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弁護士法律解説 リーガルアイ

 

子供への体罰と法律


2017年1月16日

弁護士として、学校事故による子供のケガなどについての相談を受ける中で、親御さんから教師の体罰に関する悩みを聞くことがあります。

昨年末の報道によると、体罰は減少傾向にあるものの依然としてなくなってはおらず、高水準で推移しているようです。

「体罰で処分の公立教員721人 前年比減も高水準、文科省」(2016年12月22日 共同通信)

文部科学省の人事行政状況調査によると、2015年度に体罰を理由に懲戒や訓告などの処分を受けた公立学校の教員は721人で、前年度より231人減ったことがわかりました。

また、私立は166人(4人減)、国立は3人(1人減)で、国公私立校の合計は890人(236人減)だったということです。

体罰による教員の処分は、2011年度までは公立学校では300~400人程度で推移していました。
ところが、2013年1月に発覚した大阪市立桜宮高校の体罰問題を受け、2013年度は国公私立校で合わせて4000人超に急増。
2014年度は減少したものの、依然高い水準だとしています。

なお、体罰以外も含む行為で処分された公立校の教員総数は6320人で、今回が初調査だった「いじめへの不適切な対処」については8人だったということです。
法的には、学校の教員には「懲戒権」が認められています。

「学校教育法」
第11条
校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。
懲戒権というと何か強力な権利のようにも感じますが、ここでいう懲戒権とは、たとえば授業中にふざけている生徒を叱る、廊下に立っているように罰を与えるというような程度のものです。

条文にもあるように、当然、体罰については認められていないことに注意が必要です。

しかし、人間は感情の生き物ですから、中には指導に力が入りすぎたり、ついカッと頭に血が上って生徒に体罰という暴力をふるってしまう教師がいることも事実です。

親御さんとしても、今後の学校との関係や子供の立場なども考えて、できるだけ事を荒げずに穏便に済ませたいと考える場合も多いでしょう。

ところが、体罰がエスカレートしていったり、子供がケガを負ったという事態にでもなれば、親として黙っているわけにはいきません。

そうした場合、親はどのように対処すればいいのでしょうか?

まず、刑事事件として警察に告訴することで、体罰をした教師は刑法上の罪に問われる可能性があります。

暴力を振るえば、「暴行罪」、暴力を振るった結果、怪我をすれば、「傷害罪」ということになります。

また教師は、非違行為があったとして学校から減給や停職、場合によっては免職などの懲戒処分を受けることになるでしょう。

さらに、民事での損害賠償請求をすることもできます。

この場合、国公立校であれば、親が請求する相手は教師個人や学校ではなく、都道府県や市町村という公共団体、場合によっては国になります。

「国家賠償法」
第1条
1.国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
一方、私立校の場合は、その教師の使用者である学校に対して損害賠償請求をすることになります。

「民法」
第715条(使用者等の責任)
1.ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
よって、教職員の故意または過失によって生じた事故では、その使用者として学校(保育所)が損害賠償義務を負うことになるのです。
親としては、学校との関係が今後も続いていくことを考えれば裁判にまで至る前に、まずは学校としっかり話し合いをするべきでしょう。

それでも状況が改善されないようであれば、教育委員会に対して教師の懲戒処分を求めることも検討する必要がありますが、そのうえで訴訟も辞さないというのであれば、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

ご相談はこちらから⇒ http://www.bengoshi-sos.com/school/

質屋で嘘を書くと犯罪!?


2017年1月6日

あけましておめでとうございます。

みなさんは、無事に新たな年を迎えられたことと思いますが、中には年を越すお金がない…ということで昨年末には大変な思いをした人もいるかもしれません。

そんな時、以前であれば質屋にお金を借りに行ったという経験をした人もいるでしょう。
しかし、近年では質屋の数が右肩下がりに減少している、という記事をネットで見かけました。

「消えゆく質屋、4割が商売自体を“知らない”」(2016年12月21日 ダイヤモンド・オンライン)

鎌倉時代から続くともいわれる質屋業は、1958(昭和33)年の2万1539店がピークで、その後は減少し続け、2015(平成27)年には3034店と85%以上も減少しているそうです。

主な原因は、消費者金融(サラ金)やカードローンなど金融サービスの多様化、ブランド品や宝石などの買い取り店・リサイクルショップの増加、そして中国経済の衰退などが指摘されています。

