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法がダメなら条例で!京都府が盗撮を禁止へ~
2014年02月03日
カメラやビデオなど撮影機器の性能が進化したせいもあるでしょう、近年、「盗撮」による犯罪が増加しているように思います。
ニュースを見ると、毎日全国のどこかで誰かが盗撮している始末。
そんな状況の中、京都府警が盗撮を禁止する場所を学校や職場など「公衆の目に触れる場所」にまで拡大する府迷惑行為防止条例の改正案を2月議会に提出すると発表しました。
「学校、職場でも盗撮禁止へ 京都府警、初の条例案」(2014年1月29日 産経ニュース)
報道によりますと、現行の条例は、盗撮を禁じるスペースを誰でも出入りできる商業施設や駅、電車、バスの中など「公共の場所または公共の乗り物」と規定。
そのため、平成24年、京都市の中学校の元教諭が校内で盗撮をしていたことが発覚した際、条例が適用できず立件を見送り、路上での盗撮行為で逮捕したことなどの経緯から、条例改正を検討してきたようです。
改正案では、規定を「公衆の目に触れるような場所」に拡大し、学校や塾の教室、職場、病院や、公衆浴場、公衆便所、デパートの試着室、プールの更衣室など服を着ていない場所も新たに規制対象とするとしています。
また、罰則も「6月以下の懲役または50万円以下の罰金」から「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に引き上げる考えのようです。
ところで、多くの人は何か腑に落ちない気がするのではないでしょうか?
そもそも、公共の場であろうが、公衆の目に触れる場所だろうが、盗撮は犯罪じゃないのか? ということです。
じつは、盗撮行為は「刑法」には直接抵触しないのです。
現状、卑猥目的の盗撮行為を取り締まるには、つぎの3つのどれかで法の裁きを下すしかありません。
「軽犯罪法」
さまざまな軽微な秩序違反行為に対して拘留(1日以上30日未満で刑事施設に収容)、科料(1,000円以上1万円未満)に処する法律です。第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。23.正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
各都道府県の「迷惑行為防止条例」
現在、47都道府県すべてで定められています。
ここでは、京都府の条例をひとつの例として記しておきます。「京都府迷惑行為防止条例」
第3条
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しくしゅう恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。(4) みだりに、着衣で覆われている他人の下着又は身体の一部(次号において「下着等」という。)をのぞき見し、若しくは撮影し、又はこれらの行為をしようとして他人の着衣の中をのぞき込み、若しくは着衣の中が見える位置に鏡、写真機等を差し出し、置く等をすること。
第10条
第3条、第6条又は第8条の規定に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2 常習として第3条、第6条又は第8条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。「住居侵入罪」
部外者が、盗撮目的で機器設置のために、さく等に囲まれた建造物の敷地に侵入する行為は「住居侵入罪」に該当します。「刑法」第130条(住居侵入等)
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。よく学校やデパートなどの女子トイレに侵入して盗撮した人が住居侵入罪で逮捕していますね。
こうした現状を踏まえてメディアの報道を読むと、今回の京都府警の改正案がなぜニュースになったのか?
その理由が見えてくるでしょう。
今は、誰もがいつでも盗撮し、インターネットで瞬時に世界にばらまかれる危険性をはらんでいます。
法律や条令で取り締まるのも仕方ありませんね。
法律は完璧ではありません。
さまざまな事象から議論を重ね、法律の改正をしながら、よりよい社会のために一歩ずつ前進していくものなのです。
そうしたことを知ると、法律のおもしろさがまたひとつ、わかってくるのではないでしょうか。
法律や条令などを作ったら、それを伝えるのが政府、地方自治体、マスコミの役割です。
私もこうやってブログを書き、少しでも法を社会の隅々に届けたいと思っています。
ルールに則った住みやすい社会になることを祈ります。
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迷惑チラシのポスティングを禁止できるか?
2013年11月29日
知らぬ間に、部屋中にいらないものがたまっている、気がつくと会社の机の上にも資料やコピーがたまって、いくつもの山脈ができている…。
そんな人、けっこう多いのではないでしょうか?
結局、自分でためてしまったものは、自分で片付けるしかありません。「整理術」に関する本も世の中にたくさんあります。
しかし、自分に関係のないところで、知らないうちにたまっていく厄介なものあります。
ポストに投函されているチラシも、そのひとつでしょう。
不動産、飲食店、通信販売、貸金、探偵、宅配サービス、不用品回収からピンクチラシまで、日々さまざまなチラシがポスティングされています。
整理しなければ、すぐにポストいっぱいにたまってしまって邪魔、他の郵便物も混ざっているから仕分けするのが面倒、そもそも頼んでもいないのに勝手に入れられて不愉快、など鬱陶しく感じている人も多いでしょう。
「チラシお断り」と張り紙しても、ほとんど効果はなし……では、こうしたチラシのポスティングを法的に拒否する、または取り締まる法律はあるのでしょうか?
軽犯罪法というものがあります。
これは、さまざまな軽微な秩序違反行為に対して拘留(1日以上30日未満で刑事施設に収容)、科料(1,000円以上1万円未満)に処する法律です。33の行為が罪として定められており、この中の32番目に、ポスティングに適用可能な規定があります。
軽犯罪法 第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。32.入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入った者
つまり、マンションの入り口などに「チラシ投函のための立入お断り」などの張り紙をしておけば、「入ることを禁じた場所」になり、入ってしまうと軽犯罪法1条32号により、軽犯罪法違反となります。
実際、居住者以外の立入を禁じたマンション等にちらし配布の目的で立ち入った場合にも同様の理由によって本号違反が成立するとされた例があるようです(東京簡裁略式命令平成4年8月18日公刊物未搭載のため未確認・出典「軽犯罪法101問」立花書房)。
また、さく等に囲まれた建造物の敷地に侵入する行為は「住居侵入罪」に該当します。
刑法 第130条(住居侵入等)
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。ちなみに、ピンクチラシなどは、各地方自治体の迷惑行為防止条例や青少年保護育成条例で規制されています。
たとえば、東京都の迷惑防止条例では、違反者は50万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処せられます。
政治ビラについては、過去の判例で、住民からの再三にわたる投函禁止要請を無視し、思想を強要するビラを投函し続けた男に対し、この状況下においては住居侵入罪に当たるとの判決が下ったものがあります。
したがって、ポスティングをやめさせたければ、たとえば、マンションのポスト入り口などに「チラシ投函のための立入お断り。発見した場合は住居侵入罪及び軽犯罪法違反で刑事告訴します。監視カメラ作動中」などの掲示をし、監視カメラを設置する、という方法があります。
ところで、日本のチラシの歴史を調べてみると、1683(天和3)年、三井越後屋(今の三越)が呉服の宣伝で、「現金安売り掛け値なし」というキャッチコピーで出した「引き札」というチラシが最初のものだとされているそうです。
引き札は、独特な色合いと大胆な図柄が特徴で、今では収集家がいて展覧会も開かれる美術品だということです。
昔も今も、必要なチラシもあるので、すべてのポスティングが不用なものとはいえません。
そうなると、先ほどの禁止措置を講じた上で、マンションの管理組合が認めたチラシのみ、ラックなどを設置してチラシを入れておく、などの方法が考えられると思います(管理組合に広告収入も入ります)。
広告主よし、住人よし、管理組合よし、の三方よしですね。