(イ)エントランス回線1回線に係る権利一つでもって、被上告人のPHS事業において、上記の機能を発揮することができ、収益の獲得に寄与するものということができる。
と判示しました。
したがって、減価償却資産の判定単位について迷ったら、上記基準に当てはめて検討していただくのがよろしいかと思います。
なお、上記最高裁以前にも同じ論点が争われている事例もありますが、最高裁以降は、全て上記基準によって判断されることになりますので、過去事例を上記最高裁基準にあてはめて考えていくことになります。
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