質屋の商売の形態は、物を担保(質)にして金を貸し、期限までに借主が返済できなければ貸した金の代わりにその物の所有権を得て、「質流れ」として現金に換えるというものです。

利用者としては、売却してしまえば2度とその品物は自分の元には返ってきませんが、大切な物であれば質入れ後に元金と質料を支払えば返ってくるわけです。

しかし、近年では質屋を知らないという若者も増加しており、大阪で行われたアンケートでは44%が質屋でお金を借りることができるのを知らないという結果が出たようです。

 

「質屋営業法」は、質屋の営業者を規制する法律ですが、「軽犯罪法」に、質屋の利用者に関する罪が定められておりますので、解説したいと思います。

「軽犯罪法」
第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

十七 質入又は古物の売買若しくは交換に関する帳簿に、法令により記載すべき氏名、住居、職業その他の事項につき虚偽の申立をして不実の記載をさせた者
これは、「氏名等不実申告の罪」とも呼ばれるもので、ポイントは次の2点です。

① 虚偽の申し立てをする
② 不実の記載をさせる

あなたが質屋でお金を借りるために、自分が持っていたブランド品のバッグや時計などを質に入れたとします。
その際、質屋は「質屋営業法」で定められた質物台帳や質取引人名簿などの帳簿に必要事項を記載しなければいけません。

「質屋営業法」
第14条(帳簿)
質屋は、内閣府令で定める様式により、帳簿を備え、質契約並びに質物返還及び流質物処分をしたときは、その都度、その帳簿に左に掲げる事項を記載しなければならない。

一 質契約の年月日
二 質物の品目及び数量
三 質物の特徴
四 質置主の住所、氏名、職業、年令及び特徴
五 前条の規定により行つた確認の方法
六 質物返還又は流質物処分の年月日
七 流質物の品目及び数量
八 流質物処分の相手方の住所及び氏名
たとえば、あなたが氏名、住所、職業などを偽って質入れしたりすれば軽犯罪法違反になります。

質屋で氏名、住所、職業などをそのまま書くのは恥ずかしいかもしれません。しかし、嘘を書くと犯罪になることを憶えておきましょう。

 

とろこで、不倫カップルが不倫旅行をして、旅館に宿泊する際、配偶者にバレないようにと、虚偽の氏名や住所を記載すると、犯罪になるのをご存じでしょうか?

「旅館業法」という法律があります。

第6条  営業者は、宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業その他の事項を記載し、当該職員の要求があつたときは、これを提出しなければならない。
2  宿泊者は、営業者から請求があつたときは、前項に規定する事項を告げなければならない。

第12条  第六条第二項の規定に違反して同条第一項の事項を偽つて告げた者は、これを拘留又は科料に処する。

かといって、本当の名前を書いて、配偶者にバレた場合は離婚原因となり、不倫の相手は損害賠償の対象となります。

嘘をつくも地獄、本当のことを言うも地獄です。

心当たりのある方、くれぐれもご注意ください。

合掌。

市長と副市長の賭けマージャンは犯罪になるか?


2016年12月28日

今回は、現役の市長と副市長が市役所の開庁中に賭け事をしていたという報道について法律解説します。

この行為、犯罪になる可能性はあるのでしょうか?

「飯塚市長、賭けマージャン 平日昼に、副市長と」(2016年12月22日 西日本新聞)

福岡県飯塚市の市長と副市長が、平日昼に市庁舎を離れ、賭けマージャンを繰り返していたことがわかったようです。

新聞社の取材に対し、市長は、「市長になってから行っていた。何回かはわからない。開庁中に(役所を)抜け出してマージャンをしていたのには道義的責任がある」と回答。

また、副市長は、平日午後の公務が入っていない時、秘書に「昼から休む」と告げてマージャンを楽しんでおり、「決裁が滞ることはなく、公務に支障はなかったが、道義的責任は残る」と話しているということです。

報道によると経緯は次の通りです。

・市長は地元食品メーカーの社長から2006年に初当選(現在、3期目)。副市長は市財務部長を経て2010年から現職

・市長は就任以降の約10年間、副市長は数年前から市内にある元店舗に訪れており、店は2人が来る時だけ開いていた。

・メンバーには、2017年4月に市施設の指定管理者となる事業者の社長も含まれていた。市長と副市長とは以前からの知り合いで、「指定の口利きをお願いしたことは一切ない」と話している。

