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  • 失火責任の場合の損害賠償責任は!?(隣人トラブル)

    2016年02月10日

    冬になると火災が増えるというイメージを持っている人もいるでしょう。

    東京などでは冬は乾燥するため燃えやすいとか、夏場に比べて冬は夜に屋外にいる人が少ないために放火しやすい環境であるため、など諸説ありますね。

    さて今回は、これも隣人トラブルといってもいいかもしれません。
    隣家からの失火で自宅が全焼した場合、法的にはどのように対応すればいいのか、という相談です。

    Q)親戚の家が全焼しました。原因は隣家からの失火だったそうです。叔父や叔母は生活必需品や財産、思い出の品まで全部が燃えてしまったと嘆いていました。私も、とてもショックを受けているのですが、こうした場合には火元の隣家の住人に対して損害賠償できるのでしょうか?

    A)隣家の失火、いわゆる「もらい火」による火災に関しては、相手側に損害賠償請求をすることは原則としてできません。それは、「失火責任法」に定められているからです。
    【失火責任法とは?】
    故意、または過失によって他人に損害を与えた場合、民法が規定する「不法行為」に基づく損害賠償責任を負うことになります。

    「民法」
    第709条(不法行為による損害賠償)
    故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
    つまり、相手の不法行為によって損害を被った場合、被害者側は加害者側に対して損害賠償請求をできるわけです。

    しかし、もらい火による火災の場合は、失火責任法が定められているため、原則として損害賠償できないのです。

    「失火責任法」
    民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス
    この法律は、1899(明治32)年3月に施行されたもので、正式名称を「失火ノ責任ニ関スル法律」といいます。
    この1項のみの、とても短いものなのですが、今から117年も前に規定さているため、現代語になっていません。

    現代語に訳すなら、以下のようになります。

    民法第709条の規定は、失火の場合には適用しない。ただし、失火をした者に重大な過失があったときは、この限りでない。

    これは、日本には木造家屋が多く、しかも密集した住宅街などでは延焼しやすいために、民法第709条をそのまま適用してしまうと、失火をした人に大きすぎる責任を科すことになることから、失火という軽過失の場合は損害賠償責任を負わないとしたものです。

    ただし、条文にもあるように重過失の場合はその限りではないことに注意が必要です。
    【失火の重過失が認められる場合とは?】
    では、どのような失火の場合に重過失となるのでしょうか。
    判例には次のような事例があります。

    ・寝タバコをした(東京地裁 平成2年10月29日判決)
    ・強風・乾燥注意報が出ているのに建築中の木造家屋の屋根にタバコを捨てた(名古屋地裁 昭和42年8月9日判決)
    ・石油ストーブの火を消さずに給油した(東京高裁 平成15年8月27日判決)
    ・つけっぱなしの電気コンロに毛布がかかった(札幌地裁 昭和53年8月22日判決)
    ・てんぷら油が入った鍋をコンロにかけたまま長時間その場を離れた(東京地裁 昭和57年3月29日判決)
    ・火災注意報が出ているのに庭でたき火をした(京都地裁 昭和58年1月28日判決)

    また、昭和32年7月9日の最高裁の判例では、重過失による失火について以下のような判決があります。

    「失火ノ責任ニ関スル法律」但書の規定する「重大ナル過失」とは、通常人に要求される程度の相当な注意をしないでも、わずかの注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見することができた場合であるのに、漫然これを見すごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態を指すものと解すべきである。

    これらのようなケースの場合、重過失が認められて損害賠償請求が認められる可能性があるということです。

    その他、失火と損害賠償責任の関係について以下にまとめます。
    ・借りているマンションやアパートで失火した場合
    失火責任法は、民法第709条の不法行為に基づく損害賠償責任が対象であるため、債務不履行に基づく損害賠償責任については適用されません。

    そのため、マンションやアパートなどの賃貸借契約に基づいて借りた部屋で失火をしてしまった場合は、借主は貸主に対して原状回復をして返さなければいけないため、たとえ軽過失であっても損害賠償責任を免れることはできません。
    ところで、消防庁がまとめた統計データ「平成26年(1月~12月)における火災の状況」によると、総出火件数は43,741件で、前年より4,354件減少していますが、総死者数は1,678人で、前年より53人増加したようです。

    また、出火原因の1位は放火、2位はタバコ、3位はコンロとなっています。

    放火に関する詳しい解説はこちら
    放火罪とは?【放火は殺人より罪が重い!という都市伝説の真相】

    放火罪の最高刑は死刑ですから、極めて重大な犯罪です。

    放火は論外ですが、「失火」を生じさせるようでは、火の扱いは「シッカ」ク(失格)です。

  • ご近所トラブルで往来妨害罪適用!?

