横浜市のコメント | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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横浜市のコメント

2006年02月01日

耐震強度偽装事件で、ヒューザーが、東京都など18自治体を相手に約139億円の損害賠償請求訴訟を提起したようです。朝日新聞ニュース

建築確認業務を行ったのは、民間検査機関ですが、都道府県は、違法建築物を未然に防ぐ注意義務があり、その注意義務を怠ったというのが、その理由のようです。(訴状を見ていないので、ニュースをもとにしました。)

横浜市は、これに対し、「ヒューザーが構造計算を依頼した建築士が偽装して行政処分を受けているにもかかわらず、建築主自ら自治体を相手に訴訟を起こすなど本末転倒だ」とのコメントを発表したそうです。(上記ニュースによる)

この「本末転倒」というコメントも今ひとつ理解できません。「横浜市は処分をする側であって、逆に訴えられるなんて本末転倒」ということでしょうか。

しかし、自ら処分をすることと、賠償責任を負担することは無関係です。これは、会社の従業員が業務上で違法行為をした時に、会社が従業員を懲戒解雇したからといって、会社が賠償責任を免れることがないことや、公務員が違法行為をしたときに、公務員を処分したからといって、国などが賠償責任を免れないのと同じです。

あるいは、「ヒューザーが自分で構造計算を依頼しておきながら、賠償請求をするなど本末転倒だ。」ということでしょうか。しかし、依頼された者が違法行為を行ったときにこれを訴えるのは当然のことです。

結局、「本末転倒」という言葉がしっくりくるのは、「ヒューザーが『違法な』構造計算を指示・依頼しておきながら、自ら賠償請求訴訟を起こすのは本末転倒だ。」という意味の場合ということになります。

しかし、ここまで言ってしまうと、今度は、横浜市はヒューザーから名誉毀損で訴えられることになります。そこで、先のコメントに留めて意味不明になってしまったのか、あるいは、そこまで考えずにコメントしたのか、それは不明です。

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