・今年に入り、副市長が面識のない人物から自身が店に出入りする画像を提示され、「善後策を福岡市内のホテルで考えましょう」と迫られたため、飯塚署に相談していた。金銭的な要求などはなかったという。

・市長は、会見で記者から賭けマージャンの違法性を指摘されたところ、「金を賭けずにマージャンをする人が世の中に何%いるのか。(賭けることを認めないと)マージャン人口が減るのでは」、「違法である可能性があることはわかっているが範囲があり、今回は許される範囲内だと思う」と強弁。
また、副市長は、「ゲーム感覚だった。ゴルフでチョコレートを賭けるようなもの」、「平日の開庁時間に賭けマージャンをしたことは道義的に責任がある。ただ、楽しみは何かないと。違法というのは違うと思う」と述べ、2人とも賭けを正当化するかのような発言もあった。

・賭けのレートは、「大きく動いても1日に1万~1万2000円程度。社会通念上許される範囲だと思っている」、「メンバーである知人には便宜供与を図ったことは一切ない」、「急に辞めるのは無責任だ。自分の任期はぴしっと(やる)」と市長が発言。

・ところが、12月26日の定例記者会見では一転。2人とも発言を撤回し、謝罪。市政治倫理審査会を年明けに設け、辞職を勧告された場合は従うと発言した。
今回の賭けマージャンが賭博罪に該当するか、どうか、検討してみましょう。

「刑法」
第185条(賭博)
賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
ポイントとなるのは、「一時の娯楽に供する物」です。

判例や通説では、一時の娯楽に供する物とは、食事、飲み物、お菓子、タバコなど、その場で消費してしまうような物のことをいいます。

厳密にいえば、法律では1円でも賭けをすれば違法です。
「金銭そのものは、一時の娯楽に供する物とはいえない」とする判例もあります。(最判昭和23年10月7日刑集2巻11号1289頁)

したがって、判例の立場からすると、今回の賭けマージャンは、賭博罪が成立する、ということになるでしょう。

ただ、一般的には少額の金銭を賭けている分には、警察が動くことは少ないでしょう。

そうであるからといって、賭けマージャンが許されるわけではありません。

この犯罪が守ろうとしているのは、国民一般の健全な勤労観念や国民経済等の公益ですから、それらを損なわないような明確な金額など、一定の線引きも必要ではないか、と思います。

テレビ朝日「スーパーJチャンネル」出演


2016年12月25日

12月22日放送のテレビ朝日「スーパーJチャンネル」から取材を受け、写真と電話出演しました。

電話出演というのは、テレビ局から電話がかかってきて、「この問題について、どうお考えですか?」と質問されたことに回答し、それが録音されて、テレビ放送で利用されるものです。

明解にわかりやすく回答する、というのがポイントとなります。

馬(ポニー)が渋谷の道路を走った件。犯罪?


2016年12月16日

今回は、馬が渋谷の街を爆走!? という「事件」について法律解説します。

映画やTVドラマのロケではないようです。
一体、何が起きたのでしょうか?

「“道路をポニーが走っている” 渋谷でミニチュアホース脱走…捕獲、けが人なし」(2016年12月16日 産経ニュース)

事件が起きたのは、12月15日午後7時頃。

東京都渋谷区のJR恵比寿駅近くで、複数の通行人から「ポニーが道路を走っている」との110番通報があり、渋谷署の警察官が捜索したところ、約15分後に駅から1キロ離れた国学院大学渋谷キャンパス内で発見され、捕獲されたということです。

報道によると、街を疾走したポニーは3歳で、体高約1.2メートルのオスのミニチュアホース。
渋谷区内のペットショップのおりから逃げ出したようで、連絡を受けた店員が連れて帰ったということです。

発見時、ミニチュアホースはおとなしく草を食べており、ケガ人はいなかったということです。

彼も自由になりたかったのでしょうか? 気持ちはわかります。
何はともあれ、ケガ人も逮捕者もいなかったのでよかったですね。

今回は以上です。
というわけにはいきませんね、法律解説します!

