年末です。ぼったくりにご注意を! | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。
メニュー
みらい総合法律事務所
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。

年末です。ぼったくりにご注意を!

2014年12月07日

今年も早いもので、もう12月。
巷では、忘年会シーズン真っ盛りでしょう。

ところで、お酒にまつわる失敗談や武勇伝は、誰でも1つや2つは持っているかもしれませんが、こんなのはイヤだ…という事件が頻発しています。
夜の歓楽街は危険がいっぱい!注意が必要です。

「キャバクラ10分で21万円 ぼったくり条例違反容疑」(2014年12月4日 朝日新聞デジタル)

東京の新宿・歌舞伎町のキャバクラ店で、客の大学生3人に約21万5千円を支払わせたとして、新宿署は従業員の男3人を都ぼったくり防止条例違反の疑いで逮捕しました。

事件が起きたのは10月15日、男子大学生3人がキャバクラ店に入店。
すると、接客についたキャバクラ嬢3人が次々に飲み物を注文。

10分ほどいて、不審に思った大学生たちが店を出ようとすると、容疑者らは「1杯6千円のワインを18杯飲んだ」として約21万5千円を請求。

支払いを拒んだところ、同日午後11時55分から翌午前6時半ごろまで、「払うまで帰れねえからな」「バカにしてんじゃねぇよ」などと威圧し、支払わせたようです。

調べに対し容疑者らは、「覚えていない」などと容疑を否認。
このキャバクラ店は、今年夏頃から同様の110番通報が50件以上あったということです。

1杯が6千円とは、一体どんな銘柄のビンテージワインだったのでしょうか?

ちなみに2013年、ワイン生産400年の歴史の中でも極上のビンテージワインとの誉れ高い2009年のシャトー・マルゴーが史上最高となる1本19万5千ドル(当時のレートで約1900万円)で売り出された
というニュースがありました。
ワイングラス1杯換算で、約24万円だったそうです!

いえいえ、そんなワインマニアの世界の話ではないですね。
大学生たちは、「飲み放題1人1時間2500円」と言われて入店したようなので、これは完全な「ぼったくり」ですから犯罪です。

さて、今回適用された、その名も「ぼったくり防止条例」は、各地方自治体が定める条例で、都道府県公安委員会が指定する地域で営業されている飲食店や性風俗営業における「料金等の表示義務」「不当な勧誘等の禁止」「不当な取立ての禁止」について規定したものです。

2000年に東京都が初めて制定し、その後、北海道、宮城県、新潟県、大阪府、広島県、福岡県などで施行されています。

東京都の条例の正式名称は、「性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等及び性関連禁止営業への場所の提供の規制に関する条例」といいます。
47文字もあるので、長すぎて1回では覚えられないですが、今回問題になったのは以下の部分です。

〇料金や違約金などは、店内で客に見やすいように表示しなければならない。(第3条1項の一)
〇不当に勧誘してはいけない。(第4条1項)
〇実際の料金よりも著しく安い金額を告げたり表示したりしてはいけない。(第4条1項の一)
〇客に対して乱暴な言動で料金や違約金を取り立ててはいけない。(第4条2項)

違反した場合は、6ヵ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。

別の報道によると、今年の夏以降、歌舞伎町ではぼったくり被害が急増していて、実際、高額請求の相談だけでも400件を超え、新宿署は12月4日までに延べ19人を逮捕しているようです。
年末の宴会シーズンに向け被害が拡大する恐れがあるとして、同署はパトロールを強化していくということです。

お酒の席では、もてなす方も、もてなされる方も、お互い気持ちよく楽しくいきたいものですが、よからぬことを企てる者は後を絶ちません。

もちろん、ぼったくりは犯罪ですが、お酒に関しては、まずは「自衛」、「自制」することも大切ですね。

お酒を悪用した者は、人を欺き、法の裁きを受けます。
酒に溺れた者は、自分を欺き、結局最後に自分を裁くのは自分かも知れません。

後悔のないように、節度を守って、お酒を楽しみたいものです。

「私は人生を忘れるために酒を飲んだことは一度もありません。
逆に人生を加速させるためなのです。
ただ加速しすぎると、カーブを曲がりそこねます」
(フランソワーズ・サガン/フランスの小説家、脚本家)