    2015年11月25日

    大きなお金をかけて購入したマイホーム。
    ところが、迷惑な隣人がいてトラブルに巻き込まれでもしたら…安心して暮らせませんね。

    しかし、どこに、どんな問題隣人が住んでいるかわかりません。

    近年、急増する隣人トラブルについて、今回は家の前の道路を塞いだ大迷惑な隣人の罪について解説します。

    「自宅前に大量“植木鉢バリケード”私道を封鎖 77歳夫婦、通行妨害容疑で逮捕」(2015年11月24日 産経新聞)

    大阪府警西堺署は、近隣住民ら9人と共同所有する自宅前の私道に大量の植木鉢などを置いて近隣住民の通行を妨害したとして、堺市西区の夫婦(ともに77歳)を逮捕しました。
    容疑は、往来妨害罪です。

    2人は、2014年9月~11月、自宅前の幅2.4メートルの路地に多数の植木鉢やコンクリートブロックなどを並べて置き、20センチほどしか空スペースを作らず通行を妨害。

    現在も近隣住民が通行するのも困難な状況でありながら、私道であるために市などの行政が介入できないことから住民が同署に相談、嘆願書の提出をしていたようです。

    じつは、容疑者夫婦は自宅前に犬の糞が放置されていたことに激怒し、2005年にも同じ場所を金網フェンスで囲ったとして近隣住民とトラブルになっており、その際も往来妨害容疑で逮捕され有罪が確定したという過去があるとのこと。

    容疑者夫婦は、「自分の土地だ」、「所有権は自分たちにあり、封鎖は何の問題もない」などと主張しているということです。
    では早速、道路に関する法律を見ていきましょう。

    まず、公道についてですが、今回の事件では「道路法」と「道路交通法」が関係します。

    道路法は、道路の定義や整備手続き、管理、保全、費用、罰則など道路に関する事項について定めた法律です。

    「道路法」
    第43条(道路に関する禁止行為)
    何人も道路に関し、左に掲げる行為をしてはならない。
    1.みだりに道路を損傷し、又は汚損すること。
    2.みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある行為をすること。
    これに違反した場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。(第102条)

    道路交通法とは、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的としています。(第1条)

    「道路交通法」
    第76条(禁止行為)
    3.何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。
    これに違反した場合、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処されます。(第119条の12の4)

    しかし、今回は「私道」です。

    私道の場合を見てみましょう。

    以前、ごみ屋敷の撤去に関する記事でも解説しましたが、個人の財産権は憲法に規定され、保障されています。

    「日本国憲法」
    第29条
    1.財産権は、これを侵してはならない。
    詳しい解説はこちら⇒
    「全国で初めて“ごみ屋敷”を強制撤去の行政代執行!」
    http://taniharamakoto.com/archives/2120

    つまり、第三者にとっては明らかにゴミで迷惑なものでも、本人が「財産」と主張すれば、私有地である個人宅や敷地、私道から第三者が持ち出すと、「私有財産権の侵害」につながるおそれがあるわけです。

    今回の私道に置かれた植木鉢も同じですね。

    ただし、公衆の通行の用に供されている私道の場合、障害物を置いて道路を遮断したりすれば「刑法」の「往来を妨害する罪」が成立します。

    「刑法」
    第124条(往来妨害及び同致死傷)
    1.陸路、水路又は橋を損壊し、又は閉塞して往来の妨害を生じさせた者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
    2.前項の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
    つまり、他の人が通行のために利用する道路の場合は、公道であっても私道であっても、その通行を妨害するような、公衆の交通の安全を侵害する行為は犯罪になる可能性があるということです。

