他人のフェイスブックに不正アクセスすると逮捕!?
他人のプライベートを盗み見したくなるのは、人間の性(さが)かもしれません。
しかし、注意してください!
見てはいけないものを見てしまうと…犯罪になる可能性があります。
「不正アクセス:容疑者“写真を見て性的欲求を満たした”」(2015年11月10日 毎日新聞)
警視庁サイバー犯罪対策課は、不正に入手したIDとパスワードを使って他人のフェイスブック(FB)に侵入したとして、東京都板橋区に住む携帯電話販売会社「光通信」社員の男(25)を不正アクセス禁止法違反容疑で逮捕しました。
逮捕容疑は今年1~3月、不正に入手した都内の20代の女性のIDとパスワードを使ったFBへのログインです。
FBへの不正アクセスを立件するのは、今回が全国初だということです。
事件の発端は、2014年7月。
捜査員がサイバーパトロール中、ネットの掲示板にわいせつ画像が公開されているのを発見。
捜査線上に容疑者の男が浮上したことで、わいせつ図画公然陳列容疑で自宅を家宅捜索。
すると、パソコンのファイルから大量のIDとパスワードが見つかったため、さらに捜査を進めていたようです。
今回、男のパソコンからはFBのほか、アップル社のデータ保存サービス「アイクラウド(iCloud)」利用者も合わせて770人以上のIDやパスワード、電話番号などが見つかり、さらには女性の私的な画像が複数保存されていたことから、FBなどに不正にアクセスしてプライベートを「のぞき見」し、入手していたとみているとのことです。
容疑者の男は、「被害者のプライベートな写真を見て性的欲求を満たしていた」と供述し、容疑を認めているということです。
夫婦や恋人、親族の間でも、メールやフェイスブックなどに不正にアクセスすれば犯罪になる可能性があります。
不正にアクセスする、というのは、許可なく他人のIDとパスワードを使ってインターネットを通じてFacebookやメールシステムなどにアクセスすることです。
これは、犯罪です。
また、そのような不正アクセスをすることを目的として、他人のIDやパスワードを取得することも犯罪です。
携帯電話やスマホにダウンロードされたメールを見ても、「不正アクセス」にはなりません。
「不正アクセス」というくらいですから、インターネットなど通信回線を通じて他人のコンピュータに接続して利用する行為が罰せられます。
詳しい解説はこちら⇒「アダムとイブと不正アクセス禁止法」
https://taniharamakoto.com/archives/1326
「不正アクセス禁止法」
第3条(不正アクセス行為の禁止)
何人も、不正アクセス行為をしてはならない。
第4条(他人の識別符号を不正に取得する行為の禁止)
何人も、不正アクセス行為の用に供する目的で、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を取得してはならない。
ネットで不正にアクセスすれば3年以下の懲役又は100万円以下の罰金、IDやパスワードを不正に入手すれば1年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。
近年、不正アクセスは大きな問題になっています。
個人や、さまざまな業種の企業のサイトに不正にアクセスし、個人情報や企業秘密を奪ったり流出させる事件が相次いでいます。
2014年には、無料通信アプリのLINE(ライン)のアカウント(IDとパスワード)が不正に乗っ取られる事件が多発したのを記憶している人も多いでしょう。
詳しい解説はこちら⇒「LINEのアカウントの乗っ取りに要注意」
https://taniharamakoto.com/archives/1552
では、これらの被害に遭わないようにするには、どうしたらいいのでしょうか?
不正アクセスでは本人が知らない間に被害に遭うケースが多いことを考えれば、まずは自衛対策が大切になります。
やはり、以前からよく言われているように、
・すべてのWebサービスでIDやパスワードを異なるものにして管理する。
・生年月日や電話番号など、わかりやすく、個人が特定されやすいものは使わない。
・なるべく長いものを使う
・パスワード管理ツールを使う
・2段階認証やアプリなども併用する。
などの対策をしておく必要があるでしょう。
なお、不正アクセス禁止法では以下の項目についても禁止されていますので、合わせて覚えておいてください。
・他人のIDやパスワードをアクセス管理者や利用権者以外の者に提供してはいけない。(第5条)
・不正に取得した他人のIDやパスワードを保管してはいけない。(第6条)
・フィッシング行為などで他人のIDやパスワードを不正に要求してはいけない。(第7条)
上記すべて、違反した場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。
他人のプライベートの「のぞき見」、相手への復讐、いたずら等、動機はさまざまでも、不正をすれば高い代償を払うことになるということは肝に銘じておいてほしいと思います。