じつは、動物の逃走に関する法律もちゃんとあります。

まずは、条文を見てみましょう。

「軽犯罪法」
第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

三十 人畜に対して犬その他の動物をけしかけ、又は馬若しくは牛を驚かせて逃げ走らせた者

※拘留=受刑者を1日以上30日未満で刑事施設に収容する刑罰
科料=1000円以上、1万円未満の金銭を強制的に徴収する刑罰

軽犯罪法は、軽微な33の秩序違反行為について規定しているもので、もともとは1908(明治41)年に施行された「警察犯処罰令」が前身の法律です。

警察犯処罰令は、1948(昭和23)年に軽犯罪法が施行されたのに伴って廃止されています。

さて、条文にあるように、この罪でポイントとなるのは次の3点です。

①犬やその他の動物とは?
②けしかけるとは?
③馬や牛を驚かせるとは?

まず、どんな動物が該当するのかというと、前段に犬その他の動物とあるように特に種類は限定されません。

「けしかける」とは、相手をおだてたり、そそのかしたりして自分の思う通りのことをさせる、あるいは相手を攻撃させるという意味です。

つまり、どんな動物でも、けしかけることで人や家畜に危害を及ぼすのであれば、けしかけた人が罪に問われるわけです。

たとえば、自分が飼っている犬をけしかけて人や他の飼い犬などを襲わせた場合などが該当します。

ところで、条文の後段に「馬若しくは牛を驚かせて逃げ走らせた者」とあります。

馬や牛は、通常は人間に危害を加えるような動物ではありませんが、特に馬などは敏感で臆病なため、棒などで突く、大声をあげる、物を投げて当てるなどして驚かせれば、当然、逃げて走り出し危険な状態になってしまうでしょう。

今回の事件は、この後段に該当する可能性があったわけですが、ケガ人はいなく、警察官に見つかった時はおとなしく草を食べていたということで、ペットショップで驚かされたり、虐待されたという事実もないようなので、お咎めなしということになったのだと思います。

仮に、ミニチュアホースが暴れて人にケガをさせた場合、飼い主は「過失傷害罪」(刑法第209条)、死亡させてしまえば「過失致死罪」(刑法第210条)に問われる可能性があります。
ペットショップのように業務上の過失であれば、「業務上過失致死傷罪」(刑法第211条)に問われる可能性もあります。
馬に罪はないでしょうし、今回は大事に至らなくてよかったですが、いずれにしても、飼い犬のリードは離さない、飼い馬の手綱はしっかり握っておくことが大切です。

世の奥様方であれば、旦那の手綱はキュッと締めて、財布のひももしっかり締めておけば完璧でしょう。

フジテレビ「めざましテレビ」出演


2016年12月16日

2016年12月13日放送のフジテレビ「めざましテレビ」から取材を受け、電話と写真出演しました。

交通事故の専門家として、コメントを求められたものです。

ストーカー規制法が改正!SNSへの書き込みも規制対象に!


2016年12月9日

以前から問題点も指摘されていた「ストーカー規制法」の改正案が成立したようなので解説します。

「ストーカー規制、SNSも対象 罰則強化の改正法が成立」(2016年12月6日 朝日新聞デジタル)

ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やブログなどへのメッセージ送信もからんだ深刻な被害が後を絶たないことを受け、新たにSNS上での執拗な連続書き込みなどによる「つきまとい行為」を禁止する「改正ストーカー規制法」が衆院本会議で全会一致で可決されました。

SNSなどインターネット上の新たなコミュニケーションツールの発達、広がりにともなって被害の態様が多様化していることが改正の背景にあります。

「ストーカー規制法」は2000年の成立以降、今回が2度目の改正になりますが、今回は罰則の強化や禁止命令の手続きの迅速化なども盛り込まれたようです。
そもそも、ストーカー規制法は1999(平成11)年に起きた「桶川ストーカー殺人事件」をきっかけに、2000(平成12)年11月に制定された法律です。
その後、2012(平成24)年に発生した「逗子ストーカー殺人事件」を受けて、2013(平成25)年6月に1回目の改正法が成立しています。
今回の改正は、今年(2016年)5月に東京都小金井市で起きた、音楽活動をしていた女子大生に対しファンを自称する男がツイッターなどのSNS上でストーカー行為を繰り返したあげく、ナイフで20カ所以上を刺して重体に陥らせた事件がきっかけのひとつでした。

被害者の女性は、男がSNSへ執拗な書き込みを続けていることについて警視庁に相談していたにもかかわらず事件を防げなかったことに対して社会的な批判が相次いだのは記憶に新しいところです。

