所得税確定申告期限延長の法的根拠 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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所得税確定申告期限延長の法的根拠

2020年03月18日

現在所得税等の確定申告期限や納期限が延長されています。

なぜ、国税庁の権限で、申告期限や納付期限の延長などができるのでしょうか?

この延長の根拠には、もちろん、法律上の根拠があります。

まず、所得税については、所得税法第120条により、3月15日が申告期限となっております。

今回の期限延長は、国税通則法第11条に基づく措置と思われます。

国税通則法第11条

国税庁長官、国税不服審判所長、国税局長、税務署長又は税関長は、災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、政令で定めるところにより、その理由のやんだ日から二月以内に限り、当該期限を延長することができる。

この規定に基づき、国税通則法施行令に次のような規定があります。

国税通則法施行令3条2項

国税庁長官は、災害その他やむを得ない理由により、法第十一条に規定する期限までに同条に規定する行為をすべき者・・・であつて当該期限までに当該行為のうち特定の税目に係る国税に関する法律又は情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律・・第六条第一項(電子情報処理組織による申請等)の規定により電子情報処理組織を使用して行う申告その他の特定の税目に係る特定の行為をすることができないと認める者・・・が多数に上ると認める場合には、対象者の範囲及び期日を指定して当該期限を延長するものとする。

この規定に基づき、令和2年3月6日付けの官報で、次のように告示されました。

国税通則法施行令第3条第2項の規定に基づき、次の掲げる法令の規定・・・に基づき税務署長に対して申告、申請、請求、届出その他書類の提出又は納付(その期限が令和2年2月27日から同年4月15日までの間に到来するものに限る。)をすべき個人が行うこれらの行為については、その期限を同月16日とする。

一 所得税法その他の所得税(復興特別所得税を含むものとし、源泉徴収による所得税及び復興特別所得税を除く。)に関する法令の規定(調書の提出に関する規定を除く。)

二 相続税法その他の贈与税に関する法令の規定のうち贈与税に係る部分(調書の提出に関する規定を除く。)

三 消費税法その他の消費税に関する法令の規定

四 内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第5条第1項及び第6条の2第1項の規定

これに基づき延長されているのが、以下の手続です。

国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kansensho/tetsuzuki.htm

法律上の根拠がわかると、公表されていない事項の疑問の答えもわかってきます。

課税庁からの「更正」の期限は、延長されるでしょうか?

更正の期限については、上記のような延長規定はありません。

上記官報での告示でも、「個人が行うこれらの行為」とされています。

当然のことながら、本日現在、国税庁のホームページにおいても、更正の期限が延長された旨のお知らせはありません。

したがって、更正の期限は延長されない、と考えます。

次に、徴収権の消滅時効については、どうでしょうか?

国税の徴収権の消滅時効は、原則として、「法定納期限から5年」です。(国税通則法73条)

消滅時効は、「権利を行使することができる時」から起算されます。

したがって、国税通則法11条により法定納期限が延長され、その間は徴収権を行使できないので、5年後の消滅時効もズレることになります。

ただし、今から5年前の法定納期限にかかる消滅時効期間は延長されません。