    さらに、今回の私道は、9人の共有だと言います。

    共有物の管理は、共有持分の過半数を持って決定しますので、いずれにしても1共有者が勝手に植木鉢を置いたりして使っていいわけではありません。

    さて今回の事件、別の報道によると、容疑者は包丁を持って通行人を追いかけたり、石を投げる、汚い罵声を浴びせるなどもしていたようです。

    まさに、「開いた口がふさがらない」ような非常識な行為のオンパレードですが、近隣住人にとっては口を開けさせずに、道を開けてほしいところでしょう。

    行政も、「私道」だからといって放置せずに、きちんと「指導」して欲しいものです。

    おあとがよろしいようで。

  • 困った隣人トラブル─ごみ屋敷問題はどう解決する?

    2015年08月02日

    近年、問題になっている隣人トラブルに、「ごみ屋敷」があります。

    今回は、夏の暑さがタダでも鬱陶しいこの季節に、隣人のごみで困っている方からのご相談です。

    Q)隣の住人の異常行動に困っています。いわゆる「ごみ屋敷」です。2年ほど前から始まり、年々ひどくなっています。初めは私が直接苦情を言ったのですが、逆ギレされて対話にもなりませんでした。その後は、敷地からゴミがはみ出し始めたので近所の人たちと相談して片付けたところ、「勝手に触るな!」とクレームをつけられました。市に苦情を申し立てても対応が鈍く、何度かしてようやく市の職員が訪問して注意をしてくれたりします。しかし、直後は少しよくなるのですが、すぐにごみが増えていきます。どうすればいいのでしょうか? 訴えることはできますか?

    A)ごみ屋敷を取り締まる法律は、残念ながら今のところないのが現状です。また財産権の関係から、勝手に撤去はできないなどの問題もあります。しかし近年では、各自治体が独自の条例を作り、対策に動き出している例も見られるようになってきました。
    家にごみをため込み、さらには家からあふれ出したごみが道路にまで広がっている…そんな報道を目にした人もいるでしょう。

    しかし、住人本人は「これは資源だ」と主張したり、「片付ける」とは言うものの、結局はそのままで隣人や地域の住民が困惑している、ということが全国各地であるようです。

    ごみ屋敷問題の難しさはさまざまありますが、まず法的に見ると直接的に適用できる法律がないという問題があります。

    現在は、「廃棄物処理法」などで対応しているようですが、個人宅のごみは対象外のため、行政の対応は後手に回っています。

    また、敷地内から周囲の公道にごみがあふれ出ている場合などは、「道路交通法」第76条の禁止行為のうち、3項「何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。」の適用も考えられますが、いずれにしても限定的です。

    さらに、「財産権」との関係が問題を難しくしています。

    「日本国憲法」第29条1項では、「財産権は、これを侵してはならない。」とあるように、個人の財産権が保障されています。
    そのため、明らかに“ごみ”と思えるものでも私有地である個人宅や敷地から第三者が持ち出せば、「私有財産権の侵害」につながるおそれがあるため、解決が困難な問題になっているのです。

    しかし、各自治体が独自に条例を制定して対策に乗り出している例が増えてきました。

    たとえば、東京都足立区では、2013年に「足立区生活環境の保全に関する条例」(通称・ごみ屋敷条例)を全国初で施行しています。

    条例では、1.調査・指導・勧告の実施、2.命令・公表・代執行の実施、などを定めており、「指導・勧告を行ったにもかかわらず、改善されない悪質なケースの場合、命令・公表をする」ことができ、「正当な理由なく命令に従わなかった場合には、代執行を行なうことができる」としています。

    足立区の特徴は、最大100万円まで撤去費用を区が負担するというものですが、これには税金が使われることから議論も出ているようです。

    このような条例は大阪市や京都市でも制定されています。
    先日も、次のような報道がありました。

    「自宅前の道まであふれるごみ…京都市が“ごみ屋敷”の50代男性に勧告」(2015年7月22日 産経新聞)

    京都市は、ごみのため込みなどで、近隣住民の日常的な通行の妨げになっていることから、条例に基づいて文書指導していた市内の50代の男性について、ごみが解消されなかったとして勧告を行ったようです。