では、主な改正内容について具体的に見ていきましょう。

「規制行為の改正点」
今回、新たに次の「つきまとい行為」が規制対象に追加されています。

・拒まれたにもかかわらず、連続してSNSやブログにメッセージを送ったり、書き込んだりし続ける行為(第2条)

・住居付近をみだりにうろつく行為(第2条)

これまでの現行法では、「つきまとい行為」として次の8つの行為が規定されていました。

①待ち伏せ、尾行、および自宅や勤務先を見張り、押し掛けること。
②行動を監視していると告げる行為。
③面会や交際、その他義務のないことを行うことの要求。
④著しく粗野、乱暴な言動。
⑤無言電話、連続した電話・FAX・メール。
⑥汚物・動物の死体等の送付。
⑦名誉を害する事項の告知。
⑧性的羞恥心を侵害する事項の告知、わいせつな写真・文章などの送付、公表。

電話とFAXの他に、2013(平成25)年の改正法からメールが新たに規制行為に追加されていましたが、SNS上の書き込みについてはその内容に違法性がなければ取り締まれなかったため、ストーカー規制法の不備が指摘されていたわけです。

また、今までは「住居等に押し掛けること」のみを規制していましたが、改正案では「住居等の付近をみだりにうろつくこと」も新たに規制されることになります。
「罰則の改正点」
・ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処す。(第18条)

・都道府県公安委員会の禁止命令に従わない場合は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処す。(第19条)

・親告罪規定を撤廃(第13条から削除)

現行の罰則の上限は、6ヵ月以下の懲役又は50万円以下の罰金となっていますが、これでは刑法の強要罪(3年以下の懲役)や脅迫罪(2年以下の懲役又は30万円以下の罰金)と比較して刑が軽いという指摘もあったことから、改正法では2倍重くなっています。

また、警察はストーカー行為者に対して警告をすることができるのですが、この警告に従わない場合、都道府県公安委員会は禁止命令を出すことができます。

これにも従わない場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金だったので、こちらも2倍に刑が重くなっています。

さらに、本法は被害者からの告訴が必要な「親告罪」だったのですが、今後は告訴なしに加害者を起訴できるようになります。
「禁止命令の手続きの改正点」
前述のように、これまではまず警察が警告を出し、それでもストーカー行為者が従わない場合に公安委員会の禁止命令が出されるという段取りでしたが、今後は緊急の場合は警告なしに禁止命令を出すことができるようになります。(第5条)

また、禁止命令は警察本部長や署長に委任して行わせることも可能になったことで迅速な対応ができるようになります。
「情報提供の禁止について新設」
何人(なんぴと)もストーカー行為をする、または繰り返す恐れのある者に対して、被害者の名前、住所などの情報を提供することを禁止する条項が新設されます。(第7条)

ということで、SNSやブログのメッセージや書き込みで、恋愛感情などをもとに、本人から拒まれているにもかかわらず連続して送信している人は、今後、刑事責任を問われる可能性があります。

そして、警察としては、この改正を周知するため、早期に第一号の適用を目指すと思われます。

くれぐれも違反にならないよう、相手に拒まれたら、いさぎよく諦めましょう。

「公然わいせつ罪」と「身体露出の罪」の違いとは?


2016年12月3日

「裸」というと、みなさんはどういうものをイメージするでしょうか?

ヨーロッパのヌーディストビーチでは、みなが上半身裸のトップレスで自由と開放感を楽しむそうです。

もうかなり昔、1970年代初頭の頃の話になりますが、「ストリーキング」というものが流行したことがありました。
イギリスやアメリカなどで、多くの観客が集まるサッカーや野球のスタジアムなどの公共の場に全裸で乱入し、走り抜けるというパフォーマンスをするもので、当時は日本でも行われたようです。

また欧米では、全裸で抗議活動や芸術活動を行うこともあります。

さらには、露出狂と呼ばれる下半身などを人前に晒して興奮する性癖を持った人もいるようで、しばしば逮捕されるというニュースを見ることもあります。

そこで今回は、裸に関する犯罪について「身体露出の罪」を中心に解説します。

該当する法律は軽犯罪法です。

「軽犯罪法」
第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

二十 公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者
ポイントは次の3点です。
①公衆の目に触れるような場所
②公衆に嫌悪の情を催させるような仕方
③身体の一部を露出

