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死体を放置して軽犯罪!?

 >死体を放置して軽犯罪!?

2016年11月25日

今回は、「要扶助者・死体等不申告の罪」といわれる犯罪について解説します。

あまり馴染みのない罪かもしれません。
しかも死体とは、何やら不穏なものを感じますが、これは「軽犯罪法」に規定されているものです。

「軽犯罪法」
第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

十八 自己の占有する場所内に、老幼、不具若しくは傷病のため扶助を必要とする者又は人の死体若しくは死胎のあることを知りながら、速やかにこれを公務員に申し出なかつた者
ポイントは次の3点です。

①自己の占有する場所内
②扶助を必要とする者、死体、死胎
③速やかに公務員に申し出る

以前、タクシー運転手が泥酔して寝込んだお客を路上に放置して死なせたために保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕された事件について解説しました。

詳しい解説はこちら⇒
「タクシー運転手が客を置き去りにして逮捕?」
http://taniharamakoto.com/archives/2468

「刑法」の第217条から第219条には「遺棄」に関する罪が規定されていますが、今回の「要扶助者・死体等不申告の罪」とは何が違うのでしょうか?

まず「遺棄」とは、保護を必要とする者を保護のない状態にさらす犯罪ですが、刑法では遺棄する場所については特に規定はありません。
つまり、公道でも公園でも山林でも遺棄になるわけです。

一方、軽犯罪法第18号の「要扶助者・死体等不申告の罪」では、「自己の占有する場所内」と規定されています。
たとえば、縁起でもないですが、自宅の庭に老人が迷い込んで倒れて立ち上がれないような場合には、すぐに警察などに通報しなかったときは、この罪に問われる可能性があるということです。

次に、「扶助を必要とする者」ですが、「老幼」については絶対的な年齢の基準があるわけではなく、事件ごとに相対的判断されます。

また、どのような状態の人が、扶助が必要と判断されるかについては、病気やケガの人以外にも次のような状態の場合、要扶助と認められた判例があります。

・泥酔者
・極度に疲労している者
・知的障碍者
・麻薬等の薬物により正常な意識を失っている者
・飢餓者
・麻酔状態にある者
・催眠術にかかっている者
・産褥期(産後1、2ヵ月)の女子

ちなみに、要扶助者に保護者がついている場合は、警察などに通報しなくてもこの罪は該当しません。

ところが、たとえばあなたが自分の所有する土地に倒れている人を発見し、介抱したり保護したりすれば、法律上あなたは保護義務を負うことになります。
そして、途中から介護、介助を止めてしまって放置した場合は、刑法
第218条の保護責任者遺棄罪や、第219条の遺棄致死傷罪に問われる可能性があります。

保護責任者というと親や子などの親族をイメージするかもしれませんが、それには限りません。
なお、保護責任者遺棄罪の法定刑は3ヵ月以上5年以下の懲役です。当然、軽犯罪法違反と比較すれば重い刑に処されるわけですから、注意が必要です。

ところで、条文に「速やかに」とありますが、どのくらいの時間経過のことをいうのでしょうか?

速やかにとは、時間をおかずにできるだけ速くという意味です。
具体的な時間の定義があるわけではありませんが、扶助者の存在を知ったなら、その状態や発見時刻などの具体的な状況から判断して、できるだけ速く警察などに通報するべきです。

これから忘年会シーズンに突入します。

わざわざ自宅周辺を巡回する必要はありませんが、もし、見つけたら、なるべく早く警察等に通報するようにしましょう。

それが、その人のためでもあり、自分のためでもあるのです。

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