    市は引き続き、男性に支援を行っていくが、今後、ごみが撤去されない場合、有識者からの意見を聴きながら命令、さらには行政代執行も検討していくとしています。

    「行政代執行」とは、行政上の強制執行の一種で、義務者が行政上の義務を履行しない場合に、行政庁が自ら義務者のなすべき行為をすることです。(「行政代執行法」第1条・2条)

    つまり、危険で不衛生なごみを持ち主が処分しない場合は、都道府県や市が代わりに撤去などができる、ということです。

    詳しい解説はこちら⇒
    「あなたの家が勝手に壊される?空き家の法律」
    http://taniharamakoto.com/archives/1940

    ところで、2015年5月には「空家対策特別措置法」が完全施行されています。
    これは、増え続ける「空き家」の中でも特に倒壊の危険のあるものや衛生上有害なもの、周囲の景観を損なうものなどを「特定空き家」として、最終的には各自治体が行政代執行による撤去もできると定めたものです。

    詳しい解説はこちら⇒
    「特定空き家の基準が決定!空家対策特別措置法が施行」
    http://taniharamakoto.com/archives/1952

    放置された空き家は、将来的に“ごみ空き家”になる可能性もあり、こうした法整備が進むことで、各自治体のごみ屋敷の対策にも変化が起きてくることが期待されます。

    現状、ごみ屋敷問題に関しては、地域住民の方が行政も交えて粘り強く話し合っていきながら解決策を探っていくしかありませんが、民事上では「不法行為」に対する損害賠償を求める訴訟も検討できますので、一度、弁護士などの専門家に相談してみるのもいいでしょう。

    ご相談はこちらから⇒ http://www.bengoshi-sos.com/about/0903/

  • 所有する空き家の倒木で隣家が破損!損害賠償?

    2015年07月11日

    v今回は、空き家にまつわる隣人トラブルについてのご相談です。

    はたして、法律はどちらに微笑むのでしょうか?
    それとも、円満な解決策はあるのでしょうか?

    Q)父から相続した家と土地があるのですが、私も弟も実家を出て独立しており、現状は使う予定がありません。ところが先日、突風が吹いた日に敷地の老木が倒れたらしく、隣家の屋根を直撃。連絡があり、修理代を出してくれと言われました。損害賠償しなければいけないのでしょうか?

    A)一般的に、たとえば台風や地震などの自然災害による被害で、所有者として防ぎようのない状況であれば、個々の責任は問われません。
    しかし、自分が所有する家の屋根の瓦や、店の看板が飛んで隣家の建物を傷つけてしまったというようにメンテナンスや設置に問題のある場合や、竹木の支持に瑕疵があり、隣家の屋根に倒れて破損させてしまったような場合は、「民法」第717条により所有者の責任となりますので修理代などの損害賠償をしなければいけない可能性が高いでしょう。
    【建物の隣人トラブルでは所有者の責任は免れない!?】
    では早速、条文を見てみましょう。

    「民法」
    第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
    1.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
    2.前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
    3.前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者が
    あるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。
    1項にある「工作物」とは、土地の上に人工的に設置された物のことで、建物や道路のほか、電柱、塀なども含まれます。
    「瑕疵(かし)」とは、キズや欠点、欠陥のことですが、この法律では瑕疵が生じるのには故意も過失も必要としません。
    また、「占有者」とは使用している人のことで、「所有者」は持ち主ということになります。

    たとえば、あなたが所有する建物の瓦が飛んだり、塀が倒れたなどして隣家の一部が破損した場合、瓦が古くなってはがれやすくなっていたり、塀にひびが入っていたなど、そもそも設置や保存に欠陥などの問題があった場合、それは所有者であるあなたの不法行為責任だから、隣家の家主はあなたに損害賠償請求することができる、ということです。

    一方、最近メンテナンスをしたばかりであなたには落ち度はなく、修理業者の手抜き工事が原因だった場合はどうでしょうか?