まず、場所についてですが、条文に「公衆の目に触れるような場所」とあります。

「ような場所」ですから、必ずしも公衆の目に触れる公共の場所に限りません。
公衆=多数の人の目に触れるような場所であれば、たとえば野外ではなく、道路に面した自宅の室内で多くの通行人から見えるような場合でも該当します。

次に、仕方ですが、公衆に嫌悪感を催させるような、とあります。
人が何に嫌悪や不快を感じるかは一概に規定できるものではありませんが、ここでは刑法の「公然わいせつ罪」と比較してみます。

「刑法」
第174条(公然わいせつ)
公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
「公然」とは、不特定多数、または多数の人が認識できる状態のことで、行為者がその行為を認識している状態、つまり故意にやっていることが要件として必要です。

また、「わいせつ」の解釈も個人や文化によって違い、時代によっても変化していくものですが、法的には、「性欲を刺激し、興奮または満足させる行為」、「普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」とされています。

つまり、人に嫌悪や不快を感じさせる行為は軽犯罪法違反で、それよりもさらに度を越して性的羞恥心を害するような行為は公然わいせつ罪になる可能性があるということです。

最後に、身体の露出についてですが、軽犯罪法では、「尻」、「もも」、「その他の身体の一部」とあります。

「性器」の露出は前述のように度を越して性的羞恥心を害する行為となり、「公然わいせつ罪」となります。

そこまで至らない露出で、人に嫌悪の情を催させる露出ということになります。

条文には、「もも」とありますが、どうでしょうか?

今、短いパンツやスカートでももを堂々と出して歩いている人は多数います。

しかし、それで軽犯罪法が適用された例を知りません。

軽犯罪法は、昭和23年にできた法律で、当時は「もも」を出すのは嫌悪されたのが、時代が変わり、嫌悪の対象ではなくなってきた、ということですね。

数年前に人気アイドルグループのメンバーが公然わいせつ罪で現行犯逮捕された事件がありました。

酒に酔って、公園で全裸になり、大声をあげて大騒ぎををしていたということでした。
そのため、公然わいせつ罪が適用されたと考えられます。

もし彼が、パンツだけでも履いていれば、軽犯罪法違反か、もしくは東京都の迷惑防止条例違反での逮捕になっていたと思います。

これから忘年会シーズンです。

お酒を飲み過ぎて、身体の一部又は全部を出したり、飲食した物を出したりしないようにしましょう。

出していいのは、宴会の会費やカンパ、隠し芸くらいだと肝に銘じておきましょう。

死体を放置して軽犯罪!?


2016年11月25日

今回は、「要扶助者・死体等不申告の罪」といわれる犯罪について解説します。

あまり馴染みのない罪かもしれません。
しかも死体とは、何やら不穏なものを感じますが、これは「軽犯罪法」に規定されているものです。

「軽犯罪法」
第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

十八 自己の占有する場所内に、老幼、不具若しくは傷病のため扶助を必要とする者又は人の死体若しくは死胎のあることを知りながら、速やかにこれを公務員に申し出なかつた者
ポイントは次の3点です。

①自己の占有する場所内
②扶助を必要とする者、死体、死胎
③速やかに公務員に申し出る

以前、タクシー運転手が泥酔して寝込んだお客を路上に放置して死なせたために保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕された事件について解説しました。

詳しい解説はこちら⇒
「タクシー運転手が客を置き去りにして逮捕?」
http://taniharamakoto.com/archives/2468

「刑法」の第217条から第219条には「遺棄」に関する罪が規定されていますが、今回の「要扶助者・死体等不申告の罪」とは何が違うのでしょうか?

まず「遺棄」とは、保護を必要とする者を保護のない状態にさらす犯罪ですが、刑法では遺棄する場所については特に規定はありません。
つまり、公道でも公園でも山林でも遺棄になるわけです。

一方、軽犯罪法第18号の「要扶助者・死体等不申告の罪」では、「自己の占有する場所内」と規定されています。
たとえば、縁起でもないですが、自宅の庭に老人が迷い込んで倒れて立ち上がれないような場合には、すぐに警察などに通報しなかったときは、この罪に問われる可能性があるということです。

