立ち小便が犯罪になる場所とは? | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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立ち小便が犯罪になる場所とは?

2017年02月10日

今回は、男性はドキリとする内容かもしれません。

男性なら1度はしたことがあるであろう、ある行為が犯罪になるという件について解説します。

「ビル駐輪場で立ち小便の男性に逆転有罪判決 “駐輪場は公共スペース”と大阪高裁」(2017年2月7日 産経新聞)

2015(平成27)年12月8日、大阪市福島区のビルの駐輪場で立ち小便をしたとして、軽犯罪法違反に問われた男性(36)の控訴審判決公判が大阪高裁で開かれました。

大阪高裁は、「現場が公共スペースに当たらない」とした1審大阪簡裁の無罪判決を破棄し、「現場は街路に当たる」として科料9900円の逆転有罪を言い渡しました。

現場である駐輪場は、15台ほどの自転車を止められるスペースがあるようで、検察側は「公園その他の公衆の集合する場所」に該当するとして男性を起訴していました。
これ対して1審判決は、「公園などに比べると、極めて狭い」として違法性を認めなかったようです。

今回の大阪高裁の判決では、「公衆の集合する場所ではない」として1審の判断を踏襲しつつも、駐輪場が道路に面していることなどから「街路」に当たり、軽犯罪法違反罪が成立するとしたということです。
では、条文を見てみましょう。

「軽犯罪法」
第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

26 街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者

※拘留(1日以上30日未満で刑事施設に収容)、
科料(1000円以上1万円未満を徴収)

以前も、この26号について解説しました。
詳しい解説はこちら⇒「犯罪になるストレス発散法とは!?」
https://taniharamakoto.com/archives/1309/

この事件では、つばを吐きかける行為について解説しましたが、今回、問題になったのは立ち小便です。

裁判の争点は、現場である駐輪場が条文にある「街路又は公園その他公衆の集合する場所」に該当するかどうかでした。

地裁判決では、自転車15台分のスペースの駐輪場は「公衆の集合する場所」に該当しないと判断しましたが、高裁判決では、道路に面していることなどから「街路」に当たるとしています。

では、街路とはどういうものをいうのでしょうか?

法的な判断としては、文字通り「市街地の道路」ということになります。

国道や県道、市町村道、また私道の区別はありません。
道幅が広いか狭いかは関係ありません。
その時、実際に人が通行していたかどうかも関係ありません。

普段、多くの人が通行する、利用する市街地の道路を街路といいます。
ということは、田舎道や山林道で立ち小便をしても、この罪には問われないということになります。

報道からだけでは実際の状況はわかりませんが、大阪市福島区といえば松下電器産業(現パナソニック)の創業の地だそうで、戦前は中小企業が立ち並ぶ工業地帯で、戦後はオフィスビルが立ち並び、近年では多くの超高層マンションが建設されているそうですから、現場となった駐輪場が面している道路も相当数の通行があるのでしょう。
そのため、軽犯罪法違反が成立したということだと思います。

市街地の道路や公園、公衆の場での立小便は犯罪になる可能性があります。
尿意は生理現象ですから抑えることは難しいものですが、時と場所をわきまえて小便をしなければいけません。

なお、念のためですが、この法律では、男女を問いませんので、女性も気をつけましょう。

なお、ママやパパの場合は、上記の場所で子供に大便や小便を「させる」と軽犯罪法に問われる可能性もあるので、十分注意してほしいと思います。