自分の会社に出勤するのは建造物侵入か? | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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自分の会社に出勤するのは建造物侵入か?

2012年06月25日

静岡県で、教師が自分の勤務先中学校の教室に入っていったところ、建造物侵入罪の疑いで逮捕されたそうです。

え?

自分の勤務先に入って逮捕!?

不思議ですね。

勤務先の会社に入っていって逮捕されるなら、皆さん毎朝逮捕です。

今回の事件、実は、この教師、中学校の女子生徒の着替えを「盗撮する目的で」侵入したということなのです。

建造物侵入罪は、「正当な理由がないのに」建造物に侵入した場合に成立します。

普段、教師の仕事をするために教室に侵入した場合は、「正当な理由」があることになります。

しかし、「盗撮目的」で教室に侵入した場合は、「正当な理由」がない、ということになるのです。

今回は、教室のロッカーの中に、ビデオカメラが設置されていたことから、「盗撮目的」が認定され、「正当な理由」がない、と判断されたものでしょう。

そういうことなので、過去の事例としては、別居中の夫が妻の不貞の現場の写真を撮りに妻の住む自分が所有する家に侵入した場合に住居侵入となった例があります(東京高裁昭和58年1月20日判決)。

ビックリですね。別居中の方は、ご注意ください。

また、家出中の息子が親の家に強盗目的で侵入した場合にも、住居侵入罪が成立します(最高裁昭和23年11月25日判決)。

怖い息子さんです。(>_<) いくら家族であっても、一緒に住んでいない場合には、勝手に住居に立ち入らない方が無難ということですね。 これから帰省シーズンです。 帰省する時は、驚かせるのはやめて、一言「帰るよ」と言っておきましょう。 ビックリして警察を呼ばれたら、大変なことになりかねません。(>_<)
なお、先ほどのニュースソースは、これです。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120724/crm12072416250029-n1.htm