    じつは、その場合でも所有者であるあなたが責任を負わなければいけません。
    納得いかないかもしれませんが、法律ではそうなってしまいます。

    しかし、原因は業者の手抜き工事ですから、3項にあるように今度はあなたが業者を訴える(求償する)ことができます。
    【庭木などが原因の隣人トラブルも所有者の責任!?】
    では、今回の相談のケースはどうかというと、2項が適用されます。

    老木が倒れないような処置をしたり、万が一のときのために切っておくなどの対策をしなかったのは所有者の責任である、ということですね。

    また、たとえば、落ち葉が排水溝をふさいでしまったとか、側溝が詰まったというような場合でも、あなたは掃除をするなり業者に頼むなりの対応をしなければいけません。
    仮に、あなたがそれを放置していて、隣人が業者を頼んで掃除した場合には、あなたはその費用を請求される可能性があります。

    ところで、庭木に関する隣人トラブルで多いものに、隣家の木の枝が伸びてきて邪魔で迷惑、というものがあります。

    邪魔なんだから切っちゃえ! という人もいるかもしれませんが、それは要注意です。

    第233条(竹木の枝の切除及び根の切取り)
    1.隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
    2.隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。
    法律では、隣家の枝は勝手に切ってはいけません。
    勝手に切ってしまうと、「器物損壊罪」で訴えられる可能性もあります。
    まずは所有者に状況を説明して、枝を切ってもらうという対応が必要なのです。

    ただ、どうしても対応してくれない、話し合いにならないというような場合は、条文に「枝を切除させることができる」とあるように、裁判所に請求して相手の費用で職人に依頼して枝を切らせることはできます。

    ちなみに、2項にあるように根の場合は自由に切ってもいいことになっていますので、覚えておいてください。
    さて近年、相談者のように使わない「空き家」が増加していることで、対策のための法律が施行されたことは以前に解説しました。
    詳しい解説はこちら⇒
    「特定空き家の基準が決定!空家対策特別措置法が施行」
    http://taniharamakoto.com/archives/1952

    空き家の場合、普段は目が届かず管理がおろそかになりがちなため、隣人トラブルに発展するケースも増えていますので十分注意してほしいと思います。

    いずれにせよ、隣人トラブルの場合は、まずはお互いで話し合って解決することが大切です。

    それでも、どうしても解決できないならば弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

    ご相談は、こちらから⇒ http://www.bengoshi-sos.com/about/0903/

  • 隣人トラブルの原因はイルミネーション!?

    2014年12月16日

    毎年、年末のこの時期になると街にイルミネーションが点灯して観光スポットになっている所もあります。

    専門で企画設計、デザインをする「イルミネーションデザイナー」という職業もあるそうです。

    また、10年くらい前からでしょうか、自宅を電球などで電飾する個人宅が増えました。
    ちなみに、そうした人たちのことを「イルミネーター」とも呼ぶそうです。

    それはともかく、一見きれいで目を引く個人宅のイルミネーションですが、じつは迷惑をしている人もいるようです。
    今回はそうした方からのご相談です。

    Q)この季節になると気が滅入ります…隣家のイルミネーションが不快なんです。傍からみれば、そりゃきれいですよ。でもね、隣の家、それも両隣ともクリスマスの1ヵ月以上前から電飾をやり始めるんですよ。これ、正直なところ迷惑。夜中でもピカピカやってるから、夜眠れないんですよ。「近所のつきあいもあるし、きれいでいいじゃない」って妻は言うんだけど、私はつらいんですよ。神経質すぎるんでしょうかね? なるべく穏便にしたいんですが、いい対応策はないでしょうか?

