亀岡暴走事故で警察官と教頭が書類送検か | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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亀岡暴走事故で警察官と教頭が書類送検か

2012年06月24日


京都府亀岡市で児童ら10人が軽乗用車にはねられ死傷した事故で、被害者の個人情報を加害者の無職少年(18)側に漏らしたとして、亀岡署交通課係長の男性警部補(51)と同小の男性教頭(51)を地方公務員法違反容疑で書類送検する方針を固めたそうです。

ニュースによると、警部補は事故翌日の4月24日午前0時ごろ、「被害者に謝罪したい」と同署を訪れた少年の父(47)に対し、男性巡査長(53)に作成させた被害者10人の氏名や住所などが書かれたリストを提供し、教頭も同日午後、少年の伯父(51)に、死亡した被害者(26)の携帯電話番号を教えた疑いが持たれています。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/569292/

警察官も教頭も地方公務員法で規律されています。

地方公務員法34条は、次のように定めています。

「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。」

被害者の氏名・住所・携帯電話番号などは、職務上知り得た情報です。しかも、被害者側としたら、加害者側には知られたくない秘密に該当します。

決してしてはならないことです。

実務上、警察官が加害者側に被害者の連絡先を教える場合があります。

しかし、それは、加害者が謝罪や示談を望むことから警察官に被害者の連絡先を教えてくれるよう申し入れ、警察官はそれを被害者に伝えて、「加害者に連絡先を教えてよいかどうか承諾を得て」はじめて加害者側に教えます。

被害者のご遺族などは、加害者の顔も見たくないし、声も聞きたくないかもしれません。思い出したくもないかもしれません。

まして、場合によって、加害者側から被害者側に対して示談の圧力がかけられたとしたら?

今回のようなことが起こると、被害者が事故で被害を受け、さらに情報漏洩で二重の被害を被った、とさえ言えます。

気をつけていただきたいところです。