飲酒運転で自動車運転死傷行為処罰法が初適用!
「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(通称、「自動車運転死傷行為処罰法」)が、5月20日に施行されました。
これは、悪質運転による死傷事故の罰則を強化した全6条から成る新しい法律です。
「自動車運転死傷行為処罰法」は、これまで刑法に規定されてきた、「危険運転致死傷罪」と「自動車運転過失致死傷罪」を刑法から抜き出し、新しい類型の犯罪を加え、さらには、それら事故の際、加害者が無免許だった場合に刑を重くするというもので、以下のように構成されています。
・「危険運転致死傷罪」
・「過失運転致死傷罪」
・「準危険運転致死傷罪」
・「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」
・「無免許運転による加重」
詳しくは、以下のページで解説しています。ぜひ、参考にしてください。
〇「自動車運転死傷行為処罰法」の成立までの経緯(1)
https://taniharamakoto.com/archives/1234
〇「自動車運転死傷行為処罰法」のポイント解説(2)
https://taniharamakoto.com/archives/1236
さて、この「自動車運転死傷行為処罰法」が施行されたその日に早速、全国初の適用となってしまった不名誉な事故が起きてしまいました。
「酒酔い重傷事故で現行犯逮捕 自動車運転処罰法を初適用 埼玉」(2014年5月20日 産経新聞)
埼玉県警は5月20日、酒に酔って重傷事故を起こしたとして、同日施行された自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致傷)の疑いで、自営業の男(41)を現行犯逮捕しました。
報道によりますと、午前3時40分頃、男は同県蕨市の市道で酒に酔ったままワゴン車を運転して、対向車線にはみ出しタクシーと衝突。タクシー運転手に左手骨折などの重傷を負わせたようです。
男は、「1人で飲みに行った。酔っぱらって運転した」と容疑を認めているとのことです。
今回のような事故に対して、今後は「自動車運転死傷行為処罰法」が適用されます。
アルコールや薬物の影響により、正常な運転が困難な状態で走行した場合、「危険運転致死傷罪」の最高刑は懲役20年です。
なお、危険運転致死傷罪には該当しないが、アルコールまたは薬物、あるいは一定の病気の影響により、走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で事故を起こした場合、「準危険運転致死傷罪」が適用されます。
「準危険運転致死傷罪」の最高刑は懲役15年です。
施行されたばかりのこの新法、今後どのように運用されていくのか、現時点ではまだわかりません。
せっかく、世論の高まりによってできた法律で、より重い刑罰を科すわけですから、罰するところはきちんと罰するよう厳格に適用していってほしいと思います。
今後の状況を注意深く見守っていきたいと思います。