    A)残念ながら、光の害を取り締まるような法律や条例はありません。

    考えられるのは、「民法」の、自分の家の建物所有権侵害や不法行為に基づく「差止請求」や損害賠償請求ですが、これらが認められるためには、イルミネーションによる光害が、「受忍限度」を超えるものである必要があります。

    受忍限度とは、一般の人が社会生活を送るうえで我慢すべき限度のことです。

    以前、隣人との騒音トラブルについて解説しました。

    詳しい解説はこちら⇒「隣人トラブルから人間性が見える」
    http://taniharamakoto.com/archives/1340

    騒音トラブルでは、法律的には「受忍限度」が問題になってくるというものでした。

    現状では詳細が分からないので明言できませんが、隣家のイルミネーションが受忍限度を超えているかどうかも大きなポイントになると思います。

    一般の人が見てもまぶしいくらいの光が夜も眠られないレベルで、そのために、不眠などの健康被害を受けているというのであれば、差止請求や損害賠償請求できる可能性はあります。

    しかし、自分だけがまぶしくて不快で眠れない、という主張では認められないでしょう。

    過去の例では、隣地の家の屋根に設置された太陽光発電用ソーラーパネルの反射光がまぶしすぎる、として、太陽光パネルの撤去と損害賠償が認められた裁判例があります(横浜地裁平成24年4月18日判決)。

    しかし、その事件は控訴され、高裁は判決を覆し、受忍限度内である、として、撤去と損害賠償請求を棄却しました。

    感じ方は、人それぞれなんですね~。

    そこで、対応としては、やはり、

    まずは、隣人の方とイルミネーションの点灯と消灯の時間の取決めや、照明のワット数の低減などについて話し合いをしてみる。
    そこで、話し合いがまとまらないようであれば、内容証明を送るなどの法的措置を検討するという方法もありますが、その後の生活を考えれば、話し合いでお互いが納得できるラインを見つけたいところです。

    最後にですが、

    電飾で飾る「イルミネーター」でとどまれば、まだいいですが、

    下ネタ連発の「シーモネーター」や、
    (;´Д`)ハアハア

    嘘ばかりつく「ガーセネーター」
    L(゚□゚)」 オオカミガクルゾーッ!

    には、なりたくないものですね。

  • 隣人トラブルから人間性が見える

    2014年03月06日




    10年ほど前、「騒音おばさん」という人が世の中で話題になっていました。

    奈良県に住む主婦が、2年半の間、24時間CDラジカセからユーロビートなどの音楽を大音量で流し続け、ときには「引っ越し、引っ越し」と大声で叫び、近所の住人が健康被害にあったというものでした。

    ワイドショーや週刊誌などで連日報道されていたので、覚えている人も多いでしょう。

    結局、2005年に傷害罪で逮捕され、2007年に最高裁で実刑が確定。懲役1年8ヵ月が言い渡されました。

    その後、千葉や大阪、茨城などでも同様の事例で逮捕された人がいます。

    これは極端な例だとしても、現代社会では隣人トラブルは日常茶飯事で起きています。

    その中でも多いのが、騒音トラブルでしょう。

    鉄道や道路、飛行機の音など公共機関の騒音から、ご近所間の問題まで、さまざまなトラブルが起きています。

    マンション上階の住人の足音、隣の部屋の騒ぐ子供、隣家の飼い犬の鳴き声、大音量のテレビや音楽、自動車やバイクのエンジン音など、自分にとっては騒音ではなくても、相手にとっては不快な音になったりします。

    また、対応の仕方で問題がこじれるケースも多々あります。

    隣室の騒音を注意する意味で壁をドンドンと叩いたら、翌日ものすごい剣幕で隣人が怒鳴り込んできて関係が悪化したとか、感情的になって隣家に苦情を言いに行ったら、さらに騒音がひどくなったり嫌がらせをされた、などということもあります。

    最悪の場合、放火や殺人にまで発展したケースもあります。

    「ピアノ騒音殺人事件」
    1974年、神奈川県平塚市の県営住宅に住んでいた男(当時46歳)が、階下の部屋のピアノの音がうるさいと苦情を訴えた。当時は、子供の習い事としてピアノやエレクトーンが流行していた時代で、騒音問題が取り沙汰されていた時代でもあった。自治体が主導して演奏時間の限定などの自粛を進めていたが、徹底されていたわけではなかった。次第に男は「わざと騒音を立てて嫌がらせをしている」と思い込むようになり、刺身包丁を持って階下の部屋に侵入。演奏していた長女(当時8歳)と次女(当時4歳)を殺害。帰ってきた母親も殺害し、逃亡したが3日後に自首。1977年に死刑が確定した。