次に、「扶助を必要とする者」ですが、「老幼」については絶対的な年齢の基準があるわけではなく、事件ごとに相対的判断されます。

また、どのような状態の人が、扶助が必要と判断されるかについては、病気やケガの人以外にも次のような状態の場合、要扶助と認められた判例があります。

・泥酔者
・極度に疲労している者
・知的障碍者
・麻薬等の薬物により正常な意識を失っている者
・飢餓者
・麻酔状態にある者
・催眠術にかかっている者
・産褥期(産後1、2ヵ月)の女子

ちなみに、要扶助者に保護者がついている場合は、警察などに通報しなくてもこの罪は該当しません。

ところが、たとえばあなたが自分の所有する土地に倒れている人を発見し、介抱したり保護したりすれば、法律上あなたは保護義務を負うことになります。
そして、途中から介護、介助を止めてしまって放置した場合は、刑法
第218条の保護責任者遺棄罪や、第219条の遺棄致死傷罪に問われる可能性があります。

保護責任者というと親や子などの親族をイメージするかもしれませんが、それには限りません。
なお、保護責任者遺棄罪の法定刑は3ヵ月以上5年以下の懲役です。当然、軽犯罪法違反と比較すれば重い刑に処されるわけですから、注意が必要です。

ところで、条文に「速やかに」とありますが、どのくらいの時間経過のことをいうのでしょうか?

速やかにとは、時間をおかずにできるだけ速くという意味です。
具体的な時間の定義があるわけではありませんが、扶助者の存在を知ったなら、その状態や発見時刻などの具体的な状況から判断して、できるだけ速く警察などに通報するべきです。

これから忘年会シーズンに突入します。

わざわざ自宅周辺を巡回する必要はありませんが、もし、見つけたら、なるべく早く警察等に通報するようにしましょう。

それが、その人のためでもあり、自分のためでもあるのです。

道路上での犯罪行為解説


2016年11月18日

今回は、道路に大量の「ねじ」がばらまかれていたという事件について解説します。

じつはこの行為、犯罪になる可能性があります。

「路上にねじ数百本、ばらまかれる…長さ5センチ」(2016年11月17日 読売新聞)

三重県津市の県道で、長さ約5センチの金属製のねじ数百本が散乱しているのが見つかったようです。

11月15日午前5時半頃と16日午前6時頃の2回、津市の路上約4キロにかけてばらまかれていたようで、1台の車のタイヤに刺さったものの、ケガ人はいなかったということです。

津市によると、12日夜と16日朝も近くの市道でねじが見つかっていることから、何者かがばらまいたとみて防犯カメラの解析などを含め、道路交通法違反(禁止行為)の疑いで調査をしているということです。
普段、何気なく使いっている道路ですが、路上で何をやってもいいというわけではありません。
法律では道路での禁止行為が定められています。

「道路交通法違反」
第76条(禁止行為)
1.何人も、信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに設置してはならない。

2.何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。
3.何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。

4.何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。

一 道路において、酒に酔つて交通の妨害となるような程度にふらつくこと。

※ よく漫画であるように、オヤジさんが寿司のお土産を持って、道路をあっちにフラフラ、こっちにフラフラして歩いていると、道路交通法違反になる可能性がある、ということです。

二 道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまつていること。

※ たまに、酔って路上で寝ていて、車にひかれてしまう人がいますが、実は被害者の方も、道路交通法違反になる可能性がある、ということです。
※ 道路で車の前に立ちはだかり、「行くなら俺をひいてから行け!」と格好いいことを言っていると、逮捕される可能性がある、ということです。

三 交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。

四 石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること。

五 前号に掲げるもののほか、道路において進行中の車両等から物件を投げること。

※ タバコのポイ捨て、空き缶のポイ捨てはいけません。

六 道路において進行中の自動車、トロリーバス又は路面電車に飛び乗り、若しくはこれらから飛び降り、又はこれらに外からつかまること。

※ 路面電車に飛び乗るのは、格好いいと思ってやってしまうと、道路交通法違反です。さすがに走っている自動車に飛び乗るのは難しいでしょう。

七 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為
今回のケースのように、ねじを道路上にばらまくような行為を含め、4項の各号に違反した場合、5万円以下の罰金に処されます。(第120条第1項第9号)

間もなく宴会シーズンがはじまります。

年末になると、道路のそこかしこで寝ている人を見かけますが、寝る場所を間違えると、道路交通法違反で警察行き、となるか、車にひかれてあの世行き、となりかねません。

くれぐれもご注意ください。

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