    話し合いで解決できたかもしれない問題が、悲惨な結末に発展してしまった例です。

    騒音トラブルでは、まずは双方が冷静に対処することが必要ですが、人間ですからどうしても感情的になってしまうこともあります。

    特に、心安らかに過ごせるはずの自宅で騒音に悩まされると、感情的になりやすいと思います。

    もちろん、法律に訴えることもできますが、騒音トラブルがあるからといって、すぐに訴訟というのは早計です。

    たとえば、隣の部屋の音楽など騒音がうるさければ、まずはマンションの管理会社や管理組合に相談して、第三者から伝えてもらうのがいいでしょう。管理規約、賃貸借契約書などには騒音など迷惑行為の禁止を義務付けているはずです。

    その際、騒音元の部屋の両隣りと上下階の住人がどう感じているかを調査しておくのも有効です。

    それでも騒音が治まらないようであれば、弁護士に相談するのも手です。

    まず、「内容証明郵便」を送ります。効果がなければ「調停」や「訴訟」ということになります。

    訴訟では、「損害賠償の請求」の他、あまりにひどいときは、部屋の使用を禁止する「使用禁止の請求」や、部屋を競売にかけて手放させる「競売の請求」などもあります。

    その際、法律的には「受任限度」が問題になってきます。

    「受任限度」とは、一般人が社会生活で我慢すべき限度のことです。

    多数の人が生活する社会においては、ある程度のことは我慢せざるを得ませんが、一般の人から見ても我慢しがたい事態に至った時は、法が介入する、という考え方です。

    ただ、自分がうるさいと感じているだけでは主張は認められません。訴訟を起こすにしても、客観的な証拠が必要となってきます。

    騒音の内容や時間帯、継続性など、さまざまな要素で判断されますが、その中に、各地方公共団体が条例で定める騒音の規制基準というものがあります。

    たとえば、東京都の「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」(通称、環境確保条例)では、以下のように定められています。

    第136条(規制基準の遵守等)
    何人も、第68条第1項、第80条及び第129条から前条までの規定に定めるもののほか、別表第13に掲げる規制基準(規制基準を定めていないものについては、人の健康又は生活環境に障害を及ぼすおそれのない程度)を超えるばい煙、粉じん、有害ガス、汚水、騒音、振動又は悪臭の発生をさせてはならない。

    別表第13には、たとえば一般的な住宅街(第一種区域)の昼間(午前8時~午後7時)では45デシベル、夜(午後7時~11時)では40デシベルが規制基準となっています。

    ちなみに、東京都環境局の資料によると、掃除機の音は約60~76デシベル、テレビで約57~72デシベルとなっています。

    45デシベルなら、場合によっては軽く超えてしまうかもしれません。

    とはいっても、ご近所トラブルはできるだけ穏便に話し合いで解決したいものです。そこに住み続けるならば、今後も日常的に相手と顔を合わせたりしなければいけない場面も想定されるからです。

    あるいは、「こういうことは、きっちりと話をつけないと!」と意気込む人もいるかもしれません。

    ここでどのように対応するかについては、自分の人間性、生き方が問われます。色々な選択肢が考えられます。

    ①訴訟を起こす
    ②殴り込む
    ③壁を叩いて憂さを晴らす
    ④こっちも大きな音を出す
    ⑤隣近所と団結して抗議する
    ⑥柔らかく伝える
    ⑦耳栓をする
    ⑧我慢する
    ⑨引っ越す

    などなどです。

    あなたは、どのタイプですか?

    自分の他人に対するスタンスが影響します。

    たとえば、友人が気に入らないことをした場合、どうしますか?

    ①徹底的に糾弾する
    ②無視する
    ③友達に言いふらす
    ④柔らかく言う
    ⑤我慢する
    ⑥「きっと事情があったんだ」と思い込んで自分を納得させる

    など、さきほどの騒音の例と比較して、同じ人なら、おそらく同じような対応を取るでしょう。

    他人に不満を持った時、どのような対応をするのか、そこには人間性が表われるのです。

    法は、権利を守ってくれるものですが、法を使うのは人間です。

    他人との関わりの中で、自分がどういう人間で、どう生きてゆくのか、そんなことも考えさせられる問題です。